ロシア
ヴィルサラーゼは、何代にもわたってグルジアの芸術や文化に深いかかわりを持ってきた家系に生まれ、ティフリス(トリビシ)で育った。ピアノの手ほどきを、祖母のアナスターシャ・ヴィルサラーゼ教授から受け、音楽院で学んだ後、故郷を離れモスクワへ移る。そして 20歳にして、チャイコフスキー・コンクールで3位入賞を果す。
モスクワでは、ゲンリフ・ネイガウスおよびヤコフ・ザークに師事。これらの才能ある教師たちは、ヴィルサラーゼの芸術的成長に多大な影響を与えたのみならず、彼らから伝統あるロシアのピアノ教授法を徹底的に教えられた。したがって、今日ヴィルサラーゼが際立って優れた教師として広く認められ、その弟子たちが様々な音楽コンクールでセンセーショナルな話題を呼ぶことは当然のことである。モスクワ音楽院およびミュンヘン音楽大学の常任教授を務め、主要な国際音楽コンクールのほとんどに審査員として招かれている。定期的に審査員を務めている国際コンクールには、サンタンデール国際ピアノ・コンクール、チューリッヒのゲザ・アンダ・コンクール、テル・アヴィヴのルービンシュタイン国際ピアノ音楽コンクール、モスクワのチャイコフスキー国際コンクール及び近年のリヒテル国際ピアノ・コンクールなどがある。
18世紀および19世紀後期の作品、とりわけモーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、そしてシューマンに対して深い愛着を持ち、24歳にしてツヴィカウのシューマン・コンクールに優勝。シューマンの作品の最も優れた解釈を行う現代の演奏家のひとりとして、世界中のマスコミから高い評価を得ている。同時にヴィルサラーゼは、現代の作曲家を含む、ロシア音楽の幅広いレパートリーの持ち主として知られており、旧ソ連の権威ある芸術賞を多数受賞している。ロンドン、ミラノ、ローマ、パリ、リスボン、ベルリンおよびバルセロナで定期的に演奏を行うほか、ナタリア・グートマンとのデュオ・リサイタルをウィーン、ベルリン、ブリュッセル、マドリッド、ミュンヘン、ミラノ、ジュネーブ、ロンドン、ローザンヌを含むヨーロッパの主要都市で行っている。室内楽およびサンクトペテルブルグ・フィル、ロンドンのロイヤル・フィル等のオーケストラとの共演では、北米、日本、ヨーロッパで大規模なツアーを行う他、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、日本、アメリカ等の一流オーケストラと定期的に共演している。今までにルドルフ・バルシャイ、キリル・コンドラシン、リッカルド・ムーティ、クルト・ザンデルリング、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、ユーリー・テミルカーノフなど、多くの著名指揮者と共演。
2015/16シーズンも例年通り、ソロ・リサイタル、オーケストラとのコンサート、室内楽、マスタークラス、コンクールの審査員の活動がロシア、ベネクルス3国、ドイツ、ジョージア、イタリア、日本、スペイン、台湾で予定されている。
ライヴ・クラシックス・レーベルからは多くの録音をリリースしており、それらの作品を通してヴィルサラーゼの音楽性を広く知ることができる。