持続可能な楽器づくり
ヤマハは多くの方に感動をお届け続けられるよう、環境や社会に配慮したサステナブルな楽器づくりに取り組んでいます。
今回は、管楽器や打楽器の取り組みをご紹介します。
タンザニアで地域コミュニティと連携しながら植林
クラリネットやオーボエ、ピッコロの管体は、黒くて固い木材「グラナディラ(アフリカン・ブラックウッド)」で作られています。原産地はアフリカのタンザニア連合共和国です。
楽器づくりに欠かせないグラナディラですが、将来絶滅する可能性があると言われています
そこでヤマハは、タンザニアのNGOや住民の皆さんと一緒に植林活動を進めています。これまでに4年間で約7,400本を植えることができました。
木が楽器に使える大きさまで育つには100年以上かかります。100年先も森と楽器がずっと続くよう、ヤマハは未来を考え、パートナーである村の皆さんと一緒にこの活動に取り組んでいます。
この取り組みでは、伐採や販売による収益の95%が村の収入となっています。この仕組みのおかげで、これまでに小学校や村のオフィスが新設され、診療所には新しいベッドやマットレスが運び込まれました。他にも女性の通院費や子どもの進学手当金として使われるなど暮らしを豊かにしています。
他にも…木材を使う際に守っていること
- 認証林からの調達を優先する
- 供給源が明らかで、合法に伐採や取引された木材を使う
- 原産地の人権侵害など地域社会に悪影響を及ぼしていないことを確認する
- 遺伝子組み換え樹種は使わない
- 今ある資源を大切に効率よく使う。そのための基礎研究を続ける
鉛を含まないはんだを使って
世界ではじめて楽器を量産
管楽器工場では多くの過程が職人の手作業で行われますが、その一つが「はんだ付け」です。細かい金属部品をつなぎあわせます。
一般的にはんだには鉛が含まれていますが、鉛は人の健康に悪い影響を与えたり、動物や魚が住む環境を汚染する恐れがあります。
人間や環境にやさしい楽器づくりを行うために、ヤマハは研究を重ね、世界で初めて鉛を含まないはんだを使用して管楽器を量産することに成功しました。
現在、国内外のヤマハ工場で生産しているすべてのヤマハ管楽器*は、鉛を含まないはんだを使用しています。
*金製フルートを除く
ホルムアルデヒドの削減
管楽器だけでなく、打楽器も人や環境にやさしい取り組みを行っています。
木材用接着剤などに含まれるホルムアルデヒドは、「シックハウス症候群」の原因物質の一つとして知られています。
ホルムアルデヒドを極限まで減らすために、ヤマハでは打楽器の工場で設備・接着剤・加工条件を改良しました。2009年度以降に出荷のヤマハの打楽器は、すべてが厚生労働省の基準をクリアしています。
ヤマハ管楽器工場の環境を守る取り組み
ヤマハは日本(静岡県)や中国、インドネシアの工場で管楽器を製造しています。
工場で管楽器を作る際、加熱して加工したパーツを冷却したり、表面に金属膜を覆ったり(めっき)、楽器を洗浄するために、大量の水が必要です。加えて廃液も多量に発生します。
ヤマハは1970年から再生水の利用や有害物質の漏えい対策に取り組んでいます。例えば、川や海に悪い影響を与えないよう、工場排水が水質や生物に影響を与えていないか、定期的に調査を続けています。現在、影響はほとんどないことが確認できています。
Initiatives at Each Factory
静岡県 豊岡工場
2010年に装置を新たに導入しました。管楽器生産工程から出る酸性やアルカリ性の排出物を濃縮し、排出量を約80%削減しています。
中国 蕭山(シャオサン)工場
現在、工場廃水の約80%を再利用しており、浙江省の法令をクリアしています。この法令では、一般の工場排水基準より厳しい基準が設定されています。
また、銅でつくられた管楽器の部品を熱して加工するとき冷却水が必要ですが、その水を循環して再度利用しています。この取り組みにより、年間約5,700トンの水を削減しています。
ヤマハ・ミュージカル・プロダクツ・インドネシア
現在、工場廃水の60%以上を再利用しています。また、薬品使用量の削減に取り組んでいます。
管楽器だけでなく、リコーダーの生産工程も洗浄水を循環して再生利用しています。これにより、年間約12,000トンの水を削減しています。これは、50mプール約10杯分に相当します。