意義ある作曲家との共同作業 市川侑乃エレクトーンリサイタル Vol.8

昨年12月27日にTokyo concerts Lab.にて8回目となるリサイタルを開催しました。2014年から年2回のペースで電子オルガンのために書かれた作品の再演と、作曲家に委嘱し世界初演する内容のプログラムを軸とし、電子オルガンのための芸術的オリジナル作品を残し、私なりにこの楽器で発信をしたいと思い、このリサイタルを企画しました。

今回の委嘱作曲家は川上統さんと、イスラエル出身のYohanan Chendlerさんです。お二人は4回目のリサイタルにて初めて委嘱をさせていただき、今回のリサイタルでは2回目の作曲となります。それぞれご自身が長年テーマに研究されている音楽様式から作曲され、電子オルガンのための新たな作品が生まれました。初回委嘱時の経験を通し、楽器の知識を積んだことにより前回より熟考でき、また新たな視点で向き合えた、とお二人は話されていました。実際に作曲家の方々は長時間楽器に触れ個人的に研究もしてくださり、こうして電子オルガン界外部の方にも興味を持ってくださったことはとても嬉しく感じます。

また再演曲は松下功さん、ドイツ人作曲家Peter Hochさん、夏田昌和さんの作品を演奏しました。リサイタル内恒例の作曲家へのインタビューでは、委嘱のお二人以外に夏田昌和さんにもご登壇いただきました。夏田さんの作品は初演当時から十数年の時が経ち、機種も初演当時とは大きく変わりました。「時を経て再演をしていただくことは作曲家として嬉しく感じると同時に、機種も変わり初演と同じ感覚で演奏を楽しめた。他のどの楽器よりも作曲家と演奏家との共同作業ともいえる行程が必要とされる」とお話しくださり、改めて再演の大切さ、そして初演の責任とやりがいを感じるひと時でした。

今後は電子オルガン1台から編成を広げコラボレーションを考えています。電子オルガンと共に研究を続け、私なりの表現で発信していきたいと決意を新たにした一夜となりました。

エレクトーン演奏家/市川侑乃

2017年12月27日 Tokyo concerts Lab.