この記事は2018年4月12日に掲載しております。
2016年、中村紘子音楽監督最後の浜松国際ピアノアカデミーで優勝した藤田真央さん。その後も2017年クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝に輝くなど、キャリアを着実に重ねている19歳だ。現在は東京音楽大学に在学中。さまざまな経験から受ける刺激、録音を終えたばかりの新譜についてお話を伺った。
© Shigeto Imura
- pianist
藤田真央 - 1998年東京都生まれ。3歳からピアノを始める。
2017年、東京音楽大学1年在学中に、第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝。併せて「青年批評家賞」「聴衆賞」「モダンイズム賞(新曲賞)」の特別賞を受賞し、一躍世界の注目を浴びる。2010年台湾で開催された世界クラシック ピアノ・コンクール(ジュニア部門)優勝、全日本学生音楽コンクール(小学校の部)第1位、2013年オーストリアで開催されたロザリオ・マルチアーノ国際ピアノ・コンクール、2015年中国で開催された若い音楽家のためのモーツァルト国際音楽コンクール第1位 、2016年浜松国際ピアノアカデミーコンクール第1位、アメリカで開催されたジーナ・バッカウアー国際ヤングピアノコンクール第3位など、国内外での受賞を重ねる。
2013年津田ホールにて初めてのリサイタルを開催。以降、国内はもとより、ショパン国際音楽祭(ポーランド)、世界のアッシジ音楽祭(イタリア)、バート・ラガッツ次世代音楽祭(スイス)などの音楽祭に招待されリサイタルを行っている。
これまでに、現田茂夫、飯森範親、大友直人、レイ・ホトダ、クリスティアン・ツァハリアス、リュー・ジア各氏の指揮により、東京交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、ユタ交響楽団、ローザンヌ室内管弦楽団、マカオ管弦楽団等のオーケストラと共演。
2013年には、ナクソス・ジャパンから若い世代の音楽家のための新レーベル「ナクソス・クレッシェンド」第1号として、デビューアルバム「MAO FUJITA」(NYCC-10001)、2015年には「ヤング・ヴィルトゥオーゾ」(NYCC-27296)をリリースし、高い評価を得ている。
現在、特別特待奨学生として東京音楽大学1年ピアノ演奏家コース・エクセレンスに在学中。
ピアノを野島稔、鷲見加寿子、佐藤彦大の各氏に、ソルフェージュを西尾洋氏に師事。
平成29年度公益財団法人青山財団奨学生。
▶Mao Fujita Official Site
※上記は2018年4月12日に掲載した情報です。
思い出のホール、響きに助けられて録音を終えたニューアルバム
今回の新録音では、そんなクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで弾いたレパートリーを中心にとりあげている。たとえばリストの「19のハンガリー狂詩曲」第2番は、前述の深夜に及んだステージで弾いて、客席から大歓声があがった曲。
「高校生の頃からアンコールなどで何度も弾いている作品です。演奏するたびに、やっぱり純粋に喜んでいただける作品はいいなと思います」
あわせて録音したのは、モーツァルトのピアノソナタ第18番と、ショパンのピアノソナタ第3番。
「ショパンとモーツァルトのソナタは、チャレンジでした。まだ早いかなとも思ったのですが、若いうちに録音しておくのも良いのではないかと。特にモーツァルトは、最近自分の中でブームになっている作曲家。音を作っていて楽しいですし、古典派の作品ならではの枠組みの中で、それを超えた感情が表現されているところが好きです。普段からコンサートでも、プログラムには、古典派の曲を必ずいれるようにしています。自分がコンサートを聴きにいく場合でも、前半に古典派の作品、後半にはその人が得意としている作品を弾くというプログラムはいいなと思います。古典派がちゃんと弾けるピアニストって、やっぱりかっこいいなぁと憧れます」
録音会場は、浜松国際ピアノアカデミーの思い出がつまった、アクトシティ浜松中ホール。ホール常設のヤマハCFXがパートナーだ。
「高い音はきれいに出て、低い音には厚みがあり同時にふわっと抜くような表現もできて、和音を弾いたらがっちりとした音が鳴ってくれます。とくに録音1日目の終わり頃からとても良い響きになってきて、ホールに順応してきたのだろうと感じました。響きに助けられて、録音は順調でした。この会場で弾くのは、アカデミー以来。紘子先生の気配を感じながら、良い緊張感のなかで録音をすることができました」
※上記は2018年4月12日に掲載した情報です。
ニューアルバム
- passage
- ショパン:ピアノ・ソナタ第3番
■販売情報
発売日:2018年5月23日
商品番号:NYCC-27306
レーベル:Naxos Japan
CD価格:2,500円(税抜)
■収録楽曲
リスト : 19のハンガリー狂詩曲 S244/R106 - 第2番 嬰ハ短調 / モーツァルト:ピアノ・ソナタ第18番 ニ長調 K. 576 / ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op. 58 / シューマン=リスト: ミルテの花 Op. 25 – 第1曲 献呈 / ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調(遺作) / ショパン:バラード第1番 ト短調 Op. 23 / モーツァルト=ヴォロドス: トルコ行進曲(コンサート・パラフレーズ)
■レコーディング・データ
2018年1月29~31日(セッション録音) / アクトシティ浜松 中ホール / YAMAHA CFX使用 / 調律 大丸和彦(YAMAHA) / Rec. & Edit 深田晃(dream window) / 24bit/352.8kHz recording
TV出演
- テレビ朝日 題名のない音楽会
- 2018年4月14日(土)10:00~
※地域によって放映時間が異なります
コンサート
- 珠玉のリサイタル&室内楽
藤田真央 ピアノ・リサイタル - 日時:2018年12月8日 14:00開演
会場:ヤマハホール
演奏曲目(予定):W.A.モーツァルト/幻想曲 ニ短調(未完)K.397(385g)/デュポールのメヌエットの主題による9つの変奏曲 ニ長調 K.573
L.V.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
F.シューベルト/3つのピアノ曲 D.946/幻想曲 ハ長調 「さすらい人幻想曲」 Op.15, D.760