国内外で活躍する若手実力派ピアニストの今田篤さんと梅田智也さんのデュオリサイタルが2021年12月15日、銀座のヤマハホールで開催される。東京藝術大学の同期として互いに刺激し合いながら学んだというおふたりに、2台ピアノによるベートーヴェン=リスト《交響曲第9番》に挑む意気込みなどを語り合っていただいた。
- 今田篤
ピアニスト
- 1990年静岡県掛川市生まれ。 2018年第10回浜松国際ピアノコンクール第4位及び2016年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー・ブリュッセル)にてファイナリスト入賞。その他若い音楽家のためのクライネフ国際ピアノコンクール第2位(ウクライナ・ハリコフ)、全日本学生音楽コンクール高校生の部全国大会第1位、日本音楽コンクール第2位、PTNAピアノコンペティション特級銀賞、東京音楽コンクール第2位をはじめ国内外のコンクールで優勝、入賞。 これまでにマリン・オールソップ指揮ベルギー国立管弦楽団、ポール・メイエ指揮王立ワロン室内管弦楽団、クラウディオ・クルス指揮リベイラン・プレート交響楽団(ブラジル)、クラウディオ・クルス指揮サンパウロ青少年交響楽団、ロッセン・ゲルゴフ指揮読売日本交響楽団、高関健指揮東京交響楽団、本名徹次指揮日本フィルハーモニー交響楽団ほか海外及び国内のオーケストラと共演多数。リサイタルを日本国内及びフランス、ベルギー、ドイツ、ブラジル、アゼルバイジャン、英国にて行う。そのほかブリュッセル・ピアノ・フェスティバルや横浜市招待国際演奏会等の著名な音楽祭に出演。
2008年度(財)ヤマハ音楽振興会音楽支援奨学生 。2011年、2014年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。2013年度宗次エンジェル基金/新進演奏家国内奨学金奨学生 。2017年芸術・文化、若い芽を育てる会奨励賞。明治安田クオリティオブライフ奨学金奨学生。
2018年ベルギーショパン協会賞受賞
2021年ファーストアルバム「it’s timeシューマンピアノ作品集」をリリース。音楽現代において推薦盤、レコード芸術において準特選盤に選定される。
東京藝術大学附属音楽高等学校を経て東京藝術大学を卒業。2014年9月に英国王立音楽大学修士課程に奨学生として入学し2016年7月に優秀な成績で卒業。2017年3月に東京藝術大学大学院修士課程を大学院アカンサス音楽賞及び藝大クラヴィーア賞を受賞して修了。ライプツィヒ演劇音楽大学演奏家課程を2020年11月に修了。国家演奏家資格を取得。これまでにピアノを三好のびこ、故堀江孝子、クラウディオ・ソアレス、伊藤恵、ドミトリー・アレクーエフ、ルーステム・サイトクーロフ、ゲラルド・ファウトの各氏に師事。2021年4月より東京藝術大学音楽学部ピアノ科非常勤講師。
今田篤オフィシャルサイト
- 梅田智也
ピアニスト
- 岐阜県出身。5歳よりピアノをはじめ、これまでに奥村真、杉浦日出夫、長谷正一、西川秀人、東誠三の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業後、同大学大学院修士課程首席修了。修了時にクロイツァー賞、大学院アカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア大賞受賞。修了と同時に、ロータリー財団奨学生としてウィーン国立音楽大学に留学し、M.ヒューズ氏に師事。第62回全日本学生音楽コンクール全国大会第2位、第38回ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞、第12回東京音楽コンクール第1位並びに聴衆賞、リヴォルノ・ピアノコンペティション(イタリア)第2位、第11回ラニー・シュル・マルヌ国際ピアノ・コンクール(フランス)第3位、第9回トレヴィーゾ国際ピアノ・コンクール(イタリア)第1位、第10回浜松国際ピアノ・コンクールにて日本人作品最優秀演奏賞を受賞など数々のコンクールで優勝、入賞を果たす。
小林研一郎、円光寺雅彦、広上淳一、大井剛史、岩村力、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団など著名な指揮者、主要なオーケストラと共演。A.ヤシンスキ、W.ナボレ、A.コブリン、J.ルヴィエ、B.L.ゲルバー、M.J.ピリス等著名な音楽家のレッスンを受講し研鑽を積む。
現在、東京藝術大学ピアノ科、愛知県立明和高等学校音楽科非常勤講師。
梅田智也オフィシャルサイト
学生時代の忘れがたい思い出
東京藝術大学の同期で、2018年の第10回浜松国際ピアノコンクールでは、梅田さんが日本人作品最優秀演奏賞を受賞、今田さんは第4位に入賞するなど、切磋琢磨しながらピアニストへの道を歩んできたおふたりの出会いは高校3年のとき。
今田「藝大受験を控えた12月に参加した愛知ピアノコンクールで初めて会いました。その後、メール交換などをして、藝大受験のときは受験番号が近く、1次試験から3次試験までいつも同じグループで、3次試験の後、JR上野駅のレストランでハンバーグを食べたんですよね。覚えてる?」
梅田「覚えてる! 試験終わった~!って(笑)。そこから親しくなったけれど、学生時代は会えば話す程度だったかな」
今田「あとは、イェルク・デームスのコンサートに一緒に行ったこと。埼玉県のホールで、駅からバスで15分以上かかるのに歩いて……、ちょっと遅刻しちゃったけど、いろいろな意味で衝撃的で、忘れられないコンサートだった」
梅田「寒くて暗い道をひたすら歩いてね」
今田「デームスの演奏は晩年で傷はあったけれど、巨匠の音と表現の凄さに圧倒されたよね」
梅田「ショパン作品のプログラムで、《バラード第3番》とかマズルカなど、シンプルな音楽づくりの中に、彼のたくさんのアイデアと人間的な温かさが共存していて、心動かされました」
2台のCFXの多彩な音色が響き合い溶け合う
国内外で多くのコンクールに参加しているおふたり、同期のライバル?と尋ねると、そういう意識はまったくないと語る。
梅田「僕は今田くんのピアノが大好きで、コンクールやコンサートで久々に聴くと、また進化しているなといつも刺激されます」
今田「僕もそうですね。梅田くんはすごく繊細で、独自の世界を突き詰めている。ちょっとしたパッセージにも想いが感じられて……。聴いていて、あぁ、このハーモニーが好きなんだなとか、いろいろ伝わってきて刺激されますね」
そんなおふたりが、2台ピアノによるベートーヴェン=リスト《交響曲第9番》に挑む。
梅田「2年前に東京音楽コンクールの入賞者が出演するリサイタルシリーズ『上野 de クラシック』で、ブラームスの《2台のピアノのためのソナタ》を一緒に演奏したんですが、ピアニストとしてタイプはまったく違うのに、自然と同じ方向に音楽や表現を擦り合わせることができて嬉しかったんです。新たな発見もたくさんありました。今回もあのときと同じように2台のヤマハCFXで《第九》を演奏できることが、とても楽しみです。」
今田「会場も曲目も違いますが、2台のCFXの音色が溶け合ったときの気持ちよさを経験しているので、僕も楽しみです。オーケストラのサウンドをピアノで再現するのは難しいですが、CFXはオーケストラに負けないくらいの音色の多彩さを持っているし、パワーもあるし、抒情的な柔らかく美しい表現もできる楽器なので、2台ピアノならではの《第九》を聴いていただけると思います。レコーディングでも使わせていただいたヤマハホールとの相性も抜群で、333席のホールに2台のCFXがどのように響くのか、ワクワクしています」
梅田「やはりリストの編曲だけあって、ヴィルトゥオーゾ的なパッセージが多く、練習には苦労していますが、音響的に緻密に計算されているので、ピアノならではのアプローチを楽しんでいただけると思います」
今田「ピアノという楽器の可能性を最大限に活かした編曲は本当に凄いですね。さすがリストだなと……。さまざまな楽器をイメージしながら演奏すると、表情が変わるんです。ふたりのイマジネーションが相乗効果を生み出し、ヤマハホールと2台のCFXが一体となって、新鮮な《第九》の世界を描き出せたらいいですね」
梅田「でも、やっぱり緊張しますね。75分弾き続けるというのは初めての経験ですし」
今田「ソロで75分弾くことはないですからね」
ピアニストとして挑戦し続けたい
今田さんはイギリスとドイツで学び、梅田さんはオーストリアで学んだ後、現在は母校の東京藝術大学で非常勤講師を務めるなど、指導活動にも力を入れている。今後の抱負などを伺った。
梅田「今まで勉強してきたことや、教わったことを伝えるのは素晴らしいことだと思うんですよね。生徒たちには自分の考えを押し付けず、一緒に考えるというスタンスで接しています」
今田「僕も若い人たちと関わるのは楽しいですね。教えることで学ぶこともたくさんあって……。でも、まだ安定の方向には向かいたくなくて、コンクールにも、もう少し挑戦しようと思っています」
梅田「今、国際コンクールはたくさんの国で行われていて、規模も課題曲も様々。自分に合ったレパートリーと共に、僕ももう少しトライしたいと思っています」
今田「コンクールという機会を使って、作曲家や楽曲への理解が深められるんですよね」
梅田「コンサートとは違う緊張感、アプローチがありますよね。チャレンジしている姿勢を生徒たちに見せることも大切かなと……。僕たちのデュオも継続していけるといいですね」
今田「《第九》はやはり大曲なので、ずっと探求していきたいですよね。ピアノ・デュオはラフマニノフ《交響的舞曲》の2台ピアノ版など、素敵な作品がいっぱいあるし、ソロとは違う魅力があって勉強になるので、続けていけたらいいなと思います」
日本のピアノ界の次代を担うお二人のベートーヴェン=リスト《交響曲第9番》は、ヤマハCFXとともに、唯一無二の世界を届けてくれるのだろう。
新型コロナウィルスに翻弄された1年だったが、どんな状況下であっても高みを目指すお二人の演奏は、明るい未来への扉を開くコンサートになるに違いない。
Textby 森岡 葉
公演情報
今田 篤×梅田 智也 ピアノデュオリサイタル- 2021年12月15日(水)
18:00開場 19:00開演
ヤマハホール(東京・銀座)
■プログラム
J.ブラームス シューマンの主題による変奏曲 変ホ長調 OP.23
L.v.ベートヴェン=F.リスト 交響曲 第9番 二短調 OP.125
■出演
今田 篤(Pf)
梅田 智也(Pf)
Profile
- 今田篤 ピアニスト
-
1990年静岡県掛川市生まれ。 2018年第10回浜松国際ピアノコンクール第4位及び2016年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ベルギー・ブリュッセル)にてファイナリスト入賞。その他若い音楽家のためのクライネフ国際ピアノコンクール第2位(ウクライナ・ハリコフ)、全日本学生音楽コンクール高校生の部全国大会第1位、日本音楽コンクール第2位、PTNAピアノコンペティション特級銀賞、東京音楽コンクール第2位をはじめ国内外のコンクールで優勝、入賞。 これまでにマリン・オールソップ指揮ベルギー国立管弦楽団、ポール・メイエ指揮王立ワロン室内管弦楽団、クラウディオ・クルス指揮リベイラン・プレート交響楽団(ブラジル)、クラウディオ・クルス指揮サンパウロ青少年交響楽団、ロッセン・ゲルゴフ指揮読売日本交響楽団、高関健指揮東京交響楽団、本名徹次指揮日本フィルハーモニー交響楽団ほか海外及び国内のオーケストラと共演多数。リサイタルを日本国内及びフランス、ベルギー、ドイツ、ブラジル、アゼルバイジャン、英国にて行う。そのほかブリュッセル・ピアノ・フェスティバルや横浜市招待国際演奏会等の著名な音楽祭に出演。
2008年度(財)ヤマハ音楽振興会音楽支援奨学生 。2011年、2014年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。2013年度宗次エンジェル基金/新進演奏家国内奨学金奨学生 。2017年芸術・文化、若い芽を育てる会奨励賞。明治安田クオリティオブライフ奨学金奨学生。
2018年ベルギーショパン協会賞受賞
2021年ファーストアルバム「it’s timeシューマンピアノ作品集」をリリース。音楽現代において推薦盤、レコード芸術において準特選盤に選定される。
東京藝術大学附属音楽高等学校を経て東京藝術大学を卒業。2014年9月に英国王立音楽大学修士課程に奨学生として入学し2016年7月に優秀な成績で卒業。2017年3月に東京藝術大学大学院修士課程を大学院アカンサス音楽賞及び藝大クラヴィーア賞を受賞して修了。ライプツィヒ演劇音楽大学演奏家課程を2020年11月に修了。国家演奏家資格を取得。これまでにピアノを三好のびこ、故堀江孝子、クラウディオ・ソアレス、伊藤恵、ドミトリー・アレクーエフ、ルーステム・サイトクーロフ、ゲラルド・ファウトの各氏に師事。2021年4月より東京藝術大学音楽学部ピアノ科非常勤講師。
今田篤オフィシャルサイト
Profile
- 梅田智也 ピアニスト
-
岐阜県出身。5歳よりピアノをはじめ、これまでに奥村真、杉浦日出夫、長谷正一、西川秀人、東誠三の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業後、同大学大学院修士課程首席修了。修了時にクロイツァー賞、大学院アカンサス音楽賞、藝大クラヴィーア大賞受賞。修了と同時に、ロータリー財団奨学生としてウィーン国立音楽大学に留学し、M.ヒューズ氏に師事。 第62回全日本学生音楽コンクール全国大会第2位、第38回ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞、第12回東京音楽コンクール第1位並びに聴衆賞、リヴォルノ・ピアノコンペティション(イタリア)第2位、第11回ラニー・シュル・マルヌ国際ピアノ・コンクール(フランス)第3位、第9回トレヴィーゾ国際ピアノ・コンクール(イタリア)第1位、第10回浜松国際ピアノ・コンクールにて日本人作品最優秀演奏賞を受賞など数々のコンクールで優勝、入賞を果たす。
小林研一郎、円光寺雅彦、広上淳一、大井剛史、岩村力、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団など著名な指揮者、主要なオーケストラと共演。A.ヤシンスキ、W.ナボレ、A.コブリン、J.ルヴィエ、B.L.ゲルバー、M.J.ピリス等著名な音楽家のレッスンを受講し研鑽を積む。
現在、東京藝術大学ピアノ科、愛知県立明和高等学校音楽科非常勤講師。
梅田智也オフィシャルサイト
※上記は2021年11月21日に掲載した情報です。