新しい発見の連続! Songs from my Heart ~フルート五段活用~

10年超のシリーズになっているこのコンサートでは、毎回掲げられるテーマを最大限に膨らませる台本が用意される。今回の主役はフルート。楽器そのものは誰もが知っているが、フルートという名前の由来や、どのような経緯でオーケストラに組み入れられるに至ったかなど、あんがい知られていないことが多い。それをさまざまなエピソードを交えながらナビゲーターが解説し、合間に有名な楽曲からフルートがスポットを浴びるシーンを抜粋で演奏していくというのが第一部。そして第二部では、フルート1本だけのソロから、フルート5本とエレクトーンによるアンサンブルまで、幅広い演奏をお届け。シンプルながらも陰影に富んだ音色もあれば、肉声のように情感を醸す音、エッジの効いた音など、改めてフルートの持つ多彩な表現力に圧倒された。

プログラムのうち2曲はフルートの部分も含めて全体の編曲を担当したが、奏者の皆さんには編曲途中からご協力いただき、奏法についてアドバイスを得たおかげで、効果的な編曲に仕上げることができた。それが実際に音になっていく過程は、編曲者として、また共演者としておおいに心躍る体験となった。

また、ベテラン構成作家による台本からは、毎回実に多くのことを学ぶことができる。演奏会全体の起承転結、聞き手本位の選曲などは、このシリーズの外でもたいへん参考になっている。そして、共演者として主となる楽器をどう引き立てるか、エレクトーンが引き過ぎても出過ぎてもあんばいが悪いわけだが、そのさじ加減もここで身につけたのものひとつである。

さて、今回はフルートの魅力を紐解いたわけだが、これほどポピュラーで歴史のある楽器でも新しい発見の連続だった。エレクトーンも名前こそ全国に知れ渡っているが、真の魅力や可能性については私たちが思うほど知られていないように思う。この公演を参考に、エレクトーンをより深く理解してもらえるような工夫を練ってみたい。

エレクトーン演奏家/神田 将

エレクトーン演奏/神田 将

2016年4月3日 エレクトーンシティ渋谷