エレクトーン流多彩なアレンジで繋ぐ組曲『展覧会の絵』Electonism「展覧会の絵」2019 at Melody Line

“エレクトーンの魅力を伝えたい”その思いのもと2015年に旗揚げした企画『Electonism(エレクトーニズム)』。国立音楽大学電子オルガン科20期生を中心に始まり、徐々に輪を広げながら活動を続けてきた。クラシックやポピュラー、ジャンルの垣根を越え、年齢・地域の垣根を越えて仲間が集い、公演を行っている。

Electonismの一番の特徴は各公演にテーマが設定されていることだ。〈バレエ音楽〉に始まり、〈フィギュアスケート〉〈日本文学〉など取り上げる題材はさまざま。それに合わせてプログラムを組んでいる。ライブペインティングやプロジェクションマッピング、身体表現や朗読など音楽以外の分野とのコラボレーションも積極的に行い、さまざまな人に楽しんでもらえるステージ作りを心がけている。

今回は3年ぶりにムソルグスキーの組曲『展覧会の絵』を取り上げ、それぞれがエレクトーン流にアレンジした。ラヴェル編曲の管弦楽版「プロムナード」から始まり、ビッグバンドのテイストを盛り込んだ「カタコンベ」、クールなボサノバの「牛車」と続く。金持ちと貧乏人の対比が面白い「サミュエルゴールデンベルグとシュムイレ」の後、「バーバ・ヤガ」の強烈な電子音が場の空気を切り裂き、エモーショナルなサウンドが最高に気持ち良い「古城」で1stステージが終了。

2ndステージはゲーム音楽風のテクノサウンドがかわいい「卵の殻を付けた雛鳥の踊り」からスタート。それに続いてかわいらしさとはかけ離れた「小人」。「テュイルリーの庭」は意表を突くプログレッシヴロックのアレンジ。最後は圧巻の「キエフの大門」で幕を閉じた。

普段は異なる分野で活躍する仲間たちとこうしてエレクトーンで繋がっていられること。それぞれが培ってきた音楽を聴くたびに新しい発見があること。お互いを刺激しあい、支えあえること。どれも幸せなことだと思う。これからも日々の忙しさに負けずに活動を続けて行きたい。

次回は2019年11月14日(木)に公演予定。

著・エレクトーン演奏家/伊崎奈那

エレクトーン演奏/石渡裕貴、田口奈穂美、下條実穂、深井麻梨恵、伊崎奈那、松田有季乃、有馬世里加、平田翼

2019年7月5日 ザ・プリンスパークタワー東京 Melody Line