第3回 メロディーと和音

 

作曲入門講座

第3回 メロディーと和音

リコどん、今日はなんだか朝から興奮気味。りこっちが和音のことを教えてくれるというのです。りこっちのお家についたリコどん。しかし、リコどんを迎えてくれたのは……

ピアどん

ピアどん
「やあ、リコどん。楽しく作曲してる? 今日はいよいよ和音のお話らしいね。」
リコどん
リコどん
「あ、今日はピアどんがいるんだ。そう、今日は和音のことを教えてもらうんだ。「ド・ミ・ソ」とか「ド・ファ・ラ」とか…。」
りこっち
りこっち
「そうね。でも、大きく捉えると楽曲の背景と思うといいよ。メロディーの居場所ともいえるかな。少しずつピアノを使って説明しようね。ピアどん、ちょっとピアノを弾いてくれる?」
ピアどん
「いいよ。和音が素敵な曲を弾いてみよう。そうだなぁ、ショパンのノクターンはどうかな?」

ピアどんはピアノのいすに座ると、素敵なショパンのノクターンを弾きました。
光り輝くようなメロディーの下で、グラデーションのように移り変わるハーモニー。リコどんはすっかり聞き入ってしまいました。

ピアどん
「どうだった?『ノクターン』は。」
リコどん
「なんて美しい・・・。幸せな感じとかや悲しいっていう表情が色のカーテンになって、時間と一緒に変わっていくようだね。」
りこっち
「リコどんってばすばらしい耳ね。その表情、感情の変化や音楽の色合いに関係しているのがハーモニーだよ。」
ピアどん
「もちろん、最初からこのような魅力的なハーモニーが書ける訳ではないんだ。ショパンも色々な音楽を学ぶことですばらしい作曲家になったんだよ。」
リコどん
「なるほどね~。」

りこっちはリコどんとピアどんが話している間にピアノの上にある5線譜に、音符を書いていました。それをリコどんに示しました。


りこっち
「さて、リコどん、一番下の音符を横に読んでみて。」
リコどん
「ドレミファソラシド、だね。」
りこっち
「そうみんなが良く知っている『ドレミファソラシド』。これは長調の音階だよ。じゃあ、その上はどうなってる?」
リコどん
「2つの音符が、あっ!ソの上にだけは3つの音符がのっているね。」
りこっち
「そう、ソの上の3つの音符以外は、全て2つ。下の音符も数にいれると、3個の音で成り立っている和音ということになるよね。これを三和音というの。はじめのドミソの積み重なり方はどうなってる?」
リコどん
「ド、ミ、ソだから……あ、そうか、ドレミファソのレとファを抜いて重なっているんだね。」
りこっち
「そう。音階をひとつずつ抜いて重ねてあるの。全てそう出来てるでしょ?」
リコどん
「レ、ファ、ラ、はレミファソラのミとソが、ミ、ソ、シ、はミファソラシのファとラが抜いてある。確かに全て同じようにできてるね。」
りこっち
「その通り。それをローマ数字で書いたものを和音記号というの。ドミソから順にI、II、IIIと書いて、Iを『いち度の和音』、IIを『に度の和音』、IIIを『さん度の和音』というのよ。」
ピアどん
ピアどん
「そういえばりこっち、『V7』と書いてある4個で出来ている和音は何ていうんだったっけ?」
りこっち
「この『V7』は『ご度のしちの和音』または『ぞく(属)しちの和音』っていうの。これは三和音に対して4個の音の積み重ねで出来ているので『四和音』ともいうね。どうしてこれだけ4個の和音を示したかというと、とてもよく使われるから。もちろん、Ⅰ7、Ⅱ7、Ⅲ7などという和音もあるんだけど、それはだんだん覚えていけば良いよ。」
リコどん
「これをもとにメロディーの背景を考えれば良いんだね。」
りこっち
「まあ、そうなんだけど、実はこの『和音』というものには一般的な進み方というものがあるの。解りやすく言うと、『和音の文章』と思えば良いかもね。これをカデンツと呼ぶの。少し例を挙げよう。」
ピアどん
「あれ?そういえばりこっちって音符を書く時いつもどうしてるの?」
りこっち
「ひ・み・つ♪」

りこっちの書いてくれたカデンツの例



リコどん
「これが和音の進行というのか~。どんな音なんだろう?」
ピアどん
「僕が弾いてみようか。」

ピアどんはそういうと、りこっちの書いてくれた「和音の楽譜」と「カデンツ」を見ながら、ゆっくり、ハーモニーを味わうように静かに弾き始めました。リコどんは一つ一つのカデンツを聞きながら、ピアノの別の鍵盤でまねをしてみたり、楽譜をなぞったり。ピアどんが『Cグループ』を弾き終えところで、りこっちが「りこっちとの会話」のテーマの楽譜をピアノの譜面台に載せました。


りこっち
「ピアノの楽譜を大譜表というの。ドミソの和音をいつもドミソと使わず、ミソドという順番にしても良いんだよ。それを『和音の転回形』というのだけど、響きを聴いて自分で判断して使ってみるといいと思う。」
ピアどん
「さて、いよいよだね。このメロディーだけの譜面に和音の背景ができるのか。リコどんにとって初めて大譜表に音を書くという歴史的瞬間が、とうとうやってきたよ。」
リコどん
「やってみるよ。」

リコどんは試行錯誤の末、こんなハーモニーをつけました。リコどんがハーモニーを考えているとき、りこっちは一度だけリコどんにアドバイスをしました。それはメロディーと和音は同時に鳴り響くので、メロディーの音も考えて和音の度数を決めるのだということです。



ピアどん
「この曲に良く合ったハーモニーだね。和音の転回形もよく工夫してある。」
りこっち
「本当ね。でもハーモニーはこれで良いけれど、もっと素敵な曲に仕上げるにはどうしたら良いと思う?」
リコどん
「今弾いているピアノという楽器に、もっとぴったりな音楽に仕上げる、だね?」
りこっち
「あら、今日のリコどんはとても冴えているのね。そう、幾つか左手の伴奏の形を示しておこう。和音は同時に響かせる方法と分散して響かせる方法があるの。簡単な形からいろいろ発展していけばおもしろいものが作れるようになると思うよ。」

りこっちの示してくれたピアノの伴奏型


リコどん
「ねえりこっち、このメロディーはリコーダーで作ったけど、ピアノの音域を考えると、1オクターヴ上で弾いたらメロディーが輝くような・・・。」
りこっち
「すばらしい!全く今日のリコどんは冴え渡っているのねー。」

そして、りこっちの書いてくれた伴奏型を基に出来た「りこっちとの会話のテーマ」はこんなふうになりました。



ピアどん
「お~」
りこっち
「メロディーが背景のなかで生き生きと輝き始めたね。これがハーモニーの神秘。すばらしい、とってもすばらしい。」

りこっちのいう言葉が少し大げさに聞こえはしたものの、リコどんもまんざらでもありませんでした。それからりこっちは短調について帰り際に話しました。これはまた次回のお楽しみです。



リコどんの音楽メモ

和音について
1. 三和音と属七の和音の響きをしっかり聴き取り、分散和音の形を工夫する。
2. 和音には一般的な進行があり、それをカデンツという。
3. メロディーは和音の背景と結びつき、曲全体のイメージを作る。
4. 楽器のもつ様々な特性を知り、全体の響きを作ること。

リコどん、今日はだいぶ疲れたようです。しかしそれはとても心地の良い疲れで、気持ちは充実感で満ち溢れていました。それから数日間、りこっちから教えてもらったハーモニーをいろいろと試してみました。そしてリコどんの会心作ともいうべき「雲のすべりだい」をピアノの曲として仕上げたのです。