幼少期より、故・エレーナ・アシュケナージ氏、故・中村紘子氏、ボリス・ペトロシャンスキー氏などの名教師に師事し、2018年第16回エドヴァルド・グリーグ国際ピアノコンクールにて、優勝及び聴衆賞を受賞。現在、NHK総合テレビ「ピアノの森」に雨宮修平メインピアニスト役で出演中の髙木竜馬が、留学中のウィーンより日々の出来事や演奏活動の様子などをお届けいたします。
(毎月1日、15日頃更新。※更新日は、都合により前後する場合がございます。)

- pianist 髙木竜馬
- 1992年千葉県生まれ。2歳よりピアノを始め、7歳より故エレーナ・アシュケナージ女史に師事。16歳より故中村紘子、ミヒャエル・クリスト各氏に、22歳よりボリス・ペトルシャンスキー氏に師事する。渋谷幕張高校在学中に、ウィーン国立音楽大学コンサートピアノ科に合格。現在、同大大学院課程に在籍し、ミヒャエル・クリスト氏よりドイツ奏法を学ぶ。室内楽をマインハルト・プリンツ氏に師事。高名なピアニストであるパウル・バドゥラ=スコダ氏の自宅レッスンにも通い、ウィーン奏法の神髄に触れる。現在、かのゲインリッヒ・ネイガウス最後の高弟として、世界的に著名な名伯楽ボリス・ペトルシャンスキー氏の招聘を受け、イタリアの名門、イモラ国際ピアノアカデミー・ポストグラディエイト課程に併修。ロシア奏法の本流ネイガウス楽派の研鑽に励む。
※上記は2019年12月25日に掲載した情報です。
No.1始まりの旅
2019.12.25更新
『音楽に、貴方の人生を捧げなさい』ミヒャエル・クリスト教授
『美しい音楽を奏でるためには、心を磨きなさい。貴方の心は、音楽への写し鏡なのです』ボリス・ペトルシャンスキー教授
皆様、こんにちは。この度、1年間に亘りヤマハの Pianist Lounge ピアニストコラムを担当させて頂くこととなりました、髙木竜馬と申します。
冒頭の言葉は、ウィーン国立音楽大学と、イモラ国際ピアノアカデミーで師事している教授によるもので、胸に深く刻んでいる2つの言葉です。
敬愛する教授の元で研鑽を積みながら、ウィーンを拠点に日々、音楽と向き合っています。こちらのコラムを通して、私が、目で見て、耳で聴き、肌で感じて、心が動かされた日々の模様をお届け出来ましたら、幸いです。
これからの1年間、皆様と共にどのような未来の時間を共有することが出来るのか、このコラムがどのような旅路を辿っていくのか、とても愉しみにしております!
ウィーンの象徴、シュテファン寺院
少し前の話となってしまいますが、今年の夏は、3ヶ月に亘り日本に滞在しました。千葉、東京、大阪、仙台、愛知、水戸、河口湖、広島、等、日本各地で演奏をいたしました。『旅をしない音楽家は、不幸だ』とモーツァルトは語りましたが、正に肯首する言葉であり、旅は人を大きく成長させます。私も例に漏れず、ヨーロッパでの一人旅は勿論のこと、14歳の頃に、千葉と横浜を自転車で18時間掛けて往復をしたり、旅先では時間を見つけては散歩をする、大の旅好きなのであります。
それぞれの土地に根付いた伝統と風土に触れて、その土地に訪れなければ目にすることが出来ない新しい景色を目にすると、自分の世界が大きく広がります。
食も旅では忘れてはいけません。今では現地の食事を、ランキング形式で簡単に確認することが出来ますので、入念に下調べを重ねて郷土料理に舌鼓を打つこともまた、旅の醍醐味であります。
留学生にとって、日本での食事は大きな喜びであり、日々の練習後の母の手料理、多種多様な外食は、正に贅沢そのもの。いつも調子に乗って食べ過ぎてしまい、増量してウィーンに戻ることとなってしまいます。
増量は演奏にとって、必ずしも悪いことではありません。重みのある打鍵によって、不必要な力を加えることなく自然と密度のある音を出すことが出来ますが、反対に俊敏性や体力は失われてしまうもの。そこで最近はウィーンで、練習後に可能な限りジムへ通って汗を流すようにしています。
音楽は芸術であり、心と頭を丁寧に使うことが肝要ですが、しかし同時に、スポーツのように運動神経も求められます。そもそも演奏活動や日々の練習を高い集中力を伴って続けること自体、健全な体力が無くては身体が付いてきません。
ジムに通いたての頃は、ここまで体力が落ちてしまったか・・・と落ち込みましたが、日に日に少しずつではありますが、体力の回復を実感しています。毎日の積み重ね、継続が大切であること。苦しい時にこそ、一踏ん張りすることが、未来の自分に大きな力を与えること。運動からも学ぶことは多くあります。良質な演奏は、健全な心から。健全な心は、健康な身体から。是非多くの方に、運動をお勧めしたいです。
幼少期から師事した恩師のエレーナ・アシュケナージ女史は、私がサッカー(なんとポジションは、ゴールキーパー!!)をすることを積極的に推奨してくれました。
音楽家にとって運動神経はとても大切であること、そしてピアノだけを弾いていては性格が悪くなってしまうので、様々なことに幅広く興味をもって、人間の幹を太くしていくことの大切さを教えてくれました。
ピアノを毎日練習していることだけが、上達の鍵ではありません。演奏会へ行くこと、本を読むこと、絵画を観ること、深く考えること、景色を眺めること、運動をすること、食事を愉しむこと等々、これらの全ての経験の引き出しは、その数が多ければ多いほど自分自身を豊かに育て、音となって現れるのではないでしょうか。
さて、次回のコラムでは、スロフィルハーモニー管弦楽団との共演の話を皆様にお届けいたします。実はこちらの共演に際して、人生初のトラブルが起きてしまったのですが、詳細は次回のコラムに綴ることとしましょう。
日に日に寒さが増す季節ですので、お風邪を召されぬよう、暖かくしてお過ごし下さい!
冬といえばクリスマスマーケット!こちらは市庁舎。大いに賑わいます
コラムIndex
執筆者 Profile
- pianist 髙木竜馬
- 1992年千葉県生まれ。2歳よりピアノを始め、7歳より故エレーナ・アシュケナージ女史に師事。16歳より故中村紘子、ミヒャエル・クリスト各氏に、22歳よりボリス・ペトルシャンスキー氏に師事する。渋谷幕張高校在学中に、ウィーン国立音楽大学コンサートピアノ科に合格。現在、同大大学院課程に在籍し、ミヒャエル・クリスト氏よりドイツ奏法を学ぶ。室内楽をマインハルト・プリンツ氏に師事。高名なピアニストであるパウル・バドゥラ=スコダ氏の自宅レッスンにも通い、ウィーン奏法の神髄に触れる。現在、かのゲインリッヒ・ネイガウス最後の高弟として、世界的に著名な名伯楽ボリス・ペトルシャンスキー氏の招聘を受け、イタリアの名門、イモラ国際ピアノアカデミー・ポストグラディエイト課程に併修。ロシア奏法の本流ネイガウス楽派の研鑽に励む。

※上記は2019年12月25日に掲載した情報です。