ヤマハアトリエ

アーティストとヤマハの共創拠点

アトリエとはフランス語で「工房」を意味します。ヤマハ管楽器部門の研究・開発拠点として世界各地に設けたヤマハアトリエで、日々アーティストとの対話を重ねながら理想の音、アーティストの独創性を高める楽器を追求する活動を行っています。

ヤマハアトリエでの研究開発

アーティストとの対話と試行錯誤

アーティストとの対話と試行錯誤

アトリエでは熟練の技術者がアーティストの声に耳を傾け、日々、研究を行っています。音色、演奏性能そして操作時の感触。アーティストの楽器への高い期待に応え続けた成果が、ヤマハ管楽器製品として世に出ることになります。

たとえば音色。楽器から出る音は様々な要素の組み合わせで成り立っています。木材や金属をはじめとした構成素材や、わずかな形状の違いはもちろん、全く同じ楽器でも演奏者によって出る音が異なることを考えると、組み合わせは膨大です。アーティストとの対話を通してより良い楽器を目指す研究には終わりがありません。

研究開発を支える技術

研究開発を支える技術

開発を行うにあたって特に重要なことは、アーティストの望みを汲み取り楽器へ反映させることです。そのために必要とされる技術は多岐に渡ります。楽器に対する深い理解、調整や修理の技術はもちろん、アトリエには部品の製作や改造の知識・技術を持った技術者が常駐し、作業に必要な設備を備えています。彼らが演奏者と楽器との橋渡しの役目を担い、その活動がヤマハ管楽器の進化に繋がっているのです。

ヤマハアトリエとアーティストの研究から開発されたモデルの一例

YCL-CSGlll

クラリネット

  • Yamaha Clarinet YCL-CSGlll

R&D拠点: ハンブルク

ヨーロッパのクラリネット奏者との継続的な対話を通じて開発されたモデル。ドイツ式の感性を取り入れつつ、繊細な息づかいから力強い響きまでを表現できる構造を、アーティストと共に追求しました。特にどの国のアーティストからも必要とされたものが「広いダイナミックレンジ、表現の自由」であり、様々な仕様を見直し実現させました。

B♭/Aクラリネット用オプションバレル

クラリネット

  • Yamaha Trumpet YTR-9335CHS

R&D拠点: 東京、ハンブルク

ヤマハアトリエとアーティストとの対話から生まれた特別なバレル。特色の異なるMEタイプとVIタイプの2種からお選びいただけます。

YAS-875EX

アルトサクソフォン

  • Yamaha Alto Saxophone YAS-875EX

R&D拠点: ニューヨーク、LA、東京、ハンブルク

須川展也氏、ジャン=イヴ・フルモー氏、オーティス・マーフィー氏らを始め、世界的なサクソフォン奏者との緊密な協力により開発されたモデルです。​発売後もアーティストのフィードバックを受けながら操作性や音響設計などの改良を重ねることで、現在も進化を続けるモデルとして多くの奏者に選ばれています。

YTR-9335CHS

トランペット

  • Yamaha Trumpet YTR-9335CHS

R&D拠点: LA、ニューヨーク

シカゴ交響楽団のジョン・ハグストロム氏とともに、全体の設計思想から部品素材に至るまで徹底的に見直し、最良のトランペットを目指して開発されました。進化は発売後も続き、2度のモデルチェンジに加えて、より奏者の細やかなニーズに応えるBRタイプもラインアップに加わりました。

YSL-882OII

トロンボーン

  • Yamaha Trombone YSL-882OII

R&D拠点: ニューヨーク

ピッツバーグ交響楽団の首席トロンボーン奏者であり、クリーブランド音楽院およびカーネギーメロン大学の教授であるピーター・サリバン氏の監修のもと開発されたモデルです。​レバー機構の改良により使い勝手が更に進化し、オーケストラ、吹奏楽など幅広く使えるXenoトロンボーンの定番となっています。

ヤマハアトリエの歴史

ヤマハアトリエの始まりは、1977年に銀座で「アトリエ東京」が開設されたことに遡ります。当時、楽器の製造工場とは別に、浜松の開発拠点では応えきれない演奏家の細やかな要望に応える開発や調整を日常的に行う場として、多くのアーティストが行き交う東京に常設の拠点が求められていました。初代室長にはのちにXenoトランペットの開発を手掛けた川崎憲三氏が就任し、国内外のアーティストとの協業を牽引しました。その後ヤマハアトリエはハンブルクやニューヨークなど各地に展開され、世界中のアーティストとのより密接な協業を図っています。

ヤマハアトリエの所在地(2025年現在)

ヤマハ・アトリエの所在地を示す世界地図:東京、大阪、ハンブルク、ウィーン、ニューヨーク、ロサンゼルス

1970年代

1977年 アトリエ東京 開設

1979年 アトリエハンブルグ 開設

1980年代

1982年 ウィンナモデル発売

1985年 アトリエハンブルグをフランクフルトに移転

1986年 アトリエパリ 開設

1986年 アトリエウィーン 開設。ウィンナモデル発表会(ウィーンフィルとの10余年にわたる共同研究)

1990年代

1990年 YTR-8335US(初代Xeno)発売、YFG-812発売

1991年 YTR-6310Z発売

1995年 YSL-882U(初代Xeno)発売

2000年代

2002年 YAS-875EX発売

2004年 トランペット Xeno Artist Model発売

2005年 YSL-882O(Xeno)発売

2005年 アトリエ大阪 開設

2005年 ヤマハアーティストサービシィズ ニューヨーク 開設

2006年 YTR-9335発売

2007年 YCB-826発売

2008年 アトリエロサンゼルス ブエナパークに開設

2009年 アトリエハンブルクを再びハンブルグに移転

2010年代

2010年 アトリエ東京 新装開設

2011年 YCL-CSGIII発売、YFL-8x7.9x7発売

2015年 YCL-SE-Artist Model発売

2016年 YHR-871発売

2018年 YCL-CSVR-ASP発売、YTR-6335RC発売

2021年 YTS-82Z-ASP発売

2023年 YBL-835発売

2024年 YTR-8335RC発売

2025年 B♭/Aクラリネット用オプションバレル発売

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