ピアニスト:仲道 郁代  - 初のピアノ・フェスティヴァルでは素晴らしい演奏を聴くだけでなく、 ピアノの楽しさや魅力を再発見する場にしたいです。~仲道郁代さんインタビュー~ この記事は2018年2月14日に掲載しております。

2018年3月16日に東京芸術劇場で「仲道郁代 ピアノ・フェスティヴァル」が開催されます。6人のピアニストが結集し、5台のピアノで繰り広げるコンサートやトークなど、ピアノの魅力がたっぷりと詰まった“お祭り”について、仲道郁代さんにうかがいました。

Profile

「仲道郁代 ピアノ・フェスティヴァル」と自らの名を冠した企画を提案し、芸術監督を務める仲道郁代さん。初の試みとなるフェスティヴァルにかける思いとは、いかなるものなのだろうか。

「ピアノが好きな方たち、ピアノに興味がある方たちと、ピアノで盛り上がろうよ!と。演奏する人もプロ、アマ、みんなでピアノを楽しみたい。そんな場が出来たら、と思ったのが始まりです。日本ほど、家庭や学校などさまざまな場所にピアノがある国は他にはないそうです。また現在弾いている人、小さい頃習っていた人の数も膨大です。最近では、定年後に再びピアノを弾き始めたという方も増えていらっしゃいます。私のファンクラブでも、最高齢では94歳の方が懇親会にて演奏してくださっています。音楽の専門の方ではなく、もちろん愛好家の方です。日本におけるピアノ熱は相当なものなのではと思います。だから、みんなでピアノをいろいろに楽しもうよ!と思ったわけなのです」

 フェスティヴァルでは、仲道さんのほかに、上原彩子さん、小川典子さん、金子美勇士さん、清水和音さん、萩原麻未さんといった素晴らしいピアニストたちが“響演”する。仲道さんの“ピアノLOVE”に共感し、出演することになった名手たちと繰り広げられる世界には期待が高い。
「今回はピアニストが6人いるので6台のピアノ曲を探したのですが楽譜がなかったんです。5台の曲ならアレンジされたものがあったので、5台のピアノをステージに準備して、6人のピアニストたちが難曲に取り組みます。どの曲で誰がどのピアノを弾くかという順番までも私が決めました。曲に関しても知識や先入観なしで楽しんでいただくことを念頭において選曲しました。5台のピアノで『熊蜂飛行』のような曲。相当スリリングだと思うんです。ピアノは東京芸術劇場に常備されているピアノのほかヤマハのCFXなど、2台のときも5台のときも、それぞれのピアノが奏でる音色の違いを感じていただけるでしょう。例えばCFXは輝かしくてパワーがあってレンジも広い“ヤマハサウンド”と呼べる金字塔のような楽器ですので、その音色も楽しんでいただきたいですね。
舞台では6人の“ピアニストトーク”を行うことになっていて、皆さんから質問を募集しています。6人のピアニストが一堂に会する機会はなかなかないので、いろんな質問にお答えしたいですし、それぞれが異なる発言をすると思いますので、内容にも興味を持っていただけるのではないでしょうか」

 プログラムには仲道郁代さん、小川典子さん、清水和音さんによる「マスタークラス」が予定されており、単に“聴く”だけではないピアノの魅力を体感できるフェスティヴァルにしたいという情熱が伝わってくる。そして、仲道さんには第一回のフェスティヴァルを土台とし、ピアノを通した交流の場となるべく、次なる構想も広がっている。
「実は2019年にも同じ東京芸術劇場で開催しようと、何人かの方にも出演することをご承諾していただいています。今回は実現できませんでしたが、調律師の方やピアノのメーカーの方、ピアノの先生方にも参加していただいて、ピアノの構造や歴史などを説明したり、ピアノの見本市のようなブースを作りたいです。アマチュアの方が演奏するコーナーも、次回はぜひ実現させたいです。私は、自分がピアニストだからこそ、伝えることができるピアノの魅力があると思っています。これまでピアニストという道を歩み、ピアノを追究し続けてきました。ピアノに対するその思いはコンサートを手がける方も楽器を作られる方も共感してくださると思いますし、ピアニストとは違う視点をお持ちでしょう。そういう皆が集まる“お祭り”になるといいですね。ピアノは面白くて、楽しい。そしてその音色は人を包み込み、愛を伝えることのできる楽器。このフェスティヴァルでピアノの魅力、ピアノから広がる世界観を皆で共有できたら嬉しいです」

Textby 山下シオン

<仲道郁代『ピアノ・フェスティヴァル』出演者からのメッセージ動画>

上記は2018年2月14日現在の情報です。