大畑莉紗(おおはた・りさ)

ヤマハエレクトーンコンクール2011 B部門(クラシック)第1位に輝いた大畑莉紗さん。現在はソロ活動に加え、他楽器奏者とのコラボレーションやアレンジャーとしての活動も広がり、今後の活躍が大いに期待される演奏家です。

—いつぐらいから演奏家を目指したのですか?

国立音楽大学に入学して、講師陣の平部やよい先生、渡辺睦樹先生、柏木玲子先生といったプレイヤーの皆さんに刺激を受け、演奏活動をしていきたいと思いました。大学時代は毎日大学と家の行き来のエレクトーン漬け。同期とともにコンクールを目標に自分に厳しく充実した大学生活を過ごしました。大学3年のときに出場したコンクールで1位をいただいて、それが自信になりました。

—コンクールの課題曲だった「我が母の教え給いし歌」が注目を浴びました。

お世話になった今は亡き恩師への想いを重ね合わせたテーマで、ストーリー性のあるアレンジに取り組みました。印象の残る曲にしたいと本番も気持ちを込めて弾きました。コンクールの審査員だった古澤巌さんがこの曲を気に入ってくださって、ご自身のコンサートで一緒に演奏させていただいたり、アルバム『~Le Grand Amour~ 想いの届く日』の1曲目に収録してくださいました。初めてだったんです、CDに自分の音源が収録されたのが。古澤さんがエレクトーンにも理解がある方で、ヴァイオリンとエレクトーンとの音の絡み具合もよく、うれしかったです。

—卒業後、演奏活動も広がってきました。

ソロ演奏では、リサイタルシリーズを仙台や東京で、2年に一度継続して行っています。地元・仙台での演奏の機会はとても大切に考えています。また、他楽器との共演では、これまでに、ピアニスト、ヴァイオリニスト、歌手との共演、合唱の伴奏などを重ねてきました。昨年は、ヤマハ音楽院のエレクトーン競演特別コースで、1年間、オーケストラ楽器や声楽家との競演、オペラ・ミュージカル伴奏をプロの指揮者やソリストによる実習を含め勉強しました。競演コースで初めてオペラ歌手の伴奏を経験し、感銘を受けました。今後は、他楽器や歌の方と1対1で演奏する機会を増やし、深めていけたらと思っています。(2018年年末)元宝塚出身の実咲凜音さんのクリスマスディナーショーの演奏も決まり、ミュージカルナンバーにもトライします!

—ほかの楽器奏者との共演の魅力は?

エレクトーンとの共演は初めてという方がこれまでは多かったのですが、共演することで奏者のエレクトーンに対する意見も聞けますし、それによって演奏の幅も広がります。エレクトーンはさまざまなジャンルに対応する、とても自由な楽器なので、いろいろな新しい音楽を生み出すことができ、可能性も大きいと思います。具体的には、ピアニストにはピアノコンチェルトを演奏したい人が多いんです。その場合、必ず全楽章を演奏するようにしています。合唱の伴奏は2014年の「メサイア」が初めてでした。高校時代には合唱の経験があって歌は好きなんです。第九の伴奏もしましたが、4人ソロのセクションの伴奏が楽しかったです。気持ちよく演奏できました。今後も続けていければと思っています。

—これからの演奏活動に対する抱負をお聞かせください。

エレクトーンは対応力が大事だと思っています。対応力と柔軟性のある演奏家を心がけて活動していきたいです。何より、エレクトーンをもっと多くの方に知っていただきたいという気持ちがあるので、いろいろな場で演奏したいですね。ELC-02カジュアルも登場したことですし。

—最後に、大畑さんにとってエレクトーンとは?

私にとってエレクトーンは、体の一部のような…。それが欠けてしまったら自分ではなくなってしまう。エレクトーンで自分を表現したり、演奏で聴いてくださる人を笑顔にしたり、感動を与えられればいいなと思っています。一生一緒に歩んでゆくような“パートナー”じゃないかな。