"古×新"のコラボレーション DuoA有鄰館蔵らいぶ

ヴォーカル(津久井舞)&エレクトーン(菊地友夏)のユニット『DuoA』は原点となるミュージカルナンバーを中心に、エレクトーンと声を活かしたさまざまな企画を主催している。

津久井の生まれ育った地、群馬県桐生市で行った"DuoA有鄰館蔵らいぶ"。私たちが惚れ込み会場となった有鄰館は、建設された江戸時代当時には酒・味噌・醤油を醸造し、保管するために使用されたという。現在は"文化を発信する場"として、舞台や展示、演劇、コンサートなどそれぞれの目的によって自ら会場を作り上げていく独特の活用方法で、歴史的建造物と現代の文化の一体化を図っている。まだまだ歴史の浅いエレクトーンを使用してのコンサートは、まさに"古×新"のコラボレーションだろう。

有鄰館を訪れるのは半年ぶりの二度目。蔵に足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした神聖な空気が肌に触れた。一部は、ポップスとミュージカルナンバー。「春よ、来い」「糸」など、どの世代にも馴染み深く共感していただける曲を温かな春アレンジでお送りした。DuoAお馴染みミュージカルナンバーは曲間ナレーションを挟みながら「夢やぶれて」「メモリー」「命をあげよう」など、名曲を一曲一曲大切に聴かせた。

二部は大きなスクリーンに絵本『チェロの木』(いせひでこ著)を投影し朗読、菊地晴夏作曲による音楽をチェロ(村上咲依子)、エレクトーン、サウンドエフェクトを加えて上演。色彩鮮やかな絵本の世界をさらに叙情的に表現した音楽が、蔵いっぱいに浸透してお客さんを包み込んだ。「まるで映画を観ながら違う世界へ行ったようだった…」といただいた感想には、演奏者たちも同感だ。

有鄰館の歴史の深さゆえの趣、それを愛する地元の方々の多大なるご協力、単純に音を楽しみ、その空間の心地よさを感じてくださるお客様の姿。これらの恩恵を受け有鄰館で生まれたDuoAのサウンドが、お客様の、自らの生きる活力となればこれほどうれしいことはない。

エレクトーン演奏家/菊地友夏

エレクトーン演奏/菊地友夏

2017年4月15日 桐生市有鄰館(煉瓦蔵)