デジタル教材WEB実践事例 茨城県つくば市立春日学園義務教育学校
ヤマハ デジタル教材WEB実践事例
茨城県つくば市立春日学園義務教育学校
佐々木 先生
概要
- 導入時期
- 2017年3月
- 取り組み
概要 - 学年4年
- 目あて
- 1年生への応援ソングをつくろう!
- デジタル教材
の種類 -
ヤマハデジタル音楽教材
ボーカロイド教育版
- 小学校
- ボーカロイド教育版
- Windowsタブレット
内容
昨年、2015年度よりボーカロイドを使った創作授業に積極的に取り組んでいる春日学園義務教育学校の佐々木先生。「音の長さや高さを変えるためにコンピュータに指令を与える、という意味ではボーカロイドを使った創作はプログラミング的な要素を含んでいると思う」と、この授業を振り返って話されていました。偶然できる音楽ではなく、曲の構成や音の並べ方、音楽の様々な要素を学び、自分なりにどのように表現すべきか考え、見通しを持って曲を作る。入力されたフレーズを何度も聴きながら試行錯誤して曲をつくる過程は論理的思考力を高める学習になるのでは?と思えるような授業展開となりました。
1 歌づくりのための事前学習
音楽授業で繰り返し歌ってきた「とんび」のメロディを、練習の題材としてボーカロイドに入力してみました。
児童たちにとって何度も歌っていて大変馴染みのある曲です。使われている音符の種類も多く簡単な曲ではないのですが、入力した音を繰り返し聴きながら調整を繰り返し、「とんび」の旋律を正しく入力することができました。知っているメロディを入力することで、ボーカロイドの基本操作を完全にマスターすることができたようです。
ボーカロイドの入力画面上では、メロディが4小節のまとまりで山なりの弧を描くメロディになっていることが、視覚的に確認できることができます。また「ピンヨロ―、ピンヨロ―」の部分は同じリズムを繰り返しながら音域を変え、反復している様子がよく分かります。
そこで、この「ピンヨロ―」の部分を児童それぞれの自由な発想でアレンジしてみることにしました。まずワークシートにオリジナルメロディの動きを線で描き、その形をボーカロイドに音を並べて再現し新たなメロディにします。児童たちはとんびが飛ぶ様子を思い浮かべながら思い思いのメロディを作り、いろんな形のメロディが考えられること、メロディの形によって印象が変わることなどを学習しました。
2 歌詞づくり
春日学園では異学年交流の一環として1年生~4年生までの4学年を縦割したグループでの活動が日頃より行われており、4年生はグループのリーダーとして下級生の面倒を見るという役割があります。そのような背景もあり、「1年生を励ます歌、楽しく学校に通えるような歌を贈ろう」とテーマを決めて、創作授業が始まりました。
4年生が実施した1年生へのインタビューを通して、1年生が興味を持ちそうなワードを付箋に書き出し、それらを取捨選択し並べ変えながら歌詞を組み立てていきます。
「1年生も楽しく歌える曲」というのも目標の1つでしたので、1年生の音楽の教科書の歌を歌いながら、曲の長さや言葉の数などを考え、曲の長さは8小節、1小節は8文字までを目安としました。
1年生の「興味持っていること」「心配なこと」「学校生活での好きな時間」などを中心に、また、4年生から1年生へ贈る想いを加えて素敵な歌詞ができました。
3 リズム曲づくり
歌詞の完成後は、歌詞に込められた言葉のリズムに気を付けながらリズム曲づくりです。ここでは歌詞の意味が正しく伝わるように言葉の区切りに気を付けることがポイントとなります。
1マス8分音符に見立てた方眼状のワークシートに、ひらがなで言葉を埋めていきます。言葉の区切りは長い音符になるように、2マス使って4分音符にしてみたり、休符を入れるために空欄にしてみたり。児童たちは手拍子をしたりリズム唱したりしながら真剣にリズムを考えていました。
4 ボーカロイドを使ってメロディづくり
いよいよボーカロイドでのメロディづくりです。まず伴奏選びからスタートしました。伴奏スタイルは元気いっぱいのリズミカルなものや、流れるようなアルペジオのものなど6種類用意していました。「こんな曲を1年生にプレゼントしたい」という気持ちを大切に6種類の伴奏の特徴を分析し、根拠を持って伴奏選びをしました。選んだ理由について、「1年生が元気に登校できるように」「楽しい雰囲気の伴奏を選んだ」というように、ワークシートに記入していました。
伴奏が決定した後は、まずボーカロイドの画面上に同じ音でリズム曲を転記。その後に、ピアノ伴奏のコード進行に合わせて音の高さを変化させてメロディに仕上げていきます。
そこで便利なのが、ボーカロイドのコードガイド機能。コード進行に合わせて、コードの構成音を表示してくれます。「伴奏とメロディの音が合わないな」という時には、コードガイドを参考にすると解決できるわけです。
「完成したら、なめらかで歌いやすいメロディになっているか再度確認しましょう!」と佐々木先生。おのずとコード構成音ばかり使っていてはメロディがガタガタしてしまうことに生徒たちは気付くようで、まだ学習していない「経過音」などを使いながらメロディをブラッシュアップしている様子が見られました。
また、ボーカロイドの画面上では視覚的に音の動きが分かります。8小節を俯瞰して見ることで、メロディの上行、下行、反復の形が分かるので、グループで確認しながらブラッシュアップを繰り返していたようです。
5 発表
ボーカロイドで作った歌を1年生へプレゼントする時が来ました。4年生は創作する過程ですっかり歌を覚えていましたが、1年生も一緒に歌えることも、今回の歌づくりの大切な目標です。創作の過程では常に「1年生が歌いやすいように」というのがキーワードになっていて、シンプルなリズム、シンプルなフレーズ、反復などの要素を上手く使ってメロディづくりをしていました。1年生への想いがギュッと詰まった歌を、4年生は手拍子しながら上手に1年生に指導し、たった15分ほどで1年生が歌えるようになっていたのには、ヤマハスタッフも驚きました。
最後は、佐々木先生のピアノ伴奏に合わせて、1年生と4年生が一緒に歌い発表会実施。オリジナルの歌を通して、素敵な異学年交流となりました。