コンサートレポート

コンサートレポート

関本昌平氏、前田祐里さんが名古屋室内管弦楽団との協演で軽妙洒脱なプーランクのコンチェルトを演奏

2015年12月18日(三井住友海上しらかわホール)

第15回ショパン国際ピアノコンクール(2005年)で第4位に輝き、実力派ピアニストとして国際的に活躍している関本昌平氏と、ドイツと日本を拠点に多彩な活動を展開している前田祐里さんが、名古屋室内管弦楽団の第5回定期演奏会に出演。華やかな魅力あふれるプーランク「2台のピアノのための協奏曲ニ短調」を演奏しました。

■プログラム
フォーレ:パヴァーヌ Op.50
プーランク:2台のピアノのための協奏曲 ニ短調
ビゼー:交響曲 第1番 ハ長調

クラシック音楽の素晴らしさを多くの人々と分かち合うことを目的に、気鋭の若手音楽家たちが中心となって2014年9月に発足した名古屋室内管弦楽団は、古典から現代に至るまで様々な作曲家の作品を取り上げ、意欲的なプログラムで定期演奏会を開催しています。第5回は、パリを中心に活躍しているガブリエル・ドロサール氏を指揮者に迎え、珠玉のフランス音楽のプログラムを楽しませてくれました。

弦楽器が奏でるピッツィカートの伴奏に乗って、フルートが心に沁みる美しい旋律を描き出すフォーレ「パヴァーヌ Op.50」で幕を開けたコンサート。続いて関本昌平氏、前田祐里さんが笑顔でステージに登場し、プーランク「2台のピアノのための協奏曲 ニ短調」の演奏がスタートしました。冒頭の2台のヤマハCFXのエキサイティングな掛け合いから、聴衆はプーランクの多彩な音楽の世界に引き込まれていきます。煌めくようなピアノの音色がオーケストラと絡み合い、緩急自在に洗練されたメロディが次々に繰り出される第一楽章から、モーツァルトを彷彿させる優美な第二楽章、活気に満ちたリズムに乗って様々な曲想が渦を巻いて飛び跳ねる第三楽章のクライマックスまで、ドロサール氏のエネルギッシュな指揮の下、2人のソリストのみずみずしい感性が呼応し合う快演が繰り広げられました。鳴りやまない拍手に応えて、アンコールはルトスワフスキ《パガニーニの主題による変奏曲》。大胆なリズムや不協和音が多い難曲を、関本氏、前田さんは絶妙のアンサンブルで聴かせ、会場を沸かせました。

演奏後のインタビューで、関本氏は「とにかく楽しかったです!おもちゃ箱をひっくり返したようなプーランクの魅力が詰まったこの作品は、サプライズの要素も多く、場面転換にワクワクしたり、ユーモアのセンスやお洒落な香りを楽しんだり……、ヤマハCFXの色彩豊かな音色が演奏効果を高めてくれました」、前田さんは「本当に遊園地のような楽しい作品。まさにフランスというエスプリを味わいながら、ピアノ2台とオーケストラが一体となって音楽をつくり上げる喜びを感じました。ヤマハCFXはタッチが敏感で、自由自在にコントロールでき、表現したいことのすべてに柔軟に応えてくれました」と、共にヤマハCFXへの厚い信頼を語ってくださいました。

Text by 森岡 葉