アレンジは時代を超える―エレクトーンならではの楽しさ 5セレクションズ コンサート Vol.2

往年の名アレンジ集『5セレクションズ』を採り上げたコンサート。今年1月30日に続き“好評につき第二弾”の実施となった。「好評」を得たのにはいくつか理由が考えられる。エレクトーンの歴史を知る人たちには、まず、目の前の舞台に置かれた旧機種の数々。今回はD-3R、FX-20、E-70、D-700が客席にパネル部を見せて並べられ、その「顔」とも言えるレバー、ボタン、それらの色を見ているだけで懐かしさと当時の思い出が蘇る。さらにそれらが演奏されるのだからなおさらである。楽器の歴史を知らずとも、演奏される曲のそれぞれにアレンジャー(または作曲者)の個性があふれ、音色を含めたアレンジのおもしろさを聴くことができる。そして何より、小寺久美子、川田祐子の仲良しコンビの演奏とトーク…永いおつきあい、と語っていたが……ソロはもちろんデュエットの演奏も抜群である。

前半は旧機種による演奏。「アルフィー」「カメレオン」「ザ・キャット」等々。名曲であり名アレンジである。そして“木の箱?”から出る音がなんとも柔らかい。途中、D-3Rを使って当時流行った“グリッサンド”や“パーカッションボタン”を紹介。「そうだ、そうだ」と頷いている人も多かった。

後半はSTAGEAでの演奏。「ベアーズ・ビアード」(松田昌・作編曲)に始まり、「恋のアランフェス」(桐野義文・編曲)等々。最後の曲、「Wind Abeam」(三原善隆・作編曲)では、ご本人が舞台に登場。そのタイトルの意味合い等を解説した。

ポップス、映画音楽、クラシック、オリジナルとエレクトーンの演奏素材(編曲素材)は範囲が広い。それをいかに料理するかがアレンジャーの腕の見せどころである。旧機種(楽器)には時代があるがアレンジは時代を超える……そんな思いとともに、音を作るところから始まるエレクトーンならではの楽しさが伝わるコンサートとなった。

エレクトーンシティ渋谷・記

(上から)写真1:エレクトーン演奏/川田祐子、小寺久美子

2011年10月16日 エレクトーンシティ渋谷