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ジャン=マルク・ルイサダ - 6歳でピアノを始めたルイサダにとって、彼の音楽の才能を決定づけたのは、2人の教師である。それは、マルセル・シャンピとドゥニーズ・リヴィエールだ。まず、パリで彼らのもとで勉強を始めた。16歳でパリ国立高等音楽院に入学。その両方の課程でプルミエ・プリをとり、1978年には大学院に進学。1983年ミラノで開催されたディノ・チアーニ国際ピアノ・コンクールで第2位入賞。1985年にはワルシャワでのショパン国際ピアノ・コンクールに第5位に入賞、併せて国際批評家賞を受賞。ワルシャワでの成功が彼を国際的キャリアに導き、世界中で演奏会を行うことになった。また、ドイツ・グラモフォンと契約を結んで、ショパン《ワルツ集》、《マズルカ集》、この2枚のディスクは、レコード芸術誌で吉田秀和「今月の1枚」に選ばれる。グラナドス《ゴイェスカス》、また、マイケル・ティルソン・トーマス指揮、ロンドン交響楽団とのグリークとシューマンのピアノ協奏曲を録音した。ルイサダは映画が大好きで、フランスを代表する大女優ジャンヌ・モローと共演したプーランクの《象ババールのお話》の録音(ドイツ・グラモフォン)が彼のお気に入りの企画のひとつとなった。それ以降も、2つのお芝居に絡んだ。そのひとつは、高名な女優マーシャ・メリルと共演した、サンドの手紙の朗読とピアノ演奏を交えた舞台「聖なる炎~ジュルジュ・サンドとショパン」(邦題「ショパンとサンド~愛と哀しみの旋律」)である。ルイサダは、1998年にRCA Red Seal/BMGフランスと独占契約を結んだ。同レーベルからは、ビゼーとフォーレ(これは年間ディスク大賞を受賞した)、ショパン、ドヴォルザーク、シューマン、モーツァルト、ハイドン、リスト、スクリャービン、ベートーヴェン等のアルバムがリリースされている。2008年9月24日には、ショパン:舟歌&幻想ポロネーズ~ショパン名演集がリリースされ、レコード芸術誌で吉田秀和「之を楽しむものに如かず」に選ばれ、特選盤となる。2009年ショパンのマズルカ集とシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」とブラームスのピアノ五重奏曲Op.34が来日記念盤としてリリースされる予定である。2006年には、4ヶ月にわたるNHKピアノ・スーパーレッスン、ショパン編(NHK教育テレビ)に講師として出演。大好評により、DVDがBMGJAPAN、書籍がNHKから発売。また、2007年にも同じく4ヶ月にわたってNHK教育テレビで再放送された。1989年6月に「芸術文化シュヴァイエ勲章」を、1999年11月には、「国家功労5等勲章」をフランス政府より授与される。2003年7月14日には、「芸術文化オフィシエ勲章」を授与された。ルイサダは、現在、パリで黒のラブラドール犬ボギー(この名前は勿論ハンフリー・ボガートにちなんでいる)とパリで暮らしている。
「ジャン=マルク・ルイサダ」オフィシャルサイト(ソニーミュージック)
※上記は2009年7月16日に掲載した情報です
Q1.自分で影響を受けたと思われるアーティストは?
ベルリン・フィルの常任指揮者を長年務めた指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーです。彼は本当に最高の音楽家だと思います。私はベートーヴェンのピアノ・ソナタを弾くときには、いつもフルトヴェングラーが指揮するベートーヴェンの交響曲を聴いてから演奏することにしています。そうすれば、馬鹿げたまちがいをすることなく、作品をきちんと理解できると信じているからです。
もうひとりはロシアのピアニスト、グリゴリー・ソコロフです。本当の天才ですね。なかなか来日する機会がないそうですが、彼はすばらしいDVDをリリースしていますからぜひそれを見てください。2002年にパリのシャンゼリゼ劇場で行ったリサイタルの模様を収録したものです。ベートーヴェンとプロコフィエフのソナタからアンコールのショパンにいたるまで絶品! まるで会場で聴いているような高揚感が味わえます。
Q2.ヤマハピアノに対するイメージと印象は?
昔からヤマハのピアノを弾いていますが、ここ10年で音色が大きく変化したと思います。以前はきれいな音でしたが、あまり動きが感じられませんでした。それが今日ではとてもきれいな音のなかにさまざまな動きが感じられる。特に中音域がすばらしいですね。色合いをたとえれば「秋色」とでもいうのでしょうか。響きが多様化し、深い感情が表現できる。一定の空間のなかでいろんなことを試すことが可能になったと思います。バリエーションが豊かになりましたので。無限の可能性があるのではないでしょうか。
私にはタッチが軽めに感じられ、もう少し力強くてもいいかなと思うときもありますが、進化を続けることに期待しています。でも、私自身はあまりアグレッシブな音や明るい音は好みませんので、ソフトななかに力強さがある現在の音は好きですね。最近では、ヤマハピアノでいい演奏をすれば、人々を感動させることができる演奏が生まれるという確信を抱くようになりました。深い悲しみが人に伝わるようになったからです。 私にはタッチが軽めに感じられ、もう少し力強くてもいいかなと思うときもありますが、進化を続けることに期待しています。でも、私自身はあまりアグレッシブな音や明るい音は好みませんので、ソフトななかに力強さがある現在の音は好きですね。最近では、ヤマハピアノでいい演奏をすれば、人々を感動させることができる演奏が生まれるという確信を抱くようになりました。深い悲しみが人に伝わるようになったからです。
Q3.あなたにとって音楽(ピアノ)とは?あなたにとって音楽(ピアノ)とは?
ピアノは「愛」です。音楽もまた「愛」です。それ以外の何物でもありません。「愛」のない人生なんて考えられない……。
Q4.印象に残っているホールやライブハウスは?
東京の紀尾井ホール、ロシアのサンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー、パリのシャンゼリゼ劇場です。シャンゼリゼ劇場はこのなかではもっとも多く演奏しているところですが、響きは少しドライ。でも、雰囲気がすばらしいんです。
Q5.ピアノを学ぶ(楽しむ)方へのメツセージ
うまく弾くことができない場合でも、いい音が出ないときでも、決してあきらめることはありません。ピアノという楽器は日々進歩を遂げ、弾き手の要求に応えるべく成長を遂げているからです。まるで古いワインのようではありませんか。長い年月をかけて熟成し、飲む人を喜ばせる。私たちピアノを弾く人間も、そうあるべきです。ピアノという楽器の成長に合わせ、自分も成長していく。
ピアノを弾くということは、人生を通してすばらしい作品と出合い、作曲家を知り、それを深めていくこと。その喜びは言葉では表現できません。こんなにもすばらしい喜びがあるでしょうか。絶対に勉強をあきらめないでください。きっと大いなる喜びが訪れます。
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