PHX

ハイブリッドシェル構造

ヤマハは何十年にも亘って積み上げてきた楽器製造における豊富な知識と経験により、PHXに最も適したシェル材を発見しました。

音の基本を作る硬質な「ジャトバ」をシェルの中心に配置し、その両側を「カポール」の層で囲み、さらにその外層には北米産の「メイプル」を使用。シェルの中心から外側に向かうほど柔らかくなる「ハイブリッドシェル構造」となっています。これによりシェル振動を最大限に引き出し、鳴りの良い豊かな音を実現しました。

ベアリングエッジ

ドラムの音色と発音をコントロールするために、PHXではタム、フロアタム、バスドラムそれぞれに独自形状のベアリングエッジを採用しました。全てのベアリングエッジ角度を30°に設定しつつ、ヘッドと接触する頂点の丸み(R=半径)をそれぞれに変えることで、各シェルに最適な音響効果を得ています。

これにより、バスドラムはより輪郭のはっきりしたインパクトのある音を、タムはよりふくよかな音を生み出します。さらにエッジ部には特殊な表面処理加工を施すことで今までに無い滑らかさを生み出し、幅広いチューニングを可能にしています。

ベントホール

ドラムシェルの寸法に応じて適切なベントホール(通気孔)の数を設定することで、ドラムの音色とサスティンの長さをコントロールしています。PHXでは、シェルサイズに合わせて1〜10個のベントホールを備えています。特に大きなサイズのシェルでは、ベントホールの数を変えることで中低域の音色を増強できるとともに、演奏時の快適さとサスティンの長さを微調整しています。

Y.E.S.S.II

マウントシステムは、タムの振動を阻害しないヤマハ独自のY.E.S.S.をPHXに合わせて大幅に進化させたY.E.S.S.Ⅱを使用。これにより重量のあるPHXのシェルを安定して保持しつつ、シェルの振動を最大限に生かします。

特殊なゴムスペーサーとメイプル材プレートを使用し、ノーダルポイント(振動を最も妨げないポイント)でシェルの重量を支えます。ゴムスペーサー内部にはボルトが貫通しておらず、ゴムスペーサーのみでシェルを支えるショックマウント構造となっています。この構造により、シェルの振動や響きがハードウェアを介して減衰することなく、タム本来の持つ豊かな音量とサスティンを引き出すことができます。

より大きなタムサイズでは、シェル重量を確実に支えるためにゴムスペーサーの固定数量を増量。スタンドセッティング時に十分な安定感を保つとともに余分な倍音を調整し、シェルサイズに合わせてバランスの取れた音量やサスティンを実現しています。

フックラグ

PHXで使用しているフックラグシステムは、旧アブソルートシリーズに搭載されたヌーヴォーラグがさらに進化したものです。この新設計によりチューニング時のラグケースの回転が最小限に抑えられ、ハイテンションチューニングに対する堅牢性に加えて、音質も向上しました。

フックラグは、余分な倍音を抑えつつ基音の鳴りを引き出すことができる新たなポイントに配置。生音でも適切にマイキングを施したような豊かな基音を引き出すことができます。マイキングをする際にはイコライジングの必要がないほど、他の楽器の中に埋もれない重厚で整った音色を作り出します。

3.0mm アルミニウムダイカストフープ

3.0mm厚のアルミニウムダイカストフープは、ヤマハ独自のプロセスで設計・製作されています。独自のダイカスト加工による剛性と、アルミ素材そのものによる軽量化により、精密なチューニングが可能です。通常の亜鉛ダイカストフープは重くヘッドの鳴りを抑えますが、ヤマハの軽量フープデザインはヘッドの振動を抑えずに、豊かでメロディックな音色と適度なアタック感を生み出します。

仕上げ

カラーフィニッシュはグロスフィニッシュ、マットフィニッシュに加え、ユニークなテキスチャードフィニッシュの3種類を揃えました。塗装を通常よりも薄く施すことでシェルの鳴りを最大限に引き出し、オープンな鳴りを生み出しています。

ヤマハドラムスは幅広い知識と経験を活かし、その特長の一つである高品質な外装面を完成させました。

全工程において長年培ってきた技術を最大限活用し、美しい仕上がりを実現しています。