2025年8月11日 東京文化会館小ホールにて開催される浜野与志男さん。
『浜野与志男 ピアノ・リサイタル』に先駆けてインタビューいたしました。

- 浜野 与志男
ピアニスト
- 東京生まれ、日本語とロシア語のバイリンガルの環境に育つ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学音楽学部を卒業後、英国王立音楽大学へ留学し修士号とアーティスト・ディプロマを取得した。2012・2013年度 公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生、2014年度 公益財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生。2015〜2016年にドイツ・ライプツィヒにて、2016年〜2018年にかけてはモスクワ音楽院で研鑽を積んだ。 これまで松本裕子、岡田敦子、エレーナ・アシュケナージ、御木本澄子、ヴァディム・サハロフ、ニキータ・フィテンコ、ドミトリー・アレクセーエフ、ゲラルド・ファウト、エリソ・ヴィルサラーゼの各氏に師事。エレーナ・アシュケナージと岡田敦子の両氏にはともに10年以上にわたり師事した。
第2回野島稔・よこすかピアノコンクール最高位、第80回日本音楽コンクール優勝。英国留学中にはマルメ北欧ピアノコンクール第1位、アルマトィ国際ピアノコンクール第2位、また2017年ブラームス国際音楽コンクールでは特別賞を受賞した。
ロイヤル・フェスティバル・ホール、サウスバンクセンター・パーセルルーム(ロンドン)、モスクワ音楽院ラフマニノフホール、東京オペラシティ『B→C』、シャネル・ピグマリオン・デイズ、浜離宮朝日ホールでのソロリサイタルをはじめ国内外にて演奏活動を行う。これまでに、日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、セントラル愛知交響楽団、藝大フィルハーモニア、カザフスタン国立交響楽団、スウェーデン・ルント市交響楽団等のオーケストラ、指揮者ではアレクサンドル・ラザレフ、ダヴィド・ゲリンガス、円光寺雅彦、大友直人、山田和樹等と共演している。「東京・春・音楽祭」やローム ミュージック フェスティバル出演のほか、神尾真由子、玉井菜採、城戸かれん、伊藤亮太郎、ステパン・ヤコビチ、イシュトヴァーン・コハーン、アレッサンドロ・ベヴェラリ、北川翔など室内楽の共演も多い。
2019年にTRITONレーベルより発売されたデビューアルバム[ステート オヴ マインド](レコード芸術準特選盤)ではラフマニノフ、タネーエフ、ショスタコーヴィチ作品の好演に対し「大器を予感させる、スケールの大きなピアノ」と評された。
東京音楽大学非常勤講師、東京藝術大学非常勤講師を経て、現在は東京音楽大学専任講師を務める。国内の主要なピアノコンクール審査のほか、Washington International Piano Festival(アメリカ・ワシントンD.C.)やTalent Music Summer Courses & Festival(イタリア・ブレシア)をはじめ国内外の音楽祭や講習会にも例年招聘されている。
株式会社パシフィック・コンサート・マネジメント所属。
浜野 与志男 オフィシャルサイト
Q:8/11に新進演奏家育成プロジェクトのリサイタルにありますが、浜野さんにとって東京文化会館の会場はどのような存在でしょうか。
小学生の頃からコンサートを聴きに来たことがあったほか、高校と大学の7年間は東京文化会館の建物を横目に歩き、上野公園を斜めに横切り通学していました。
ホールの天井は月面を思わせる色と質感だし、小ホールのホワイエへ続くスロープはクルマが行き違えるほどの幅があって立体駐車場のようだし、建物自体になんだか幼心をくすぐるものがありました。
音楽高校への進学を決めるまでは建築家になる夢もあったのですが、このような素晴らしい建物を訪れた経験もそのきっかけになっていたのではないかと思います。
東京文化会館小ホールでは長年にわたって素晴らしいキャリアを積まれているベテランのアーティストのリサイタルも多く、また日本演奏連盟のリサイタル・シリーズには尊敬する先輩方や友人たちもこれまで出演しており、大きな憧れでした。今回が私にとって東京文化会館小ホールでの初めてソロ・リサイタルになり、身が引き締まる思いです。
Q:今回演奏される作曲家や曲目について、聴きどころがありましたら教えてください。
恩師の教えに導かれて私自身が魅力を感じているスクリャービンの作品、またまさに同じくスクリャービンの音楽に憧憬をもちスクリャービンの音楽を志したオーストラリアの作曲家ロイ・アグニューのソナタを続けて演奏いたします。スクリャービンのスタイルが、遠く離れたオーストラリアの作曲家の作品にどのように受け継がれたか、注目いただけましたら幸いです。
また、しばしば対照的な音楽と見られるプロコフィエフとドビュッシーの作品をプログラム後半で取り上げます。響きの〈質感〉に着目して共通点を探ります。
プログラムの幕開けはベートーヴェンの「32の変奏曲」となりますが、これは37歳の頃に書かれた作品。生き急ぐような、勢いのある表現が求められ、ベートーヴェンの苦悩や葛藤が感じられます。この年齢ならではの表現ができるよう、力を尽くします。

Q:当日はヤマハコンサートピアノCFXで演奏されますが、どんなピアノでしょうか。
音に深みと〈品格〉があり、弦楽器との相性が良いため室内楽にも向いている楽器だと今年3月の演奏会で気づきました。低い音域が豊かで、和音を強く弾いたときに指先から伝わる振動は響きの拡がりを予感させてくれます。
弾いているうちに、遠くへ送り出した音を自分で追って、虫取り竿を持った子どものように駆け出したくなる…そのような気持ちにさせてくれる楽器です。
Q:公演へ来場される皆さんへメッセージをぜひお願いします。
18世紀から19世紀にかけて作曲された古典派・ロマン派の作品は私たちピアニストにとって中核的なレパートリーですが、今では20世紀の音楽も、作曲されてから一年、また一年と時間が経ち〈新しい音楽〉ではなくなりました。20世紀という(いくつもの)時代と向き合うにあたって、音楽をはじめ芸術の果たしうる役割はとても大きいと考えます。
8月11日のリサイタルでは20世紀の音楽がプログラムの中心となっています。クラシック音楽の地理的な広がりを実感させるアグニューの作品、また大戦の時代を目の当たりにしたプロコフィエフの作品を演奏いたします。ぜひ、お聴きいただけましたら幸いです!
Profile
- 浜野 与志男 ピアニスト
-
東京生まれ、日本語とロシア語のバイリンガルの環境に育つ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学音楽学部を卒業後、英国王立音楽大学へ留学し修士号とアーティスト・ディプロマを取得した。2012・2013年度 公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生、2014年度 公益財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団奨学生。2015〜2016年にドイツ・ライプツィヒにて、2016年〜2018年にかけてはモスクワ音楽院で研鑽を積んだ。 これまで松本裕子、岡田敦子、エレーナ・アシュケナージ、御木本澄子、ヴァディム・サハロフ、ニキータ・フィテンコ、ドミトリー・アレクセーエフ、ゲラルド・ファウト、エリソ・ヴィルサラーゼの各氏に師事。エレーナ・アシュケナージと岡田敦子の両氏にはともに10年以上にわたり師事した。
第2回野島稔・よこすかピアノコンクール最高位、第80回日本音楽コンクール優勝。英国留学中にはマルメ北欧ピアノコンクール第1位、アルマトィ国際ピアノコンクール第2位、また2017年ブラームス国際音楽コンクールでは特別賞を受賞した。
ロイヤル・フェスティバル・ホール、サウスバンクセンター・パーセルルーム(ロンドン)、モスクワ音楽院ラフマニノフホール、東京オペラシティ『B→C』、シャネル・ピグマリオン・デイズ、浜離宮朝日ホールでのソロリサイタルをはじめ国内外にて演奏活動を行う。これまでに、日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、セントラル愛知交響楽団、藝大フィルハーモニア、カザフスタン国立交響楽団、スウェーデン・ルント市交響楽団等のオーケストラ、指揮者ではアレクサンドル・ラザレフ、ダヴィド・ゲリンガス、円光寺雅彦、大友直人、山田和樹等と共演している。「東京・春・音楽祭」やローム ミュージック フェスティバル出演のほか、神尾真由子、玉井菜採、城戸かれん、伊藤亮太郎、ステパン・ヤコビチ、イシュトヴァーン・コハーン、アレッサンドロ・ベヴェラリ、北川翔など室内楽の共演も多い。
2019年にTRITONレーベルより発売されたデビューアルバム[ステート オヴ マインド](レコード芸術準特選盤)ではラフマニノフ、タネーエフ、ショスタコーヴィチ作品の好演に対し「大器を予感させる、スケールの大きなピアノ」と評された。
東京音楽大学非常勤講師、東京藝術大学非常勤講師を経て、現在は東京音楽大学専任講師を務める。国内の主要なピアノコンクール審査のほか、Washington International Piano Festival(アメリカ・ワシントンD.C.)やTalent Music Summer Courses & Festival(イタリア・ブレシア)をはじめ国内外の音楽祭や講習会にも例年招聘されている。
株式会社パシフィック・コンサート・マネジメント所属。
浜野 与志男 オフィシャルサイト
浜野与志男 ピアノ・リサイタル

浜野与志男 ピアノ・リサイタル- 日時:2025年8月11日 14:00開演
- 会場:東京文化会館 小ホール
- 出演:浜野与志男
2025年8月11日