エレクトーンとアコースティック楽器のコラボレーションによる新たな試みへの挑戦 三井不動産株式会社Presents 第4回「育藝会」コンサート 美しい音楽~エレクトーンとの共演

特定非営利活動法人「育藝会」は若い芸術家の活躍促進、多くの人々にクラシック音楽に親しんでいただきクラシック音楽の裾野を広げること、音楽文化の振興に寄与することを目的といたしまして2013年に設立いたしました。これまで演奏家のリサイタル、新作委嘱、CD制作、オーケストラの支援、クラシック音楽と歌舞伎などの伝統文化とのコラボレーションなどを積極的に行っております。

今回はエレクトーンとアコースティック楽器とのコラボレーションを企画いたしました。世間的にはエレクトーンはまだ電子ピアノや、ポップスのための楽器と思われている方が多数いらっしゃると思います。しかし近年技術の向上とともに、クラシックの世界において、特にオペラの世界で演奏の領域を広げていると感じます。私は2009年、サントリーホールでオペラ歌手の中丸三千繪さんのリサイタルで歌を支えるエレクトーンの音色と奏者の表現の多様性に衝撃を覚え、ぜひ、もっと世の中に知っていただきたいと思いました。そのときに演奏をなさっていたのが清水のりこさん。その後、私の企画する演奏会で与那城敬さんと共演していただき意気投合され、小川里美さんらと集い、互いに勉強を重ねられて今日の「銀座オペラ」と発展されたことは、大変嬉しく存じます。

今回の演奏会のソリストは、若手実力派の演奏家の方々でヴァイオリン/寺下真理子さん、チェロ/水野由紀さん、サクソフォーン/江川良子さんにお願いいたしまして、プログラムは各楽器の魅力が伝わる作品とともに、最も有名な協奏曲を演奏していただきました。指揮者不在で協奏曲を演奏することは過酷であったと思いますが、より研究して敢えて新たな試みに挑戦することが、演奏家にはさらなる成長のきっかけになると考えております。また今回特筆すべきは三枝成彰氏の美しい作品をチェロとエレクトーンで新たな形で再演したことと、若き作曲家Maki / codeMさんの作品を今回の楽器編成での改訂初演をしたことでした。作曲家のお二方にはリハーサルや本番に足をお運びいただきました。

清水さんのエレクトーンはシンプルなドイツのパイプオルガンの音色から始まり、フランスのオルガンの音色も違いを出しながら、作品ごとに壮大な管弦楽、エレクトーン独自のサウンドと音色と表現法を変え、絶妙なバランスで奏者を支えてくださりました。奏者同士の出すエネルギーの相乗効果で、会場は興奮と熱気に包まれ、初めて耳にされた方々も新しい響きに驚きながら、皆さん喜んでいただけました。

次回の演奏会は6月30日に「モーツァルト・セラピー」(ヴァイオリン/松本蘭さん)、来年1月21日にエレクトーン伴奏による『カルメン・ハイライト』を何れも東京オペラシティ・リサイタルホールにて開催いたします。

プログラム

G線上のアリア(J.S.バッハ作曲)/夢(G.ボッテジーニ作曲)/アヴェ・マリア(G.カッチーニ作曲)/カルメン・ファンタジー Op.25より(P.サラサーテ作曲)/Zero(MAKI / codeM作曲)/管弦楽とアルトサクソフォンのためのラプソディ(C.ドビュシー作曲)/プロヴァンス組曲より“幻想の狩人たち(レ・ボー)”(三枝成彰作曲)

~ Pause ~

チェロ協奏曲 ホ短調Op.85より第4楽章(E.エルガー作曲)/ヴァィオリン協奏曲 ニ長調Op.35より第1楽章(I.チャイコフスキー作曲)

育藝会代表/古屋善範

(上から)写真1:サクソフォーン/江川良子 エレクトーン/清水のりこ ヴァイオリン/寺下真理子 チェロ/水野由紀

2015年3月6日 東京オペラシティ リサイタルホール