コロナ禍を経て4年ぶりの開催 第39回ジャパン・サクソフォーンフェスティバル

例年は毎年3月に行われている一般社団法人日本サクソフォーン協会主催のジャパン・サクソフォーンフェスティバルですが、コロナ禍による3回の延期を経て2023年3月4、5日に小金井宮地楽器ホールにおいて4年ぶりに開催されました。

フェスティバルは、コンサートだけではなく、サクソフォーンに対する研究発表や新たな啓蒙も兼ねており、「日本のサクソフォーン史」や一流演奏家らによる演奏法のレクチャー、古楽器を中心とした楽器博物館など、演奏以外のコンテンツも充実しています。久々の開催ということもあって、たくさんの来場者がありました。

初日には「サキソフォックスコンコンコンサート」や音大生によるアンサンブル、愛好家の演奏、野外コンサートなどがありましたが、メインは「ヤコブTVショー2」。オランダの作曲家ヤコブTVを取り上げ、メディアコンテンツとも相性の良いヤコブTVの代表作が有馬純寿さんの音響とともに演奏されました。

2日目も初日と同様の各種レクチャーなどを開催しながら、現在人気沸騰中のサクソフォーンカルテットYouTuber「ぐりんれいちゃんねる」のコンサートが話題を呼び、サクソフォーンフェスティバルとしては、初めて電子オルガンと共演したコンサートも大変注目を集めました。洗足学園音楽大学教授の赤塚博美さんをゲストに迎え、サクソフォーンとオルガンのためのオリジナル作品のほか、トマジの《サクソフォーン協奏曲》などが電子オルガンの伴奏で演奏されましたが、曲間での赤塚さんの電子オルガンの説明や、演奏中に奏でる表現の幅の広さに聴衆はとても大きな興味を抱いていました。そして、2日目のメインは板倉康明指揮、クニタチ・フィルハーモニカーによる「サクソフォーンと室内楽アンサンブルの共演」と題したコンサート。国際コンクールの覇者らにより、カプレ、ヴィラ=ロボス、ヴィルタペルコの作品が演奏され、客席は大いに沸きました。最後は例年おなじみの50名を超えるプロ奏者で結成されたフェスティバル・オーケストラの演奏で締めくくられました。

著・北海道教育大学准教授/佐藤淳一

エレクトーン演奏/赤塚博美

2023年3月4日〜5日 小金井宮地楽器ホール