ひと味違った演奏・・・・・・ エレクトーンシティ渋谷uphillコンサート(6) 岩崎孝昭コンサート "i-Tone"

エレクトーンシティ渋谷主催の、エレクトーン音楽をじっくり聴いてもらおうというコンサート。岩崎孝昭にスポットを当て開催された。彼はインターナショナル エレクトーン コンクール2003 B部門(クラシック)の第1位受賞者。当然、壮大なオーケストラ楽曲を一人で演奏することを得意とするが、今回はひと味違った一面をいくつかのぞかせた。

一つは「ハイドンの名によるメヌエット」。原曲はピアノの小品だが電子音を駆使してメルヘンチックな装い。意外であり新鮮な演奏であった。プログラム4、5のチャイコフスキーは彼の本領発揮。「これが岩崎!」である。ソロ演奏をたっぷり聴かせて第1部を終了。

第2部にはゲストにバンドネオン奏者の北村聡を迎えピアソラに挑戦。これまた、過去の岩崎にはない音楽ジャンルである。ピアソラのタンゴは少人数の編成で演奏されるが、バンドネオン以外の数人を岩崎が一人で演奏。「大変・・・・・・」と後で語っていたが、北村の雄弁なバンドネオンとともに見事にピアソラの世界を表現していた。途中、我々があまり馴染みのないバンドネオンについて、その仕組み、奏法を北村が紹介。左右にあるボタンの配列(ド・レ・ミ・・・・・・)が順番に並んでいないことには驚かされた。

「ピアソラはクラシックなの?」と思う人が多い中、最後は「めったに演奏されることがない」という「バンドネオン協奏曲」。この曲を聴いて納得。小さいながら圧倒的な存在感を示すバンドネオンとフルオーケストラのサウンドに心打たれた。

そして、アンコールは歌謡曲を含む2曲。これまた意外だが、さすが岩崎のアレンジが光る。エレクトーンの楽しさはアレンジ(編曲)に負うところが大きい。その楽しさと、岩崎孝昭個人を満喫できるコンサートとなった。

エレクトーンシティ渋谷・記

(上から)写真1:1部は岩崎孝昭のソロを堪能|写真2:2部は北村聡とのデュオを中心に|写真3:バンドネオンの解説もたっぷりしてくれた

2011年12月10日 エレクトーンシティ渋谷

[プログラム]

◇ 第1部 ◇

1.アリオーソ(バッハ)
2.歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(グリンカ)
3.ハイドンの名によるメヌエット(ラヴェル)
4.交響曲第6番「悲愴」 第4楽章(チャイコフスキー)
5.「くるみ割り人形」より “花のワルツ”(チャイコフスキー)

~ 休 憩 ~

◇ 第2部 ◇

6.ロカ・ボヘミア(フランシスコ・デ・カロ)*北村ソロ
7.アディオス・ノニーノ(ピアソラ)*デュオ
8.バンドネオン協奏曲(ピアソラ)*デュオ

◇アンコール ◇

1.秋桜
2.ホワイト・クリスマス