津軽三味線とエレクトーンによる音楽の夏祭り! 第44回霧島国際音楽祭 霧島神宮かがり火コンサート

第44回霧島国際音楽祭に神田将さんが参加するにあたり、姫路労音所有のエレクトーンを使いたいとの要望を受け、愛車に積んで鹿児島まで800キロの旅に出た。

クラシック界を代表する名手が集い、演奏に指導にと白熱する日々が続く霧島国際音楽祭。今年は開幕公演(鹿児島県庁)と、かがり火コンサート(霧島神宮)にエレクトーンが登場。ここではかがり火コンサートについてレポートしたい。

近年、本殿などが国宝となり、注目が高まる霧島神宮。境内の屋外ステージは、神々の森に佇む神秘の空間だ。500の椅子と本格的な音響照明が設置され、いよいよリハーサルという段で強い通り雨。これも神の恵みか、厳しい暑さが一気に緩んだ。リハーサルが始まるとひぐらしの声。浅野祥さんの三味線や歌声とエレクトーンが見事に調和して森にこだまする。開演まではかなりあるという頃から観衆が列を作り、たちまち席が埋まった。

客席脇のかがり火が神宮で音楽を嗜む集いを象徴的に盛り立てる中、宮司の挨拶に続いて奏者が登場し、ガーシュイン「サマータイム」でスタート。原曲どおりの響きが突如ボサノバに変わると、観衆の体が自然と動き出す。「今夜は音楽の夏祭り! 自由気ままに楽しんで」との奏者の言葉どおりだ。かと思えば、東日本震災の際に書いたという浅野さんのバラードをしみじみと聴いたり、大河ドラマ曲、伝統曲など、多彩な曲目が次々飛び出す。最高潮は「おはら節」。浅野さんの明るい歌声、神田さんのお囃子に乗せて、観衆が踊りの輪をなした。「北千島女工節」に皆で涙し、「剣の舞」や「チャルダッシュ」を三味線でという超絶演奏に沸いた80分。見上げれば星空。日本の美しい夏がそこにあった。

三味線とエレクトーンで何ができるのか。観衆は訳もわからず集まったに違いないが、2人の演奏に明確で強烈な答えを見出し、誰もが大満足で神宮を後にした。姫路への帰路は、疲れどころか成功の喜びで心軽やかだった。もちろん安全運転で。

著・山陽道企画代表・姫路労音事務局次長/太田垣清治

エレクトーン演奏/神田 将

2023年7月22日 霧島神宮