エレクトーンの無限の可能性 洗足学園音楽大学MASTERS CONCERT Message for you ヴァイオリン・マリンバ・電子オルガンで奏でる新しいサウンドへの挑戦

私は洗足学園音楽大学でヴィオリンの教鞭をとっている。エレクトーンについてはもちろん知っていたつもりだったが、電子オルガンコースの赤塚博美教授の音を聴いて私の理解が全く違っていたことに気づき、とても恥ずかしく思った。赤塚教授の演奏は、協奏曲やオペラ公演などでオーケストラパートを一手に引き受け、繊細にソリストにぴったりと寄り添って、音楽を共に表現しているのが印象的であった。また、卒業式にソロを弾く赤塚教授の見事な演奏にもいつも感動であった。

と、エレクトーンに対する意識が変わりつつある頃、赤塚教授とヴァイオリンの名曲ヴィターリの「シャコンヌ」やプラームスの「ハンガリー舞曲」、映画音楽などを共演させていただく機会に恵まれた。私はますますエレクトーンという楽器の虜になってしまった。

赤塚教授が奏でる甘く、時にはダイナミックに、繊細に、リズミックに弾く音楽に、響きの中で、どんどん世界が変わっていく、演奏が変わっていく自分も発見! そして、エレクトーンという楽器の可能性に驚きを覚えた一瞬であった。

そして、2月25日には、赤塚教授、マリンバの世界的演奏家の神谷百子教授、私の3人のコンサート「Message for you」が洗足学園の前田ホールで行われた。

前述の「シャコンヌ」、ヘスの「ラベンダーの咲く庭で」、エレクトーンとマリンバで「サムソンとデリラ」より、「月の光」ほか。さらに、『おひさま』『大地の子』などの名作曲家、渡辺俊幸教授の作品より『利家とまつ』ほか、そして、この日のために書き下ろしていただいた新作「Prayer to the future world」を演奏した。

曲に合わせて照明を凝らし、幻想的なステージの中、コンサートが行われた。私たちはもちろんだが、お客様は一曲一曲に感動し、赤塚教授の繊細でダイナミックなエレクトーンとヴァイオリン、マリンバという異色の取り合わせのコンサートに酔いしれた。

ぜひ、世界中の方に、このコンサートを聴いてもらい感動を味わってもらいたいと切に願っている。エレクトーンの可能性は無限である。

ヴァイオリニスト/水野佐知香

エレクトーン演奏/赤塚博美

2017年2月25日 洗足学園 前田ホール