スノーマン事務所公演 窓際のトットちゃんと歌のお父さん ~たった一人のオーケストラ伴奏~

2日目のマチネは『音楽物語〝窓ぎわのトットちゃん〟と歌のお父さん』というファミリー向けの企画でした。この事務所は名作『スノーマン』や『ファザークリスマス』『幸福な王子』といった作品を、スライドやアニメーション映像とリンク演奏するスタイルで25年にわたり全国展開しています。『窓ぎわのトットちゃん』は黒柳徹子のベストセラーを原作に飯沢匡が構成、小森昭宏作曲のオーケストラ作品をヤマハの提案で諸井野ぞ美がスコアからエレクトーン編曲したもので、開発者の佐藤文行が《たった一人のオーケストラ版》と名付けています。作品を全国津々浦々まで届けたいとの思いが、エレクトーンとの出会いで経済的に可能となったケースです。

この日の編曲はSTAGEA用に菊地友夏がリニューアルしたもの。お客さまは「一人でここまでできるんだ!」と驚かれたようです。ピアノ伴奏のコンサートでは決して体験できない世界です。語り手は「トットちゃん」役を田川裕子、校長先生と担任の先生、「悪ガキ」などの役はベテランの佐藤文行が演じました。開演前にスライドを使い〝ほんものの電車の教室〟の写真や物語の舞台となった自由が丘の風景を映しながら解説(佐藤)したのも良かったようです。本編演奏中にも照明効果とスライド映像を多用しました。映像で想像力を補うことでわかりやすくなりました。[照明 紀平三博]

第2部は『歌のお父さん』と題した《ミニ歌劇》。田川裕子さんの案内で「お父さんが箱根へピクニックにいった話」を、モーツァルトの《魔笛》やムソルグスキーの《蚤の唄》の間に野口雨情の作詞、山田耕筰作曲の童謡8作品を挟んで構成。ここでも原曲のピアノ伴奏部分がエレクトーンで巧みな情景描写をしました。ピアノ音楽の編曲こそが奏者を育て、聴衆を育ててゆくに違いありません。作品は豊富です。可能性を追求しましょう!

スノーマン事務所/佐藤文行

エレクトーン演奏/菊地友夏

2012年10月21日 エレクトーンシティ渋谷