Digital Mixer History

シンセサイザー DX7やマルチエフェクター SPX90などの製品が、業界でいわゆる「ブーム」となっている頃。ヤマハではエレクトーンの進化に伴い、DSP-LSIの自社開発に取り組んでおり、その技術をミキサーに生かすための研究が始まっていました。そして1987年、DMP7の発売によりヤマハデジタルミキサーの歴史が幕を開けます。

Digital Mixer 30th Anniversary Video

2017年はヤマハデジタルミキサー誕生から30周年となります。皆様と共に歩んだ30年を振り返りつつ、次の30年へ向かっていきたいと思います。このビデオではヤマハデジタルミキサーとともにキャリアを歩んだ2人のエンジニアを紹介します。

1987

DMP7

DX7等のシンセサイザーや音源をステージ上でミックスするキーボーディストがメインターゲットでしたが、より幅広い用途に対応できるように2系統のマイク入力を標準装備、増設用のヘッドアンプMLA7も発売するなど、SRやレコーディングでの使用も考慮されていました。また、初代デジタルミキサーにも関わらず、ミックスバランスを瞬時に呼び出してくれるシーンメモリー機能が搭載され、さらにシーンをリコールした際にはフェーダーがスッと移動するモータードライブフェーダーも採用していました。

1989

DMP11

DMP7のトータル・リコール機能はそのままに、モータードライブフェーダーを省くことでリーズナブルな価格を実現したモデル。液晶ディスプレイにバーグラフでレベルを表示するなどの工夫が施され、キーボーディストにデジタルミキサーの便利さを決定付けました。

1990

DMR8

デジタルミキサーとテープ式デジタルレコーダーを一体化。内部処理28ビット、さらにタイムコードベースで動作するオートミックス機能はフェーダーやON/OFF操作だけでなく、パンニングやEQのリアルタイム動作にも対応しており、音質・機能・表現力ともに当時の最先端をゆくものでした。また、レコーダー部分のみを独立させたDRU8を追加してトラックを追加することができました。

1991

DMC1000

SONY PCM-3324やMITSUBISHI X-850といった、当時主流の24~32トラックデジタルMTRとのデジタル接続を前提に設計されたデジタルミキサー。現在選択されているチャンネルのパラメーターをパネル上の操作子で一括操作できる、“セレクテッドチャンネル”という概念が初めて取り入れられています。

1993

DMP9

DMP11の後継機となるDMP9。インプット数の異なるDMP9-8とDMP9-16をラインナップ。2台をカスケード接続することで、24チャンネル、32チャンネルのシステムを構築することが可能でした。自照式のキーやノブの周りにLEDを環状に配置するなど、視覚面での操作感も充実していました。

1994

ProMix 01

アナログライクな操作性を実現したプログラマブルミキサー。小規模イベントでのPAミキサーとして、アナログミキサーと遜色なく、スムーズに操作できることをコンセプトに開発されました。レベルメーターもノミナルが0dB、クリップ手前の最大レベルが+15dBと表示されているなどアナログ的な発想が活かされていました。

1995

02R

AES/EBUやADAT、TASCAMなどのデジタル・フォーマットに応じたI/Oカードを装着することで、最適なレコーディング環境を構築できるオープン・アーキテクチャー設計を採用したレコーディングコンソール。44chのミキシングキャパシティ、4バンドPEQやダイナミクスプロセッサー、インプットディレイ、内蔵エフェクト、さらにはオートミックス機能を搭載するなど、これまでのノウハウが惜しげもなくつぎ込まれた02Rは一世を風靡。世界中でプロジェクトスタジオやパーソナルスタジオが生まれるきっかけとなりました。

1997

03D

02Rに匹敵する機能をラックマウントサイズに凝縮。サラウンドパン機能を標準装備、またソフトウェアのアップデートによりESAM II対応のビデオ編集機からのリモートコントロールに対応するなど、ポストプロダクション向けのコンソールとしても高い評価を得ました。MOUSE端子を装備し、マウスを使用して画面の切り替えが行えるといったユニークな機能も備えていました。

1998

01V

ProMixの後継機となる01V。リアパネルには02Rと03Dで採用しているスロットをよりコンパクト化した新規格「Mini-YGDAI」スロットを装備。デジタルレコーダーと組み合わせたレコーディングシステムはもちろんのこと、01Vとパワードスピーカーを組み合わせた小規模SRシステムも構築可能な、“Versatile”なコンソールでした。

2001

PM1D

「02R」が市場でブームとなっている頃、ヤマハでは、いよいよ“PMコンソールのデジタル化”に取り組み始めていました。それが“初代デジタルPMコンソール”となる「PM1D」です。

PMシリーズ初のデジタルコンソール。コントローラーとDSP Engine、I/O Unitをコンポーネント化することで、外来ノイズに強く、かつ柔軟なシステム構築が可能となりました。アナログ入出力部をカード化することで、後年PM5000で採用した新回路を搭載した入力カードを発売、音質面でも進化を遂げました。また、DSP Engineを2系統接続できるミラーモードや、ケーブルの二重化にも対応するなど高い信頼性も有しています。充実した機能と豊富な入出力、特に48 MIX / 24 MATRIXという出力バスは現在でもPM1Dの大きな魅力のひとつとなっています。“音質”と“機能”、そして“使い勝手”と“安全性”、これら全てを合わせ持ったもの、それがPM1Dでした。

2002

DM2000

96kHzサンプリング、96chインプットミキシングに対応したプロダクションコンソール。より制作用途にフォーカスし、サラウンドミキシングに加えサラウンドモニタリングにも対応。Steinberg Nuendo等DAWのリモートコントロール、9pinリモート機能も搭載しています。さらにMini-YGDAIスロットも進化し16chの入出力に対応しました。コンパクトなボディで多チャンネルを高音質で扱えることから、プロダクションの分野だけでなく、ライブSRでも多く採用され、その後のVersion2ではライブSR向けの機能が多く追加されました。

02R96

音楽制作のスタイルを大きく塗り替え、デジタルコンソールの代名詞的存在となった02Rの後継モデル、それが02R96です。最先端のデジタル音響技術と、先行して発売されたDM2000との併行開発で得たノウハウが存分に投入されています。接地面積は02Rと同一ながらも音質、ミキシングキャパシティ、機能は大きく進化しました。

2003

DM1000

ラックマウント可能なコンパクトサイズながら、大型コンソールにも匹敵する48chもの膨大なミキシングキャパシティを有したDM1000。後年リリースされたVersion 2では、03D以来となるESAM II対応のビデオ編集機からのリモートコントロールに対応しました。プロダクションや放送局、ライブSRなど、幅広いシチュエーションに対応。デジタルミキサーに求められる卓越した操作性、拡張性、そして柔軟性を兼ね備えた、コンパクト&パワフルなコンソールです。

01V96

“Versatile”なコンソールとして、プロフェッショナルな音楽制作から、プライベートスタジオ、そしてライブSRまで、あらゆるシーンで支持をいただいた01Vの後継モデル。96kHzサンプリング、100mmモータードライブフェーダー、サラウンドミックス、DAWコントロールなど、エントリーモデルと呼ぶにはあまりにも多機能なスペック備えています。

2004

PM5D

ライブサウンドの現場においてPM1Dではオーバースペックな場合にDM2000が使用されることが多く、市場からも“PM1DとDM2000の中間となるミキサーが欲しい”という声が増えてきていました。PM1Dに迫る音質を有しながら、ミキシングキャパシティはPM1Dの半分(0.5)という新しいデジタルミキサーはPM5Dと名付けられました。“リアパネルにはミキサーの規模と同じ数のアナログ入出力を装備”、また“チャンネル名を記入するためのテープを貼り付けるスペースが多く取ってある”など、“アナログミキサーから簡単に置換えできる”ための配慮が多く盛り込まれています。

2005

M7CL

「アナログミキサーは本当に簡単なのか?」という質問を自分たちに投げかけることから開発がスタートしたミキサー、それがM7CLです。新たにタッチディスプレイを採用することと同時に、これまでの“ヤマハデジタルミキサー”の定番である「十字キー」と「ダイヤル」そして「ENTERキー」をあえて排除する決断をしました。さらに基本画面を2種類に限定し、最低限の操作はこの2ページだけで行えるようになっています。また、センターポジションで全てのチャンネルのオペレーションを実現する「Centralogic™」という新しい操作概念を取り入れました。

2006

LS9

M7CLの発想とこれまでのデジタルミキサーで培った技術を融合し、小規模ライブSRやライブハウスをターゲットとして開発されたLS9。SR現場で必要とされるシステムそのものをデジタル化し、一人で持ち運べるほど軽量でコンパクトなミキサーに凝縮しました。“ミキサーだけでなく、SRシステムそのものをデジタル化する”、LS9が提示した新たなSRソリューションです。ラックマウント可能なLS9-16とより多チャンネルのミキシングに対応したLS9-32の2モデルをラインナップしています。

2010

M7CL-48ES

従来のアナログ設備を生かしたミキサーの置き換えを実現したM7CLにステージボックスソリューションが新たに加わりました。標準装備されたEtherSound端子には最大3台のSB168-ESを接続でき、複雑な設定なくアナログ音声の伝送劣化から解放されたステージボックスソリューションが実現できます。さらにこの年、iPadアプリケーション M7CL StageMixをリリース。ステージ上や客席でモニターしながらスピーディーにサウンドセッティングが可能となりました。

2011

01V96i

01V96をベースに最新の技術を搭載することで、近年のライブ市場でニーズが高まっているマルチトラックレコーディングへの対応、さらにVCMエフェクトの強化やヘッドアンプ部の見直しといった音質面の強化も行われました。USB端子は16イン/16アウトのオーディオストリームに対応、01V96iとSteinberg Cubase AI6等のDAWがインストールされたPCをUSBケーブル1本で接続するだけでマルチトラックライブレコーディングが行えます。

2012

CL Series

ライブサウンドシステムの核として、ミキシングコンソールに求められるものは多岐にわたります。あらゆるアーティストやオペレーターの要求に応える原音再生能力と、多彩な音作りの機能を有していること。現場のさまざまな状況に素早く対応できる、優れた操作性を備えていること。幅広いシチュエーションに合わせた、フレキシブルなシステム構築が可能であること。これらすべてを満たすミキシングコンソールのあるべき姿を、現在の視点とテクノロジーで具現化したのがCLシリーズです。

2014

QL Series

ヤマハデジタルミキサーの伝統を継承しながら、ライブコンソールの音質・操作性・機能を大きく進化させたCLシリーズ。その核となる要素をよりコンパクトなサイズに凝縮。CLシリーズ直系のナチュラルサウンドを機能的かつ音楽的に彩る豊富な内蔵プロセッシング群。現場のさまざまな状況に素早く対応できる優れた操作性。柔軟なシステム構築を簡単に行えるオーディオネットワーク「Dante」への標準対応。中小規模のライブSRやコーポレートイベント、設備音響など幅広いシーンで活躍するオールインワンコンソールの真髄、それがQLシリーズです。

2015

TF Series

タッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェースを核とする新開発の操作体系「TouchFlowOperation™」により、熟練のエンジニアからミキシングを学び始めたオペレーターまで、あらゆるユーザーに快適なオペレーション環境を提供します。音質面では、ヤマハが誇るD-PRE™マイクプリアンプをリコーラブル化して搭載し、プロフェッショナルな要求に応えるクオリティを実現。さらに、ライブレコーディングへの対応やI/Oラックとの連携といった多彩な機能と拡張性を備えます。TFシリーズは小型デジタルコンソールの活躍するシーンをこれまで以上に大きく広げます。

RIVAGE PM10

ヤマハ初のプロフェッショナルコンソールPM200から40余年、PAミキサーの歴史に幾つものマイルストーンを刻んできたPMシリーズ。それらが生み出した数多くのイノベーションは、やがてスタンダードとして定着し、世界中のプロエンジニアの仕事を支え続けています。そして、新たな「PM」―RIVAGE PM10は、サウンドクオリティ、操作性、機能、信頼性、拡張性など、あらゆる要素を徹底的に磨き抜いた、真のフラッグシップです。世界が認める「PM」の名にふさわしい新世代のミキシングシステムが、進化を続ける現代のPAシーンに次なる革新をもたらします。

2016

TF-RACK

革新的な操作性で熟練のエンジニアからミキシングを学び始めたオペレーターまで幅広いユーザー層から好評を得ている「TFシリーズ」の特長を継承しながらも、コンパクトな3Uサイズを実現しました。 『TF-RACK』は、タッチパネルによる直感的なユーザーインターフェース「TouchFlow Operation™」などにより、スペースに制限がある会場や演目においても、直感的かつスムーズな操作性を提供し、可搬性にも優れるため素早いセッティングと快適なオペレーションを実現します。

2018

RIVAGE PM7

PAミキサーの歴史に幾つものマイルストーンを刻んできたPMシリーズ。それらが⽣み出した数多くのイノベーションは、やがてスタンダードとして定着し、世界中のプロエンジニアの仕事を⽀え続けています。新たな「PM」である新世代フラッグシップモデルRIVAGE PM10の直下に位置するRIVAGE PM7も世界各地の大規模コンサート現場で使われ、サウンドクオリティ、操作性、信頼性、拡張性などで高い評価を得ています。世界が認める「PM」の名にふさわしい新世代のミキシングシステムが、進化を続ける現代のPAシーンに次なる⾰新をもたらします。

2020

RIVAGE PM5/RIVAGE PM3

RIVAGE PM5およびRIVAGE PM3は、いずれもRIVAGE PMシリーズならではのパワーと性能を軽量で直感的操作が可能なボディに凝縮した、驚くほどコンパクトなミキシングシステムです。全てのRIVAGE PMシリーズコンポーネントは互換性を持ち、新しいコンソールと従来のDSPエンジンやI/Oラックを組み合わせることができます。これらを個別のアプリケーションで動作させるだけではなく、たとえば大規模コンサート用にDSPエンジンを組み合わせてミラーリングすることも可能です。

RIVAGE PM5とPM3の登場により、RIVAGE PMシリーズはより多くのエンジニアの新たなスタンダードな選択肢となり、音響業界の新たな時代を築くきっかけになるでしょう。

2023

DM3 Series

「コンパクト」という言葉はしばしば制限を連想させ、SRの世界では機能性、接続性、音質、時にはその3つ全てにおいて妥協を意味します。

これまでコンパクトなコンソールを選択する場合、そのスペースで必要な機能を得るために何を犠牲にするかということがほとんどでした。

ミキシングコンソールDM3シリーズは、この固定観念を打ち破り、卓越したサウンド・クオリティ、迅速で簡単なセットアップと操作性、ライブ・サウンド、ストリーミング、ライブ・レコーディング、ホーム・レコーディング、音楽制作のためのプロフェッショナル・レベルの機能を提供します。

DM7 Series

ミキシングコンソールDM7シリーズは、直感的なユーザーインターフェース、コンパクトなデザイン、充実した機能により、様々な環境において同クラスのミキサーを凌駕する性能を発揮します。

ハイブリッド・ライブ、コンサートから放送、ストリーミング、音楽制作まで、DM7シリーズの高度な機能は、ヤマハの伝統である"ナチュラル・サウンド"を忠実に再現すると同時に、操作性とワークフローの新たなスタンダードを打ち立てます。

製品の色は実際の色と若干異なる場合があります。