コンサートレポート

コンサートレポート

ニコライ・ホジャイノフ氏が夏の注目イベントに登場
鮮度の高いチャイコフスキーを披露

2014年8月20日(サントリーホール)

読売日本交響楽団が毎夏行っている『読響サマーフェスティバル』。今年は、バイオリン、チェロ、ピアノの名作コンチェルトを集めた〈三大協奏曲〉をテーマに、8月20日サントリーホールで開催されました。

 ソリストには毎年、注目の若手奏者が起用されます。前半、メンデルゾーンのバイオリン協奏曲では弓新氏、ドヴォルザークのチェロ協奏曲では辻本玲氏がソリストとして登場。そして後半では、現在モスクワ音楽院で学ぶ22歳のニコライ・ホジャイノフ氏がチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏しました。

 シャープな切れ味の表現と、やわらかく輝く表現を交互に繰り出しながら、コントラスト鮮やかな音楽を奏でます。ヤマハCFXで鳴らす繊細な表現にオーケストラが呼応し音楽がつながれるところなどは、コンチェルトならではの聴きどころ。指揮の円光寺雅彦氏は、はっきりとした主張を持つピニストの表現を汲み取り、オーケストラをぴたりとつけて音楽を構成してゆきます。フィナーレでは、鍵盤の上をホジャイノフ氏の指が心地よさそうに駆け抜けます。深く雄大な音楽の中に冒険心が見え隠れする、鮮度の高いチャイコフスキーが披露されました。

 最後は3人のソリストが揃ってのカーテンコール。会場は大きな拍手に包まれました。

Text by 高坂はる香