この記事は2018年4月27日に掲載しております。
“飛び級”により東京音大の附属高校から大学に入学した太田糸音さんは2000年生まれ。優れたコンクール歴とともに、その実力が高い評価を呼び、早くも数々のコンサートに出演。今もっとも注目が注がれる若手ピアニストの一人だ。
© Kei Uesugi
- pianist
太田糸音 - 2000年生まれ。2017年東京音楽大学付属高等学校を2年次で早期修了し、飛び級にて現在東京音楽大学ピアノ演奏家コース・エクセレンス2年、特別特待奨学生として在学中。2013年第67回全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会第1位併せて野村賞、井口愛子賞、福田靖子賞、音楽奨励賞を受賞。第17回浜松国際ピアノアカデミーコンクール第5位、モスト・ プロミシング・アーティスト受賞。2007年より10年連続でピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会において入賞し、2016年には特級銀賞、聴衆賞を受賞。2017年第21回松方ホール音楽賞第1位受賞。NHK Eテレアニメ「クラシカロイド」作中原曲演奏を担当。2018年度CHANEL Pygmalion Days 参加アーティスト。
2013年より大阪、京都、東京、横浜、水戸、名古屋、チェンマイ(タイ)等各地でリサイタル・コンサートに多数出演。これまでに大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響楽団、東京交響楽団、日本フィルハーモニー管弦楽団等と共演。 2011年より6年連続で大阪府高石市教育委員会より表彰される。2013年～2015年度ヤマハ音楽振興会音楽奨学支援奨学生、2017年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。現在、石井克典、江澤聖子、武田真理、半澤佑果の各氏に師事。
※上記は2018年4月27日に掲載した情報です。
無茶振りの目標設定で、自分を高める
太田さんの成長力は、自ら立てる目標設定にもその秘訣がありそうだ。７歳から参加したピティナ・ピアノコンペティションでも「10年連続入賞」を目標に挑戦しつづけた。
「今はピアノ協奏曲のレパートリー10曲を目標に増やしています。ちょうど９曲目に取り組み始めたところです。去年から、ラヴェルのピアノ曲全曲を勉強することにしました。それまであまりフランスものを弾いていなかったのですが、昨年『夜のガスパール』を弾き、夜中に頭の中で曲が鳴り響いて目が覚めてしまうくらい曲の魔力に取り憑かれてしまいました。
10代のうちにやっておきたいことはたくさんありますし、25歳までに弾きたい曲のリストも作ってあります。自分にどんどん無茶振りしたいですね」
その目標の一つに、国際コンクールへの挑戦もあるのだろうか。
「そうですね、私はまだ学習者でもあるので、その意味では視野に入れてはいます。でも、コンクールの結果だけを目標にはしたくありません。コンクールは何かのチャンスを得られる場所であり、一つの通過点にすぎないと捉えています。留学についても、少しずつ考え始めてはいます。さまざまな国を訪れてみたいという夢もあります。よくスフィンクスに似ていると言われるので、エジプトにも行きたいです（笑）」
大きな夢は、海外で日本人作曲家の作品を演奏することだ。
「邦人作品には日本人ならではの精密さを感じると同時に、バッハやベートーヴェンといったヨーロッパの作品や伝統との繋がりも感じます。邦人作品を弾きたいと思ったのが、私がピアニストになりたいと思った原点でもありますから、夢を実現させていきたいです。今度、高校時代の同級生で作曲科の友人が作ったピアノ協奏曲を初演します」
数々の初演を担うピアニストとして、輝かしい活躍ぶりを見せてくれる日は、そう遠くなさそうだ。
Textby 飯田 有抄
※上記は2018年4月27日に掲載した情報です。