エレクトーンの魅力を模索する若手演奏家たち ElectonismVol.3〈日本文學〉

エレクトーンの魅力を発信するため立ち上げられた若手プレイヤーたちによるプロジェクト『Electonism 』。第3回目の公演は〈日本文學〉をテーマに日本の名作文学を取り上げ、プロジェクションや身体表現を交えた挑戦的なプログラムをお届けしました。

文豪所縁の音楽や、物語の中に登場する音楽など、第一部はクラシックの名曲が並ぶ中、異彩を放ったのが、相澤菫・伊崎奈那によって今回のために書き下ろされた「宮沢賢治作〈注文の多い料理店〉の為の音楽」。背景に文字を投影し、物語を読み進めながら音楽を聴く、という視覚的なアプローチも取り入れた新しい表現方法で、観客の皆さんを宮沢賢治の物語の世界へと引き込みました。

第二部冒頭はエレクトーン×身体表現のユニット『電磁カクテル』によるサイケデリックな「かぐや姫」。楠田しおりの意表をつく音楽とともにダンサー小林菜々がステージ上へ飛び出し、独特のパフォーマンスを繰り広げ、あっという間に客席を魅了しました。

そんな中続いて演奏された森松慶子氏の作品「電子オルガンのための交響的トリオ〈羅生門〉」は、打って変わっておどろおどろしい雰囲気の中始まります。松田有季乃ら3人の奏者が、その気迫とパワーで観客を禍々しい音の渦の中に引きずり込み、圧巻のフィナーレを飾りました。

次回公演以降も目を惹くような面白いテーマを探し、エレクトーンを知らない人にもコンサートに足を運んでもらえるような、エレクトーンを知っている人たちには新しい一面をお見せできるような、魅力的なステージをお届けいたします。

特に、若い世代のアーティストとのコラボレーションを積極的に試み、新しいムーブメントを起こしていきたいと思っています。乞うご期待ください。

伊崎奈那

2016年2月5日 エレクトーンシティ渋谷