この記事は2009年5月18日に掲載しております。
東京藝術大学在学中に「G-CLEF」結成。インストゥルメンタル・バンドとしては初のNHK紅白歌合戦に出場、レコード大賞アルバム企画賞を受賞した他、精力的な活動で音楽界を賑わせてきたピアニスト・榊原大さん。その力強いピアノ・タッチとジャンル不問の卓越したセンスを探っていきます。
- pianist
榊原 大 - 4才よりピアノを始める。
1989年、東京芸術大学(音楽学部器楽科ピアノ専攻)在学中に『G-CLEF』を結成。
同年8月、アルバム 『Pell-Mell』(SONY Record)でレコード・デビュー。卓抜した音楽性・演奏力を ベースにフュージョン・インストゥルメンタルのフィールドを開拓し、高い評価を得る。7度に及ぶ全国ツアーや、インストゥルメンタル・バンドとして初のNHK 「紅白歌合戦」 出場を果たすなど、多彩な実績を残す。
94年『G-CLEF』解散後は、プレイヤー、アレンジャーとして活躍。葉加瀬太郎、米光美保、石嶺聡子、ゴスペラーズ等、多数のアーティストのコンサート・ツアーやライヴに参加するほか、歌手の楽曲アレンジやサウンド・プロデュース、映像音楽の制作なども手掛ける。併行してソロ活動にも取り組み、2001 年 1 月に1stアルバム『転/移 Trans-』を、02年8月に 2nd アルバム 『TOMORROW』をリリース。その力強いピアノ・タッチと卓越した音楽センスで大きな支持を獲得し、発売記念ライヴは早々とSold Outになった他、楽曲が全国ネットのTV スポーツ番組のテーマに起用されるなど注目を集める。04 年 1 月に香港・中国で公開された映画 『Magic Kitchen魔幻厨房-』(リー・チーガイ監督)のメインテーマを担当するなど、グローバルな活動も展開。04 年8 月、3rdアルバム『As for You』をリリース。大阪・名古屋・福岡のBlue Note ツアーを成功させた。そして、05 年前期のNHK 連続テレビ小説「ファイト」の音楽を全篇にわたり担当。番組のオープニングを飾るテーマ曲では、ドラマの舞台・群馬が誇る屈指のオーケストラ、群馬交響楽団との協演を果たす。05 年7 月には4thアルバム『Piano+』を発表。
リリース記念の全国コンサート・ツアーも盛況に沸く。また、06 年 10 月から、テレビ朝日『ワイド!スクランブル』のテーマに楽曲が起用されており、その曲を収めた 5 枚目のオリジナルアルバム『風色-kazeiro-』を 07年11 月にリリース。
08 年には宿願だったクラシックホールでのピアノソロコンサートを行い、そのライブアルバムを制作中の他、若手ストリングスカルテット「セレブ弦楽四重奏団」とのライブDVD も近日リリース予定である。
「榊原 大」オフィシャルウェブサイト
※上記は2009年5月18日に掲載した情報です。
――まずはピアノを始められたきっかけを教えて下さい。
4歳の時に近所の武蔵野音大付属幼稚園に行ってました。ただし、僕は普通の子で。単純に家の近くだったと言うだけのこと。でも、音楽教室に通っている友達がピアノだのバイオリンだのやっているのがうらやましかったな。親に「自分もやりたい」と、ねだったけれど、うちはごくごく普通の家で音楽に興味があるようなところじゃなかったので聞き入れてもらえなかった。やはり子供の戯言にお金はかけられなかったのかな(笑)。
どこかでもらった足踏みオルガンを一年近く弾き続けていたら、親が「この子は本当に音楽が好きなんだ」と思ってピアノを買ってくれました。正確には5歳から始めたことになりますね。
――当時、男の子でピアノを習っているというのは珍しかったのではありませんか?
そうですね。始めたとしても途中で止めてしまうケースが多いと思う。僕がずっとピアノを好きで続けられたのは師匠のおかげ。大学に入るまで4人の先生についたけど、どの先生ともウマが合うと言うか、レッスンに行くのが楽しかった。これは大きいです。
中学1-2年くらいの時に芸大附属高校へ行こうと狙いを定めた。もちろんずっとクラシック。
この頃、YMOの全盛で結構聴いていて、坂本龍一を知ることで芸大というものがあることも知ったんです。色々な音楽に目を向け始めたのもこの頃から。東京芸大に入ってから「G-CLEF」の母体となるメンバーでオリジナルを作り始めたり、どうしたらデビューできるか真剣に考えるようになった。そうこうしている内にソニーのニュー・アーティスト・オーディションに受かってしまい、とんとん拍子で進み、CDデビュー。
――他の楽器に興味はありませんでしたか?
これでもドラムは一年間習ったんです。フォーク・ギターは中学の時に挫折。(笑)
そう言えば、ブラスバンド部でユーフォニウム吹いてた。似合わないでしょ?
そのときの先輩が活躍中のピアニスト堺さん。いつも二人で「なんで俺ら、ばりばり譜面読めるのに、こーんな地味な楽器やらされているんだろうね」と言ってた(笑)。でもこれは正しかったんだ。今思えば当時の音楽の先生はすごいと思う、一番音楽を得意としていた学生2人を低音楽器に置いたっていうことだから。バンド、アンサンブルとしてはすごく大切なこと。
――ソロ活動を始めてどのように変わっていきましたか?
G-CLEFを解散してからソロになり、色んなアーティスト、ミュージシャンとセッションしてきた。もうかれこれ10年を過ぎたかな。。。ソロで何枚もアルバムを出している割りにはソロそのものの活動は少なかったんです。少し反省してる。やはり一人でやるということはスキルも問われるし、ちゃんと正面から挑戦していかなくてはならないことだから。バンドと一緒にやることとは全然違う。。。これも経験。回数を重ねていくことでまた高められるものがあるよね。むしろ学生時代の方がソロをよくやっていたかもしれない。
別に、だからと言うわけじゃないけど「ハノン」は毎日弾いている。昔は練習嫌いだったけど、最近は面白くなってきたかな。。。
もともとはアガリ症なんです。ライブ・ハウスではそうでもないけれど、コンサート・ホールでは緊張するよ。お客さんの「気」に負けそうな気分になるのかなぁ。1対300とか1対1000とかそんなカンジでしょ?だから本番前に精神統一しているアーティストは結構多いよ。
僕の大好きなキース・ジャレットなんて神様・宗教、信仰の世界に入ってるからね。合気道やっている奴もいるし。。。もともと僕はそんなことに興味はなかったけれど、最近それもアリだなぁと思うようになってきた。残念ながらまだ「これ!」と言う儀式が見つかっていないですね。
――影響を受けた、または大好きなアーティストは?
なんたってキース・ジャレット!
うまいとかすごいとか感じる前に、もう体が感動で震えてしまう(笑)。
昨年、池袋の芸術劇場でソロ・コンサート聴いたんだけど、まじホントに泣いた・・・
――次のアルバムや今後の計画について教えていただけますか。
昨年の秋から冬にかけてソロのライブを録音してきたから、それをまとめてライブ・アルバムを出そうと思ってる。それから弦楽四重奏とウッド・ベースとでやったコンサートのDVDが出る予定!
ぜひよろしく!!! (笑)
最後に、これからピアノを始める方へ、またはやってみたいと思っている方々へメッセージを。
うちの7歳の子供もピアノ習ってます。ちなみに男の子。
僕はやらせたくなかったけど、どうしてもやりたいと言うので、なんとなく(笑)。
楽しんでいるならそれでいい。スケールの練習も大切だけど、楽しく続けられることが大事だよね。大人から始める人もビートルズとか好きな曲から始めたらOK !
※上記は2009年5月18日に掲載した情報です。