音楽プロデューサー・作曲家 浅倉大介さん

 
音楽との出会いのひとつはエレクトーンだった。

音楽を自由に楽しむ楽器。それがエレクトーンだった。

—音楽は昔から好きだったんですか。
もともと、音楽を聞くのが好きで、ジャンルは問わず、童謡・クラシック・歌謡曲・洋楽を聞いていました。ただそれだけだとなんとなく物足りなくて、子どもながらに「自分だったらこうするのになぁ〜」と漠然と考えていましたね。そこで出会ったのがエレクトーンでした。
—なぜエレクトーンを選んだのでしょうか。
エレクトーンを選んだ理由は2つありました。ひとつは、ボタンとかスイッチとかコックピットのようなもので音楽が創れるというカッコ良さ。もうひとつは、セオリーを学ぶクラシックよりも、もっと自由なポピュラーミュージックを弾ける。それがエレクトーンだったんです。
ヤマハ音楽教室に通い始めたのは小学4年生の時。入会と同時に、B-6Bという中古のエレクトーンを親に買ってもらいました。トーンレバーが10個、リズムもなくて、単純にレバーを下げて音を出すだけでしたが、それでも当時は高価なもの、買ってくれたことに感謝しています。
—はじめてエレクトーンを弾いた時の印象や、記憶に残っていることはありますか?
とくに音楽をやっていたわけではないのに、なんとなく弾くことができたみたいで、先生にびっくりされたのは覚えていますね。両手と脚を使って、聞いた曲を自分のイマジネーションで弾けてしまったんです。でもその反面、これもよく覚えているんですが、「なんで楽譜のとおりに弾けないの?」って、先生に注意されていました。(笑) どうも耳から曲を覚えるというのが癖になってしまったんですね。(笑)
エレクトーンって、自分のイメージする音が、ピアノとかその他の楽器よりも簡単に出せる気がするんです。習い始めていきなり楽しい、という記憶がありますね。
これがクラシックピアノだと、はじめに楽曲を演奏する前に、ピアノを弾く為の技術を習得するところから始まり、その次に原曲があって、いかに作曲者の表現したいものを読み取って演奏するかを求められます。でもエレクトーンはとても自由。ベース・コード、メロディの3要素でリズムをキチンとマスターすれば、自分なりのアレンジができたりオリジナルの曲を作ったりすることができます。子どもにとっては、遊びごころが重要だと思うんです。

エレクトーンに夢中になった青春時代。

—浅倉さんはどんな子ども時代を過ごされましたか。当時の思い出などありますか。
エレクトーンには夢中でしたね。小学校の音楽の先生がとても教育熱心な方で、式典があるごとに合奏クラブで練習していました。エレクトーンやピアノが教室にあったので、いつも鍵盤楽器担当でした。みんなの前で演奏する時には、ソロコーナーを作ってもらってエレクトーンを弾いたこともありました。(笑) その時に、自分自身が感動したり、みんなの気持ちを感じることができたりしたのを今でも鮮明に覚えています。
—中学生の頃にはどんな音楽を聞いていましたか。
冨田勲さんやカシオペアとかでしょうか。それと映画のサウンドトラックもよく聴きました!スターウォーズとかとても壮大で、見よう見まねで耳コピしていました。さすがにその頃になるとB-6Bでは表現することができなくなって中古のD-3Rを買ってもらいました。パーカッション機能もあったり、嬉々としてエレクトーンを弾いていました。きっと、当時グレなかったのはエレクトーンという夢中になれるものがあったからなんじゃないかな。(笑)
—昔の機種をよく覚えていますね。エレクトーンという楽器自体にも興味があった?
エレクトーンって時代の最新技術が盛りだくさんで、いろいろと研究していました。どうしたら頭の中の音が出せるようになるんだろうって。今でもGX-1は永遠の憧れですよね。
—スティービー・ワンダーが使用していた機種ですよね。
そうですね。もし弾くことができるなら一度は弾いてみたい伝説のエレクトーンです。もう座ってみるだけでもイイ!(笑)
—今でもエレクトーンは好きなんですか。
好きですね。最新機種はチェックしていますよ。ヤマハの最新技術がどんなに進歩しているのか、音楽の可能性がどこまで広がっているのかとても興味があります。

エンジニアから音楽プロデューサーへ(2/2ページ)