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サロンコンサート in Ginza

Vol.14 :太田 糸音、黒崎 拓海

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 国際的な活躍を期待される若手ピアニストが、ヤマハ銀座コンサートサロンでコンサートグランドピアノ「CFX」を奏でるコンサートシリーズ。。Vol.14には太田糸音さん、黒崎拓海さんが出演されました。現在ドイツで学ばれているお二人も、Vol.13にご出演の岩井さん、神原さんと同じく第8回仙台国際ピアノコンクールの出場者です。

 前半に登場した太田さんはバッハの《パルティータ第2番ハ短調》で演奏を開始。一つひとつの音に重みがあり、声部の対話の生き生きとした表情には目を見張るものがありました。

 2曲目はバッハの影響を受けた作曲家であるメンデルスゾーンの《幻想曲「スコットランドソナタ」》です。美しい旋律や和声進行に彩られつつも、楽曲にはシンプルな音階や分散和音なども多く、冗長になってしまいがちな作品ですが、太田さんの演奏には全くそのような心配はありません。音色の変化の多彩さ、繊細なペダリングなどを駆使して、楽曲から様々な表情を引き出していました。

 最後はプロコフィエフの《4つの練習曲》から第3番と第4番で、終始息をつく暇もないほど緊迫感に溢れた楽曲です。始まった瞬間から終わるまで目が離せないほど鮮やかにパッセージやオクターヴを弾きこなしているのですが、ただ技術で圧倒するのではなく、それぞれの動きや旋律から心の様々な動きを感じさせ、会場の空気を完全に掌握していました。太田さんの演奏は、全体を通して作曲家ごとの音色の変化が特に明確に違っていたのが印象的でした。

 後半の黒崎さんはベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第26番「告別」》でスタート。シャープな音色で、楽曲の輪郭が非常に明瞭に浮かび上がってきます。ヴィルトゥオジティ溢れる第3楽章での粒ぞろいの美しさに圧倒されました。

 2曲目はリストの《巡礼の年第1年「スイス」から〈オーベルマンの谷〉です。文学作品と結びついた楽曲であり、心情の変化を楽曲で見事に表現されているのですが、音量と音色のコントロールを巧みに利用し、それを鮮やかに描き出していました。

 最後に演奏されたのはスクリャービンの《ピアノ・ソナタ第5番》。ここで黒崎さんの音色が大きく変わります。スクリャービンの楽曲ならではの神秘和音の響きがとても柔らかく、官能的な響きをピアノから引き出し、会場を包み込んでいました。また、トリルや跳躍音型、高速パッセージなど超絶技巧に彩られた作品ですが、そういった要素を感じさせないほど自然に音楽を作り出しており、会場全体の空気を見事にスクリャービンの独特の世界に塗り替えていました。

 演奏後、黒崎さんは「今回、滅多にない機会をいただけましたので、なるべく守りに入らず攻めた演奏をしようと思い、会場で生まれるインスピレーションを大切に演奏しました。CFXは響きが豊かで、低音域から高音域までのバランスが素晴らしいですね。また演奏していて、つい感情が入りすぎてしまったときも最良のバランスの響きを出してくれるので、助けられる場面が何度もありました。今日の演奏曲は自分にとってハードルの高い曲でしたが、これまで学んできたことを出し切れるものを選びました。2019年からドイツのワイマールに留学していますが、その中で改めて日本という国のすばらしさに気が付くことが多く、留学生活が終わったら日本で活動していければと思っています」と語ってくださいました。

 また、太田さんは「バッハは高校生の頃から大好きな作曲家です。合唱で内声パートを歌う機会があり、さらにそのとき4声のフーガを弾いていたタイミングも重なったことで、声部の絡み合う美しさにのめり込んでしまいました。また、現在ドイツのベルリンに留学しているのですが、舞曲などを弾いているとドイツ語のアクセントが活きていると感じる機会が増えて、よりバッハの魅力に惹かれています。また、今日演奏したプロコフィエフの練習曲は中学生の頃から弾いている曲で、弾くたびに自分の状態がよくわかる、私にとって“仲間”であり、“支え”のような存在です。また、ずっとヤマハのピアノを弾いてきたこともあって、CFXにはとても親しみを感じています。今日もたくさんピアノに助けてもらいました。音色の美しさはもちろん、自分の出したい音を引き出してくれるところが魅力ですね。今後もヨーロッパを拠点に、演奏はもちろん、いつかは指導者としても活動していくことが目標です」と語ってくださいました。

 ドイツでの学びを活かした演奏で魅了してくださったお二人は、ヨーロッパの香りを感じる音色が印象的でした。今後のさらなる活躍に期待が高まります。

会場

ヤマハ銀座コンサートサロン(ヤマハ銀座ビル 6F)
東京都中央区銀座7-9-14

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日時

2022年6月2日 19:00開演 (18:30開場)

演奏者/曲目

■太田 糸音
J.S.バッハ/パルティータ第2番ハ短調 BWV826
メンデルスゾーン/幻想曲「スコットランドソナタ」嬰へ短調 Op.28
プロコフィエフ/4つの練習曲 Op.2より 第3番ハ短調、第4番ハ短調

■黒崎 拓海
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第26番 Op.81a 変ホ長調「告別」
リスト/巡礼の年第1年「スイス」S.160より「オーベルマンの谷」
スクリャービン/ピアノ・ソナタ第5番 Op.53

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上記は2022年5月30日現在の情報です