同級生デュオによるアットホームなライブ クラリネット&エレクトーン

「とりあえずクラシックからポップスまで、やってみます」と、ゆるい定義を掲げながら始まったこの企画。

初共演となるクラリネット奏者・西村薫は、私、菊地友夏の小石川高校(普通科)の同級生で、東京音大卒業後はパリに5年間留学し、帰国後はオケや室内楽、現代音楽、即興演奏など多方面で活躍中。

彼とは、数少ない音大進学生仲間として高校卒業後も仲良くしており、今回長年の夢であった共演を果たした。ゆるい企画で許されたのも、お互い音楽活動をする以前からの友人であることが大きな理由である。

前半はジャジーなガーシュウィンの「ラプソディー」、電子音を散りばめたアレンジのラヴェルの「パヴァーヌ」、サラサーテによる「カルメン幻想曲」、西村の最も得意分野であるクラリネット独奏によるミュージックコンクレートを用いた即興演奏…と、クラシックを披露。なかでも組曲形式の「カルメン」はクラリネットの超絶技巧が施され、クラリネットレパートリーの中でも超難関とされる。気軽にカフェライブでコーヒー片手に聴くものではないが、絶対やってほしいという私のリクエストに(しぶしぶ)応えてもらった。

後半はエレクトーンソロから始まり、タンゴやジャズ、ボサノバなど。軽くポップスのつもりが割とガツンとしたアレンジのポップスで攻めた結果になった。爆笑だらけのアットホームなMCを挟みつつ、アンコールの「イエスタデイ」でようやく終着。

高校時代の仲間がたくさん駆けつけて喜んでくれ、青春をともに過ごし現在比較的似た厳しい環境下の音楽の道で活動する私たちが、ただただ楽しくコンサートを作ることができるということに、フリーランス奏者としてこれまで感じたことのない幸せを感じた。

このゆるい共演の続きがあるかどうかは、今のところ誰にもわからないが、こういうライブができる日のために、また日々アンテナを巡らせながらアップデートして精進していこうと思う。

著・エレクトーン演奏家/菊地友夏

エレクトーン演奏/菊地友夏

2019年3月31日 江古田 Cafe FLYING TEAPOT