作曲入門講座
第2回 変奏する楽しさ
リコどんは「りこっちとの会話」をもとにして作った、「好い気分」、「雲のすべりだい」、「悲しみ」を携え、りこっちのもとを訪れます。すると、そこにはもう一人お友達が来ていました。
- 「りこっち、この前はありがとう。あれからぼくも3曲作ってもってきたんだよ。」
- 「どういたしまして、リコどん。今日リコどんが来るの楽しみにしてたよ。今日はぴあっちがあそびにきてるの。」
- 「こんにちは、リコどん!作曲のお勉強してるの? 私にも見せて!!」
- 「すご~い!りこっちの言った通り、この3曲のメロディ-にはイメージに溢れた『問い』と『応え』の音楽があるね。面白~い!」
- 「そう、じつはこのイメージが音楽を作るうえで最も大切なことなの。」
- 「ありがとう、りこっちにぴあっち。でも何か物足りないんだ。それがぼくには何なのか・・・。」
- 「そうね~。いままでリコどんが聴いた、たくさんの音楽のことを思い出してみて。何が足りないか・・・。」
- 「あっ、音楽はメロディーだけじゃないよね。メロディーと一緒に音がいっぱい鳴っている。」
- 「そう、その通り。メロディーが歌われる背景、つまりハーモニーがある。」
- 「日本語では和声っていうこともあるね。」
- 「そう、それ!! りこっち、ハーモニーのことを教えてよ。」
- 「まあまあ、落ち着いて。今日はもう少し『問い』と『応え』を続けてみようと思ってるの。メロディーの形を変化させてね。それを変奏というの。」
- 「ヘンソウ? どんなふうにするの?」
- 「この間、わたしとりこっちと2人で作った曲があるでしょ?」
- 「『りこっちとの会話』だね。」
- 「そう。その曲をもとにして(テーマ)、また2人で『問い』と『応え』を作ってみましょう。いわゆる、『変奏』。」
- 「メロディーの形をリズムによって変えてみたり、飾ってみたりするのね?」
- 「そうそう。始めの2小節を変奏したら、それをもとに『問い』と『応え』の方法で作っていけば良いよ。」
- 「OK、やってみよう。」
- 「どう?これが変奏だよ。どんな感じにもとの曲(テーマ)が変わったかな?」
- 「メロディーの音は変わらないのに、リズムが変化しただけでとても新鮮な感じがするよ。すごく楽しくなってきた。早く次に行こうよ。」
- 「まあまあ、そんなに慌てないの。慌てるとろくなことはないよ。この同じリズムで次の8小節を―ここの部分を中間部というんだけど―続けたらどうなるかな?」
- 「うーん、あまりパッとしないな~。ここは音も高くなって、前の8小節とは違う感じ、もっと個性的な感覚が出てこないとおもしろくないんだね。」
- 「そう感じた?リコどんもお目が高い。だからいつもメロディーを注意深く、心で歌うことが大切になるの。そうするとここからは別の変奏をして欲しいとメロディーが訴えかけてくる。」
- &
- 「それではリコどんお気に入りの変奏で、中間部の『問い』と『応え』の始まり。」
- 「よし、これで変奏曲の出来上がり。もう一度始めから演奏してみよう。」
- 「すご~い。リズムと音を少し変化させただけで、こんなふうに曲が変身するなんて!」
- 「そうだね。これが変奏の魔術だよ。いろんなリズムのアイデアで曲を変奏してみると、音楽の奥深さも経験することになるの。」
- 「あ~楽しかった。今度までに変奏曲を作ってみよう。」
- 「今度はいよいよハーモニーね。」
りこっちとぴあっちはリコどんの作った「好い気分」、「雲のすべりだい」、「悲しみ」の楽譜を見ながら、口ずさんだり、うなずいたり、ニヤっとしたり、驚いたりと、まるで百面相です。
さっそくリコどんはリコーダーを手にしました。そしてりこっちは口笛で「りこっちとの会話」、の始めの2小節を、こんな問いかけに変化させたのです。
リコどんはりこっちのリズムをまねて、リコーダーで次の2小節を、美しく、そして気持ち良さそうに吹きます。
りこっちは「その調子!」と言って、次の2小節をリコどんに話しかけるように吹きます。リコどんもそれにリコーダーで応えます。
リコどん、それを一人で吹いてみます。そして、首をひねりながら
リコどん、中間部の始めの2小節をいろいろとリズムを変えて吹き始めますが、なかなか気に入った変奏ができません。そこで、りこっちやぴあっちとああだこうだと相談しながら、やっとお気に入りの変奏の形を見つけました。
それで出来た中間部はこんなふうになったのです。
それからテーマが戻る最後の8小節になると、リコどんのひらめきはすばらしいものになり、りこっちもびっくり。ぴあっちもうっとりしています。
リコどんは変奏する楽しさを知って、充実した思いを胸に抱きながら帰ってきたのでした。
リコどんの音楽メモ
変奏について
1. 自然なリズムでテーマのメロディーの音をつなげたり、隣り合った音で装飾してみる。
2. あまり色々なリズムを使わず、『問い』と『応え』のバランスを考えながら変奏する。
3. しかし、大胆なリズムの冒険も忘れない。
4. 色々な変奏を試みることで音の動きに慣れ、作曲する楽しさとともに、音楽の奥深さを経験することが大切である。
☆リコどんはりこっちに教えてもらった"変奏"に夢中になり、早速「好い気分」の変奏曲を作りました。3部形式のAの8小節はそのままにし、Bの中間部から変奏を試みたのです。実際に音を出しながらテーマになった「好い気分」と比較して下さい。
1. 自然なリズムでテーマのメロディーの音をつなげたり、隣り合った音で装飾してみる。
2. あまり色々なリズムを使わず、『問い』と『応え』のバランスを考えながら変奏する。
3. しかし、大胆なリズムの冒険も忘れない。
4. 色々な変奏を試みることで音の動きに慣れ、作曲する楽しさとともに、音楽の奥深さを経験することが大切である。
☆リコどんはりこっちに教えてもらった"変奏"に夢中になり、早速「好い気分」の変奏曲を作りました。3部形式のAの8小節はそのままにし、Bの中間部から変奏を試みたのです。実際に音を出しながらテーマになった「好い気分」と比較して下さい。