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:迫 昭嘉 氏 "5つ$quot;の質問

Profile

pianist 迫 昭嘉
© 武藤 章

pianist
迫 昭嘉
東京藝術大学及び東京藝術大学大学院、ミュンヘン音大マイスタークラス修了。ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位、東京国際音楽コンクール室内楽部門優勝(1980)、ハエン国際ピアノコンクール優勝およびスペイン音楽賞(1983)、ABC国際音楽賞受賞(1998)。デビュー以来、気品ある音色と透明度の高いリリシズムを持つピアニストとして、日本はもとより海外でもソロ、オーケストラとの共演のほか、室内楽奏者としても高い評価と信頼を得てきた。『迫昭嘉・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』(2001)は、各方面から名演奏の呼び声が高い。2015年12月より白寿ホールにて2台ピアノによるベートーヴェン(リスト編曲)の第九とそれに関連した作品を演奏する「迫昭嘉の第九」公演をスタート、2016年12月の公演も好評を博し、今後も毎年12月に継続していく予定。
一方で、指揮者としての活躍も目覚ましく、1999年九州交響楽団でデビュー以来、東京シティフィル、都響、新日本フィルなどの指揮台にも登場、緻密な音楽作りが話題となり今後の動向が注目されている。 
現在、東京藝術大学教授・音楽学部長、東京音楽大学客員教授、洗足学園音楽大学客員教授として後進の指導にも当たっている。
※上記は2017年11月2 日に掲載した情報です。

Q1.自分で影響を受けたと思われるアーティストは?

園田高弘、ヴィルヘルム・ケンプ、生では聴いたことがないけれどアルトゥル・シュナーベル。子どもの頃師事していた城多又兵衛先生ご夫妻が園田先生と親しく、リサイタルをいつも聴きに行っていました。ケンプの演奏は、高校生のときに聴いて、音の美しさ、息を呑むようなモーツァルトのコンチェルトなど、衝撃を受けました。シュナーベルは、子どもの頃父がベートーヴェンのソナタ集のレコードを買って来て、それを聴いて育ったんです。この3人のピアニストが僕の原点ですね。シュナーベルが校訂した楽譜は、今でも参考にしながら研究しています。

Q2.ヤマハピアノに対するイメージと印象は?

子どもの頃から弾いてきたので、一言では言えませんが、やはり高音のクリスタルな響きは、ずっと好きですね。以前、札幌交響楽団のツアーで、ヤマハのコンサートグランドピアノをトレーラーで運んで北海道の各地でベートーヴェン《ピアノ協奏曲第5番「皇帝」》を弾いたことがあるんです。会場はホール、学校の体育館などさまざまで、最北端の知床半島などにも行きました。どんな気象条件、どんな会場でもヤマハのピアノは変わらない、絶対に信頼できるピアノだと思いました。僕の演奏よりたしかだなと(笑)。そして、今一番新しいCFXは、また全然違うタイプのピアノだと思います。芯が太く、重厚な響きがして、多彩な音色の変化をつけることができます。アンサンブルでもバランスがよく、繊細な表現が可能です。すごいピアノが出現したなと驚いています。

Q3.あなたにとってピアノとは?

表現手段としては、一番身についているものなので、自分の何かを表現しようと思ったら、やはりピアノなのだろうなと思います。あえて言えば、自分の「声」でしょうか。悲鳴ばかりあげているんですけれどね(笑)。

Q4.印象に残っているホールは?

プラハのドヴォルザーク・ホールでしょうか。ピアノのリサイタルで2回くらい行っているのですが、ステージの床がデコボコでスノコのようになっていて、独特の響きが生まれるのです。抜けがよくて温かい。チェコのオーケストラのような音がして、とても印象に残っています。

Q5.ピアノを学ぶ(楽しむ)方へのメッセージ。

奥が深い世界ですが、苦労しただけのことは得られると思います。一生つき合う価値があると思います。でも、奥が深いものは、簡単には手が届かない。苦労して、悩んで、やっとつかんだかなと思っても、またそこから世界が広がって苦労する。永遠に追い求める、そういうものだと思います。そこに幸せが見つけられればいいですね。本当に何かが得られたときの感動は、何ものにもかえがたいと思います。