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ネクスト・ヴィルトゥオーゾ ピアノリサイタル

第1回:ファンズワース・ユリエ、髙井玄樹(東京藝術大学)

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今年からスタートした「ネクスト・ヴィルトゥオーゾ・ピアノリサイタル」は、そのタイトルの通り「次世代を担う、才能豊かな若きピアニスト」が続々と登場する新たなコンサートシリーズ企画。1月21日に行われた記念すべき第1回には、ファンズワース・ユリエさんと髙井玄樹さんが出演しました。

最初に登場したファンズワースさんは、ショパンの残した名作の一つ「24の前奏曲」から演奏をスタート。調性を変えながら次々と現れる楽曲に対して、それぞれに一番適した音色を引き出し表情を付けていく緻密な構成力、そしてしなやかで技巧的な指さばきによって、30分近くの大作は一瞬の緩みもなくラストを迎えます。続くドビュッシーでは空気を一気に変え、「ミンストレル」では軽やかで転がるような歯切れの良さ、「亜麻色の髪の乙女」では嫋やかな浮遊感、「アナカプリの丘」では透き通るような高音をヤマハCFXから引き出しました。そして最後はガーシュインの「3つの前奏曲」。アメリカで生まれ育ち、アメリカで音楽を学んできたファンズワースさんの手にかかると、快活でユニークなガーシュインの作品がより輝きを放ちます。明らかにここまでの演奏とは異なるリズム感をくっきりと際立たせ、ダイナミックに演奏を終えると会場の興奮も最高潮に達しました。

次に登場した髙井さんは好対照なプログラムで演奏に臨みました。J.S.バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」では、冒頭の有名なくだりを荘厳に響かせた後、ジワジワと時間をかけてデュナーミクの幅を広げていきます。ピアノの最大限のポテンシャルを試すかのようなクライマックスを迎えても、ヤマハCFXは余裕を持って応え、地響きのような低音から嘆きや叫びのような高音まであらゆる倍音が重なり合いながら堅牢で壮大な世界観を作り上げました。
続いての作品もバッハ、しかも最高傑作の一つで演奏に高い集中力を要する「ゴルトベルク変奏曲」。直前の「シャコンヌ」で残した深い悲しみの余韻が漂う中、おなじみの穏やかで優しいアリアの調べが会場を包み始めると、その後は30にも及ぶ変奏を、「シャコンヌ」でのオルガン的なアプローチとは対照的にチェンバロ的な音色で組み立てていきます。最後に再現したアリアを、長大な物語の幕を閉じるように静かに弾き終えると、言葉を飲むようなしばしの静寂の後に大喝采が湧き起こりました。

終演後、ファンズワースさんは「今までで一番良いコンサート経験で、気持ちよく演奏に集中できる空間でした。ヤマハCFXは中音域はまろやか、高音域は明るくビビッド。そして大きな鐘のように鳴る低音が全てのハーモニーを支えるという、素晴らしい聴覚体験を得られました」、髙井さんは「大きなホールとはまた違った、温かい会場の響きがとても心地良かったです。ヤマハCFXは反応の良さはもちろん、音色の種類の豊富さに驚かされました。演奏家が本当に望んでいる音色だけをしっかり奏でてくれる、大変素晴らしい楽器でした」とそれぞれ感想を述べました。
今後のお二人の活躍にますます期待が高まる、印象深い一夜となりました。

会場

ヤマハ銀座コンサートサロン(ヤマハ銀座ビル 6F)
東京都中央区銀座7-9-14
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日時

2020年1月21日(火)19:00開演 (18:30開場)

演奏者/曲目

■ファンズワース・ユリエ
F.ショパン/
・24の前奏曲 Op. 28
C.ドビュッシー/「前奏曲集第1巻」より
・第12曲「ミンストレル」
・第8曲「 亜麻色の髪の乙女」
・第5曲「 アナカプリの丘」
G.ガーシュウィン/
・3つの前奏曲

■髙井玄樹
J.S.バッハ=ブゾーニ/
・シャコンヌ ニ短調 BWV1004
(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より)
J.S.バッハ/
・ゴルトベルク変奏曲 ト長調 BWV988

※都合により曲目が変更になる場合がございます。
※演奏順は当日のプログラムでご確認ください。

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アーティストサービス東京 03-3572-3426(平日10時~17時)

上記は2020年1月8日現在の情報です