この記事は2024年10月18日に掲載しております。
2021年のショパン国際ピアノコンクールで、当時17歳の最年少ファイナリストとして圧巻の演奏で聴衆を魅了したエヴァ・ゲヴォルギヤン。2023年の日本デビューに続き、2024年に再来日し、日本のファンを熱狂させた。ピアノとの出会いから現在の活動にいたるまで、音楽への想いを語ってくれた。
- pianist
エヴァ・ゲヴォルギヤン - 「雄弁な感情表現と完璧なテクニック、達人の特質のすべてを併せ持っている」(ICMA国際クラシック音楽賞)、「エミール・ギレリスやベラ・ダヴィドヴィッチといったロシアの巨匠を思い出させる」(グラモフォン誌)、「稀有な才能の持ち主」(モーストリークラシック誌)と評されるエヴァ・ゲヴォルギヤンは2004年に生まれ、ピアノ王国ロシアの新世代で最も期待されているピアニストのひとり。2021年の第18回ショパンコンクールでは最年少ファイナリストの中で円熟さえ感じられる重厚な表現と鋭い感性、鉄壁のテクニックで会場の聴衆と世界中のリスナーを虜にした。
モスクワ音楽院の名門中央音楽学校でナタリア・トゥルル教授に学ぶとともにロシアン・ピアニズムを代表する巨匠たちに師事。エフゲニー・キーシンやデニス・マツーエフなどの支援を受け研鑚を積んできた。ロシアが誇る天才少女としてロシア大統領やイタリア大統領などの元首に演奏を披露している。
数多くの受賞歴の一例をあげると、サンタ・チェチーリア国際ピアノコンクール第1位、ジュリアーノ・ペカール国際ピアノコンクールグランプリ、青少年のためのショパン国際ピアノコンクール(ポーランド)第1位、ヤング・ショパン国際ピアノコンクール(スイス)第1位、ロベルト・シューマンピアノコンクール第1位、シカゴ国際コンクールグランプリ、クリーヴランド国際ピアノコンクール第1位、エスベルクホフクラシックピアノフェスティバル優勝、ロシア国立交響楽団によるコンクールグランプリなど50を超える。
「あとが大事」と言われるショパンコンクールにおいて現在のエヴァの演奏活動は際立っており、モスクワ音楽院、スペインのクィーン・ソフィア高等音楽院に在学しながらロシア、ドイツ、スペイン、フランス、アメリカなどで年間90回以上のコンサートに出演、2023年初来日公演の成功は記憶に新しく、コンチェルト、リサイタルはもちろん室内楽、歌曲ピアノパートにおいても傑出した音楽性を発揮している。
2024年公演は小林研一郎指揮読売日本交響楽団とラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、ユベール・スダーン指揮札幌交響楽団とチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番を共演するとともに全国主要都市でリサイタルを開催、自分の音楽を表現するのに最も適しているというヤマハ株式会社提供のCFXで演奏。
再来日に合わせて2023年初来日公演のライヴCD「Chopin Rachmaninov」(2枚組)がアルトゥス、キングインターナショナルからリリースされた。
公演お問合せ/オフィスRyo
E-Mail:ishiceli@kki.biglobe.ne.jp
※上記は2024年10月18日に掲載した情報です。
日本は第二の故郷
2023年、エヴァは初来日リサイタルを行い、多くの日本人の心をとらえた。そして、今年2024年に再来日し、さらに輝きを増した圧倒的な演奏で各会場を魅了した。
「昨年も今年もそれぞれ1カ月以上滞在していて、日本は第二の故郷のように感じています。日本の人々、文化、コンサートホール、すべてすばらしく、大好きな国です」
「乾杯」、「いただきます」、「ありがとうございます」──。今、日本語も勉強中だと笑う。
「日本のお客様はしっかり聴いてくださるだけでなく、そこから何かを感じ取ろうとしてくれます。演奏家に寄り添う、とでもいえばいいでしょうか」
彼女は「ヤマハ・ヤング・アーティスト」でもあり、リサイタルで使用したヤマハCFXについても「自分がやりたいことがすべてできるピアノ」と絶賛した。
昨年はオール・ショパン・プログラムを披露したが、2024年はベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第27番』、ブラームス『4つの小品』、ラヴェル『ラ・ヴァルス』、そして24曲すべてが違う調性で書かれたショパンの大作『24の前奏曲』という日本でのリサイタルのために新しいレパートリーで組んだプログラムを用意した。
「すべて思い入れのある作品です。ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第27番』は2楽章しかなく、他のソナタとは異なるところに魅力を感じます。『4つの小品』はブラームスが作曲した最後のピアノ独奏作品で、深淵なところが好きです。ラヴェル『ラ・ヴァルス』は20世紀の困難な時代を表現していますが、それがワルツに乗せられているというコンビネーションがとても面白いですよね。『24の前奏曲』は日本で演奏するために初めて取り組んだ、自分にとっての新しいショパンです」
再来日に合わせて、日本で初めてのCDもリリースされた。2023年の初来日リサイタルを収録したもので、自身が得意とし共感するショパンとラフマニノフに特化したプログラムとなっている。
「CFXで演奏したライブCDであり、すばらしい録音です。アンコール曲も収録されていますので、そこにも注目していただければと思います」
雄弁な感情表現と完璧なテクニック、達人の特質のすべてを併せ持っている。国際クラシック音楽賞(ICMA)でそう評されるなど、天才ピアニストの名をほしいままにするエヴァ。自身では自分をどうとらえているのだろう。
「まだ若いので学ぶべきことはたくさんあり、これからもっともっと成長していかなければならないと思っています。まだ、始まったばかりです」
未来の巨匠は、ピアニストとしての理想像を20世紀の巨匠たちに見いだしている。
「ミケランジェリやホロヴィッツを尊敬しています。感情表現が豊かで、しかも個性がありますよね。ピアノというのは単に鍵盤を叩けばいいというものではなく、弾いたときにその人だとすぐにわかるような個性を出すことが大事だと思っています。私はそれを目指しています」
※上記は2024年10月18日に掲載した情報です。
リリース情報
- ショパン&ラフマニノフ 日本公演ライヴ
- レーベル:ALTUS
価格:¥4,000 (税込)
発売日:2024年09月21日
ピアノ;ヤマハCFX
ライヴ録音:
[ショパン&アンコール*]2023年9月6日/浜離宮朝日ホール
[ラフマニノフ&アンコール**]2023年9月9日/浦安市文化会館
- エヴァ・ゲヴォルギアン~第18回ショパン国際ピアノ・コンクール・ライヴ
- レーベル:NIFC
価格:¥3,900 (税込)
発売日:2022年5月28日