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:マルク=アンドレ・アムラン さん "5つ$quot;の質問

Profile

pianist マルク=アンドレ・アムラン
© Fran Kaufman

pianist
マルク=アンドレ・アムラン
マルク=アンドレ・アムランは、音楽性とヴィルトゥオーゾ性が驚異的なほど独自に融合した演奏によって、まさしくピアノの権化として、伝説的な地位を獲得している。
彼は、なじみの薄いピアノ・レパートリーの探求では、並ぶ者のない存在として長く知られているが、今では古典派のレパートリーにおいても、独創性とすばらしいテクニックが結びついた演奏で、世界的に認められている。客演独奏者としては、ニューヨーク・フィルハーモニック、フィラデルフィア管弦楽団、モントリオール交響楽団、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団、ロンドン・フィルハーモニック、サンフランシスコ交響楽団を始めとする、数多くのオーケストラと共演している。ニューヨーカー誌のシニア評論家アレックス・ロスは、次のように書いている。「アムランの伝説は、ますます大きなものになっていくだろう。現在のところ、彼に比肩できる者はだれもいない」アムランは、アメリカや故郷のカナダのみならず、ヨーロッパ、オーストラリア、極東でもリサイタルを開き、めったに授与されることのないドイツ・レコード批評家賞の生涯功労賞を最近獲得している。Hyperionレーベルには50点ほどのCDを録音しているが、その中にはアルカン、バーンスタイン、ボルコム、ブゾーニ、ハイドン、ヘンゼルト、コルンゴルト、ヨーゼフ・マルクス・レーガー、ルビンシテイン、シャルヴェンカの協奏曲、そしてアルベニス、ショパン、ドビュッシー、ハイドン、ヤナーチェク、リスト、メトネル、レーガー、シューマンらのピアノ独奏作品が含まれている。また、長い間待望されていた自作の《短調による12の練習曲》の録音は、輝かしい勝利を収めている。
 アムランは2003年にカナダの勲爵士に、そして2004年にはケベック州の勲爵士に叙されるという栄誉に浴している。彼はまた、カナダ王立協会のメンバーでもある。
現在はボストンに在住。
※上記は2018年8月9日に掲載した情報です。

Q1.自分で影響を受けたと思われるアーティストは?

たくさんいるので、答えることは不可能です。
そういえば以前、あなたのヒーローは?と聞かれたことがあったのですが、それに対しては「印刷された楽譜」と答えました。これこそが、私が全ての音楽的なインスピレーションを得る源だからです。……おもしろくない答えかもしれませんが(笑)。

Q2.ヤマハピアノに対するイメージと印象は?

これまでのコンサート活動の中で弾く機会は多くありませんでしたが、最近のCFXにはとても満足しています。アクションに大きな違いがあるのではないかと感じます。ヤマハの努力の結果なのでしょうね。

Q3.あなたにとってピアノとは?

私の考えを伝達するものであり、メディアです。
ピアノは完成された楽器です。いわば、辞書にのっているあらゆる形容詞を表現することができる楽器といえるでしょう。

Q4.印象に残っているホールは?

たくさんあります。日本のホールでいえば、一番多く演奏したことのある東京オペラシティと紀尾井ホール。優れた音響を持っていると思います。
あとは、カナダの小さなホールで、ドメーヌ・フォルジェもすばらしい。今住んでいるアメリカのボストンには、ジョルダンホール、シンフォニーホールという二つの優れたコンサートホールがあります。

Q5.ピアノを学ぶ(楽しむ)方へのメッセージ

自分に必要な時間を充分にとってください。決して慌ててはいけません。作品が完全に自分に馴染み、親密な感覚で理解できるようになるまで、時間をかけてください。
若いうちにレパートリーを広げておくことはいいことです。それによって、のちの人生でその作品を深く理解するプロセスが楽になります。でも、慌てる必要はないのです。
同時に、練習室の外でもっと時間を過ごし、人生をちゃんと生きてください。
練習室の中で起きることしか見ていないのに、芸術的な成就が大きくなるはずありません。もちろん最低限の練習時間は必要ですが、自分の問題に積極的に取り組み、集中して解決しようとすることで、ピアノのもとで不必要に時間を費やすことはなくなります。ちゃんと人生を生きていない人が、演奏を通して一体何を伝えることができるというのでしょう。ピアニストとして豊かな感情を育てることは、技術的な訓練と同じくらい重要なことだと思います。