エレクトーンの可能性に挑む COMPOSITIONS 2014 ~エレクトーンのための作品コンサート~

COMPOSITIONSは、創立52年になる「日本音楽舞踊会議」が1990年に始めたエレクトーンのための作品コンサート。発表した作品は80曲になり、14回目となる今回は、6名の作曲家による7作品が披露された。

白岩優拓は「Lunaticoi ~電子オルガンのための~」(自演)と「BIRTH1-1(ZERO)~マリンバと電子オルガンのための~」(マリンバ:仲田清志/竹蓋彩花)。いずれも大学院での研究テーマである微分音を使った実験的な作品。福地奈津子は'96年から毎回自作自演している。今回は初参加をきっかけに書き続けている電子オルガンのための小品「音の画集」より新作を含む4曲。安彦善博は自然をテーマにした「肖像」シリーズの第3作「水の肖像」(山木亜美)。音作りは第二創造者としての奏者に任せるスタイルを取る。'06年の初演時とは楽器も奏者も変わって作品そのものも生まれ変わった感があった。

三宅康弘の「バベルの塔~電子オルガンのための」(柿崎俊也/音響:平山良子)は'04年に海津幸子氏の委嘱で書かれたもの。曲の一部をメガホンスピーカーから出すことで音を変形させようという試み。エレクトーン界の重鎮、菊地雅春は全回参加しており、今回は招待作品として演奏された。'88年に森下絹代氏がヨーロッパ演奏旅行のために委嘱した「秋・TEMARIUTA」(安藤江利)。当時の楽器、Hシリーズに初めて搭載されたMDRをオスティナートとして使っている。大御所作曲家の中嶋恒雄は「ヴェネツィア幻想」(大畑莉紗)。'99年版の改訂初演。スピーカーは楽器の一部と考え、2台のエレクトーン(1台は陰)の音源を別々にしスピーカーを置く場所にもこだわった。6人6様の作品は、演奏レベルも高く、お客様もこの楽器の可能性を楽しんでくださった様子。エレクトーンのための作品がもっと増える必要性を改めて感じたコンサートだった。

西山淑子

出品者と演奏者、スタッフの面々

2014年6月27日 エレクトーンシティ渋谷