ピアニスト:中川 真耶加  - 中川 真耶加 ピアノリサイタル

イタリアをはじめとするヨーロッパ各地で活躍される中川真耶加さんに、
2026年1月19日にヤマハ銀座コンサートサロンで開催されるピアノ・リサイタルについてお話を伺いました。

Profile

Q1:今回の公演の聴きどころ(作曲家や曲目)をぜひ教えてください。
 今回のプログラムでは、ショパンの《スケルツォ第2番》やベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第17番〈テンペスト〉》といった、今では広く親しまれている名曲を取り上げています。ただ、こうした作品を当時の音楽界を振り返って捉え直してみると、作曲家がそれぞれに、大胆な発想や新しい試みを用いて果敢に挑んでいた側面も見え、私にはとても先鋭的な作品群として感じられました。
その“革新性”を出発点に、さまざまなスタイルの音楽を組み合わせたプログラムを構成してみました。

 たとえば、ドビュッシーの《版画》についてですが、彼はしばしば、楽譜に描き込まれた色彩や空気感をどう受け取るかを、聴き手に大きく委ねるタイプの作曲家だと、私は思っています。ところが《版画》は、そうした彼本来のアプローチとは少し異なり、異文化から受けた刺激を手がかりにして、ドビュッシー自身が抱いた具体的な情景から発想されているんです。その真逆ともいえるプロセスはとても興味深いものです。

 また、ショスタコーヴィッチは、私が長く関心を寄せ続けている作曲家の一人です。なかでも《24の前奏曲とフーガ》は、時間をかけて丁寧に向き合っていきたい大切な作品群で、今回はその締めくくりとなる最終曲を取り上げました。
この曲では、交響的な広がりを伴って彼らしく展開され、「前奏曲とフーガ」という古風な形式にさらに、ロシア音楽特有の情感が重ね合っています。
作曲家たちの挑戦する心と、その創意工夫が息づく作品を中心に組み立てた今回のプログラムを締めるにふさわしい一曲だと感じています。

 聞き応えのあるプログラムだと思いますので、お楽しみいただきたいです。

Q2:当日はヤマハコンサートピアノCFXで演奏されますが、CFXはどんなピアノでしょうか。
 CFXを初めて弾いたときの感動は、いまでも鮮明に覚えています。ひとつひとつの音のクオリティが非常に高く、まるで“まっさらなキャンバス”のような器の大きさを感じました。
 演奏者が心の中で思い描いた“音”を、そのまま素直に引き出してくれる ー そんな懐の深さがこの楽器にはあります。だからこそ、どのピアニストが弾いても“CFXの響き”でありながら、同時に“その人ならではの音”がしっかりと立ち上がる。私にとって理想的なピアノです。
私たちピアニストにとって、音色はまさに“顔”のような存在なので、その点は本当に大切だと感じています。

Q3:2026年1月19日(月)「中川真耶加ピアノリサイタル」に来場される皆さんへメッセージをお願いします。
 イタリアを拠点に活動している私にとって、日本で、また個人的に思い入れのある素晴らしいヤマハ銀座コンサートサロンに、ヤマハアーティストとして帰って来る事は、本当に嬉しい機会です。
 心惹かれる作品たちを通じて、皆さまとあたたかな時間を共有できるのを、心から楽しみにしています。