寄り添う、支える、共に歩む…トリオでの演奏 Message for You ~ヴァイオリン・マリンバ・電子オルガンによる新しいサウンドへの挑戦~

『Message for You』CDリリース記念の演奏会が、4月27日、銀座ヤマハホールに於いて、満員のお客様をお迎えし開催されました。昨年の2月、洗足学園音楽大学の前田ホールで行われた同タイトルの演奏会が大好評だったこと、トリオでの演奏に魅力を感じ、さらに挑戦してみたいという気持ちが、今回のヤマハホールでの演奏会の実現に繋がっています。並行して、たくさんの方に音楽を聴いていただきたいという思いから、CD制作にも踏み切りました。

美しい音楽を美しく、そして、わかりやすく音楽を伝えようと、プログラム(選曲)も厳選をしています。例えば、クラシックや映画の名曲に加え、トリオとしてのオリジナル作品も取り上げました。洗足学園音楽大学で音楽音響デザイン統括教授であり、映画やドラマなど多方面でご活躍の渡辺俊幸氏に委嘱をした作品は、CDをリリースするきっかけとなりました。同氏には、委嘱作品のほかにも、TVドラマの曲などを提供していただき、私がアレンジをする機会を得ることができました。この作品の色彩豊かな音色と美しいメロディーとハーモニーによって、エレクトーンはその魅力を存分に発揮することとなったのではないでしょうか。

今回の演奏会では、同大学の客員教授で映画やドラマなどの音楽を多数手掛けている山下康介氏、そして、エレクトーンに精通し、最近では、ピアニスト舘野泉氏への楽曲提供などでご活躍の梶谷修氏の委嘱作品初演も行っています。三者三様の作品の演奏は、観客を魅了するだけでなく、私たち演奏者をも幸せな気持ちにさせてもらいました。

満席のお客様から後押しされた私たちは、さらに高揚し、アンコールの「チャルダッシュ」までを一気に演奏した感があります。

今回は、寄り添う、支える、共に歩む…トリオでの演奏は、そんな関係を音楽で表現しました。ヴァイオリンの水野佐知香氏、マリンバの神谷百子氏には、エレクトーンをアコースティック楽器と同じように、対等にアンサンブルをすることの大切さ、そしてその居場所を与えてもらい感謝しています。音楽が大好き、演奏することが大好き、そんな3人が集まってのコンサートは、最高に幸せな瞬間となりました。

またCD制作にあたっては、レコーディングエンジニアで同大学の客員教授の深田晃氏との出会いが、私の音楽に大きな影響を与えてくれたと思います。エレクトーンの音色のバランスの取り方に始まり、他の2つの楽器とのバランスなど、単に音量が大きい、小さいというだけではなく、どういう音楽を作りたいのか、何を表現したいのか…など、じっくり考え、音楽作りをする必要性を感じました。深田氏は私が大事に考えていた色彩感を、見事に表現してくださいました。色彩、立体感、臨場感など、すべてが満足いくものとなり、心より感謝しています。

著・エレクトーン演奏家・洗足学園音楽大学教授/赤塚博美

左から、神谷百子(マリンバ)、水野佐知香(ヴァイオリン)、赤塚博美(エレクトーン)

エレクトーン演奏/赤塚博美

2018年4月27日 ヤマハホール