エレクトーンの芸術的な可能性を追求 市川侑乃リサイタル vol.5

2014年からエレクトーンのためのレパートリーを増やしたく思い、年に2回のペースで作曲家の方々に委嘱したり、何十年も演奏されていないエレクトーンのために書かれた過去の名作を再演したりなどしています。現在のエレクトーンは楽器の技術が高い水準まで研究され、さまざまな場で活躍しています。クラシックの分野では、オペラやコンチェルトの伴奏など。それ以外のジャンルでもさまざまな形態で使用され、幅広い年齢層に愛されています。私はエレクトーンもあくまで「楽器」の一つとして考えていて、エレクトーンという楽器そのものの可能性、この楽器にしかできない表現とは何か、芸術的な側面から見たエレクトーンを追求し、発信したく、その信念をもとにこのリサイタルを企画し活動しています。

7月15日に両国門天ホールにて第5回目となるリサイタルを開催しました。

現代音楽作曲家の木下正道さんとイスラエル出身のヨハナン・ケンドラーさんには作曲を委嘱し、「海の手Ⅴ」「 Capricci per Electone(奇想曲)」2曲の世界初演をしました。

再演作品は、第3回目のリサイタルのために委嘱をしたカナダ出身ダリル・ゼミソンさんの「Beach Azalea 遠津の浜」、1987年に初演された西村朗さんの「ヴィシュヌの瞑想Ⅱ」、藤原嘉文さんの「Metamorphosis Ⅱ~電子オルガンのための」の3作品。

クラシックでは、バルトークのピアノ曲「3つの練習曲op. 18」を電子音で再構築した編曲作品を。エレクトーンの可能性を感じさせる濃いプログラミングとなりました。

毎回恒例となっている作曲家へのインタビューでは、委嘱した作曲家3名から貴重なお言葉をいただき今後のエレクトーンの発展へのヒントとなる気づきを私自身多く感じました。コンピューターやMaxMSPなど外部機器との接続、コラボレーションなど新しい可能性を秘めたエレクトーンという楽器を、今後さらに追求し極めていきたいと私自身ますます感じた一夜となりました。

エレクトーン演奏家/市川侑乃

2016年7月15日 両国門天ホール(東京都墨田区)