バイオリン:バイオリンのえらびかた

Start はじめての弦楽器
バイオリン:バイオリンのえらびかた
先生に聞いてみよう!トップへ
 
初心者には、どんなグレードの楽器がオススメですか?

最近は、初めてレッスンに来られる方で、インターネット通販において安価で買われたバイオリンセットをお持ちになる方がいらっしゃいます。 バイオリンを長く続けたいと思われている方には私はお勧めいたしません。
楽器を選ばれる場合は、ご予算に応じた中で、機能的に問題がなく弾くことができ、その楽器の状態や調整の度合い、バイオリンを弾いた時に、音色によどみがなく澄んでいることが必要です。 バイオリンの品質が優れているほど、上達するにしたがって美しい音がします。

また購入するものですが、最低限必要なものは、バイオリン、弓、ケース、松脂、肩当て、クロス、楽譜でしょうか。 セットで購入すると、バイオリン・弓・ケース・松脂はついています。 だんだんレッスンが進んで、上達し弾けるようになってくると、必要になってくるものがあります。
まずは先生に教えていただくなかでご相談するのが良いと思います。

弓は何を買えばいいですか?

弓の材質にはブラジルウッド材や、フェルナンブコ材などがあり、高品質で、しなやかで音色の素晴らしいものがあります。 中には低価格が魅力でも、強度が劣るものもあります。
一般的に楽器には予算をかけますが、弓にはお金をかけないことがあるようです。 しかし、バイオリンの音を生かすのは弓であるため、私は楽器と同等ぐらいの値段で、楽器とのバランス、相性の良いものを選んでいます。 楽器の性能を充分に発揮し、正しいボーイングを身につけるためにも、弓はできるだけ良いものを使いましょう。 音色も良くなり演奏の上達につながります。
また現在では炭素繊維を使用したカーボン弓が注目されています。 私もヤマハのカーボン弓をバイオリンとビオラに計3本愛用しております。 何より丈夫で、バランス等が良く、コストパフォーマンスに優れています。

左利きなのですが、左利き用はありますか?

左利き用はなく、みなさん左手にバイオリン、右手に弓を持って演奏しています。
むしろ音程は左手で決まってしまうので、左利きの方が指の力があって弾きやすいかもしれません。

肩当はどれを選べばいいですか?

肩当には、プラスチック製や木製、カーボン製などの材質を使ったものがあり、足を左右に折りたためコンパクトに収納できるタイプ、あご当ての金具に挟んで固定するタイプ、楽器と一体感があるエアークッションタイプ等、近年はしっかり固定されるものまで幅広い種類があります。薄さや軽量のもの、フィット感を重視したものまで、デザインもさまざまで、音質の向上をはかる肩当が多くなってきています。
その中で初心者の方におすすめなのは、クン(KUN)という肩当だと思いますが、弾けるようになってきたら、自分に合うものを選ぶと良いでしょう。

弦は何を選べばいいですか?

弦の種類は主に3種類です。

ガット弦: 羊の腸から強い繊維を取り出して乾燥させ、よじり合わせたもの。
現在では、それを芯にして金属を巻きつけたものが使用されています。
音が豊かで、柔らかくあたたかみがあり、しなやかさが特徴。
ただし、扱い方が難しいです。
   
スチール弦: 取り扱いやすく伸びにくいため、チューニングが簡単にでき、寿命が長く、低価格。
ただ、音の柔らかさやしなやかさが劣ります。
   
ナイロン弦: ガット弦とスチール弦の中間に位置し、ナイロンの合成繊維が使われています。
ガット弦より扱いやすく、スチール弦よりしなやかなのが特徴です。

ヤマハのバイオリンには、スチール弦とナイロン弦の両方が使われています。
主なスチール弦:ヘリコア、プレリュードなど
主なナイロン弦:ドミナント、エヴァ・ピラッツィ、インフェルドなど
先生やお店の人と相談しながら、出したい音や弾きたい曲に合わせて選びましょう。

楽器店に行ったら、まずどんなことを伝えれば良いですか?

楽器店に行かれたら、自分は初心者であること、また概ねの予算を伝えて下さい。

  1. 探しているバイオリンは、新作か中古か?
  2. あなたが、どのような音色が好みか?明るい音、柔らかい音など。
  3. どのような価格のグレードの楽器を探しているのか?
そして同じ値段だと違いがわずかで難しいので、価格帯の違うものも見せてもらうことにより、楽器の良し悪しの判断材料となります。
なお、中古楽器は見極めるのが難しいので指導者と同伴でない場合は新作をお勧めします。

試奏をした方が良いですか?

試奏される時は同じ弓を使い、音色等を確認しましょう。
品質が安定しているか、費用対効果はどうなのかなども注意します。
自分で弾けない場合は、楽器の特徴やクセなども説明してもらいましょう。
お店に弾ける方がいれば聞かせてもらって、音の確認をしてみましょう。

楽器を選ぶときのポイントを教えてください

良質な材料やニスが使われ品質が優れているものを選びましょう。基本的に重要なことは、適切に調整された弾きやすい楽器です。
予算が許すなら、普及品ではなく中高級グレードまたは手工品といわれる楽器を購入されることをお勧めします。

分数バイオリンの場合も初めからきちんとした良い楽器を選びましょう。
保護者の方で、自分は弾けないし素人なので各メーカーの一番安い楽器を選ばれる方が多く見受けられます。子供に良い環境のもとで頑張って欲しいと思われるようでしたら、その子の将来にとって良いバイオリンに出会うということは私の経験上、とても重要で大切なことと考えます。

楽器以外に確認するポイントはありますか?

ご自身のニーズに合った楽器店を選ぶことはもっとも重要なポイントと思います。
初心者向けをメインでやっている楽器店なのか、弦楽器に詳しい担当者がいる楽器店か、などです。作りの良し悪しは、目利きのできる方なら分かると思います。
バイオリンはアフターケアの必要な楽器ですので初めてバイオリンに触れられる方にとって、特に楽器の保証を無償でして下さるのは安心だと考えます。新作だと最初は音が固く、数年弾き続けるとどのような音になるか、指導者ならある程度判断がつきます。今現在良く鳴る楽器を選ぶのか、弾き込めば良くなるのが良いのかを考え、楽器の状態、将来性などを考慮に入れてご自分に最適な楽器をお選びください。

補足

ヤマハの製品は全て1年間のメーカー保障をしております。保障期間において正常な使用状態(取扱説明書などの注意書きに従った使用状態)で故障した場合には無償修理をいたします。

関連リンク

田中 謙一郎先生プロフィール
田中 謙一郎先生プロフィール

(社)日本弦楽指導者協会 理事
(社)日本弦楽指導者協会 関東支部 副理事長

北海道に生まれ、4歳よりヴァイオリンを始める。国立音楽大学、ドイツ国立デュッセルドルフ音楽大学大学院にてヴァイオリンを学ぶ。
在学中より、オーケストラの客演や、ドイツ、オーストリア、ベルギーの国際音楽祭にて、ヴァイオリンソロ、室内楽などの演奏会に出演。オーストリア・ウィーンにてオーディションに合格し、パシフィック・ミュージック・フェスティバルに全額奨学生として参加、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ヒューストン交響楽団の首席メンバーらと協演。日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティフィルハーモニック管弦楽団、オーケストラアンサンブル金沢、広島交響楽団などにて演奏活動を行っている。
これまでにヴァイオリンソロを大関博明、尾関えりか、ゲオルグ・ハムザ、豊田耕児、ウェルナー・ヒンクの諸氏、室内楽をギュンター・ヘーグナー、ヘルベルト・ドレクセル、ウェルナー・ヒンク、クリストフ・エッシェンバッハの諸氏に師事。
2001年春と秋の荻窪の音楽祭に招かれ演奏し、いずれも好評を博す。同年9月には、セシオン杉並において洋絃会に出演し、2002年には春と秋にリサイタルを行い、2004年2月には東京において初めて自主リサイタルを開催し、あわせて高い評価を得ている。
今日に至るまで、ソロ、室内楽、オーケストラの演奏活動を幅広く行っている。また現在は、TV番組等での演奏、指導、ヴァイオリン監修や新聞、雑誌、テレビ等のメディアにおいて出演・掲載されるなど多方面で活躍している。こうした活動の一方、全国学校合奏コンクールをはじめ数多くのコンクールで審査員を務めるなど、後進の指導、育成にも意欲的に取り組んでいる。
1999年より定期的にソロリサイタルを開催している。
いままでにフランス、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカなどにて研修を行なっている。


ページトップへ戻る

  • おしえて!はじめてさん
  • はじめてさんにおススメの弦楽器
  • 弦楽器の種類と違い
  • 弦楽器生活ナビ