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ネクスト・ヴィルトゥオーゾ ピアノリサイタル

第2回:上田実季、河尻広之(東京藝術大学)

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次世代を担う才能豊かな若きピアニスト達によるコンサートシリーズとして今年から始まった「ネクスト・ヴィルトゥオーゾ・ピアノリサイタル」。2月10日に行われた第2回には、上田実季さんと河尻広之さんが出演しました。

最初に登場した上田さんが用意したプログラムは、今年生誕250周年を迎えるベートーヴェンのピアノ・ソナタ2曲でした。1曲目、「ピアノ・ソナタ第14番 月光」で演奏をスタートした上田さんは、抑制の効いた重々しい雰囲気の中から冒頭の有名なテーマを紡ぎ出していきます。第二楽章では一転、変ニ長調特有の温かみや少し懐かしさも感じさせるような音色で会場を包み込んだかと思えば、第三楽章に入るとそれまで溜めていたエネルギーを爆発させるかのように荒々しさの中を駆け抜けて行きます。優れた技巧と瞬発力にヤマハCFXも余裕を持って応え、一瞬の緩みも見せないうちにダイナミックに弾き終えました。

2曲目は後期ソナタの中から「ピアノ・ソナタ第32番」をチョイス。後期作品の傑作とも言えるベートーヴェン最後のピアノ・ソナタです。冒頭、印象的な序奏を終えると不気味さを蓄えた低音のトリルを経てドラマティックな主題へ。切れ味の鋭さを保ったまま、コーダでのふっと日が差すような温かい音色への転換もヤマハCFXで見事に表現していました。
第二楽章ではシンプルながら壮大さも感じられるテーマが奏でられた後、様々な展開を見せ始めます。ジャズのスイングを思わせるような特徴的な部分も細やかな音価がしっかりと保たれ、コーダでは長大なトリルの中で、神々しい雰囲気で演奏を締めくくると会場から大喝采が起こりました。

後半には河尻さんが登場。こちらもベートーヴェンの作品から演奏をスタートさせました。最初の「創作主題による6つの変奏曲」は、ヘ長調の優しい雰囲気から変奏を経るたびに移り行く表情の違いが分かりやすく表現されていました。続く「ピアノ・ソナタ 第28番」もゆったりとした緩徐的な始まりから、第二楽章での行進曲的な鋭いタッチ、第三楽章の力強く壮大に進んで行く曲想まで、剛柔自在にヤマハCFXから様々な表情を引き出していきます。

ベートーヴェンに続いて、同じくドイツの作曲家ブラームスの名曲「6つの小品 間奏曲 Op.118-2」が始まると、メランコリックで柔らかい空気が漂い会場中が一気に引き込まれていきます。続けて演奏した「ハンガリーの歌の主題による変奏曲」では短い主題と変奏が目まぐるしくテンポや調性を変えて進行していきます。その一つ一つを見事に表情豊かに弾き分けてダイナミックな終曲を弾き終えると、万雷の拍手が鳴りやみませんでした。

演奏後、上田さんは「ヤマハCFXは音が真っ直ぐ、自然だなという印象で、演奏しながら『もっと色々な音を出したい、もっと表現したい!』と意欲が掻き立てられました」、河尻さんは「とくに高音の音色の多彩さに驚きました。自分が伝えたいと思った音を汲み取って鳴らしてくれているような感覚で、演奏中はとても支えられました」とそれぞれヤマハCFXについて感想を述べられました。

ベートーヴェン、ブラームスというドイツが誇る二大作曲家の作品でのリサイタルとなったこの日のリサイタル。それぞれに高い音楽性を見せた今後のお二人の活躍がますます楽しみです。

会場

ヤマハ銀座コンサートサロン(ヤマハ銀座ビル 6F)
東京都中央区銀座7-9-14
▶公演の詳細はこちら

日時

2020年2月10日(月)19:00開演 (18:30開場)

演奏者/曲目

■上田実季
L.v.ベートーヴェン/
・ピアノソナタ第7番 Op.10-3 ニ長調 第1楽章
・アンダンテ・ファヴォリ WoO.57 ヘ長調
・ピアノソナタ第32番 Op.111 ハ短調

■河尻広之
L.v.ベートーヴェン/
・創作主題による6つの変奏曲 Op.34 ヘ長調
・ピアノ・ソナタ第28番 Op.101 イ長調
J.ブラームス/
・6つの小品 間奏曲 Op.118-2 イ長調
・ハンガリーの歌の主題による変奏曲 Op.21-2 ニ長調

※都合により曲目が変更になる場合がございます。
※演奏順は当日のプログラムでご確認ください。

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チケットのお申し込みは、お電話で承ります。
アーティストサービス東京 03-3572-3426(平日10時~17時)

上記は2020年1月17日現在の情報です