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サロンコンサート in Ginza

Vol.18:原田 怜、後藤美優

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 国際的な活躍を期待される実力派の若手ピアニストたちのジョイントコンサートシリーズ「サロンコンサート in Ginza」。2023年12月8日にヤマハ銀座コンサートサロンで開催されたVol.18には、原田怜さんと後藤美優さんが登場。原田さんは桐朋女子高等学校音楽科3年に特待生として、後藤さんは東京音楽大学演奏家コースに特別奨学生として、それぞれ在籍する逸材。お二人ともすでに数々のコンクールでも目覚ましい成果をあげています。

 最初は原田さんが登場。ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ 第30番》を披露しました。続けて演奏される第1楽章・第2楽章は、細かいニュアンスをつけた気持ちの込められた表現を、透明感のある音色で聴かせました。第3楽章も、細部にまで神経の通った、さわやかな印象で、各ヴァリエーションのつなぎ目もスムーズ。どのフレーズにも意味を持たせた演奏には、原田さんの作品への分析力の高さも感じさせました。

 次はショパン《ピアノ・ソナタ 第3番》。第1楽章から、引き続き分析力の確かさを披露。メロディを美しく歌っていくものの、決して情感に流されないのも印象的でした。軽やかな第2楽章に続き、第3楽章ではCFXの特性のひとつでもある美しいピアニシモを生かしていました。第4楽章では、ソナタの終楽章らしい堂々とした演奏が見事でした。

 休憩の後は後藤さんのショパン《バラード 第1番》から。柔らかいタッチで、曲調の変化を十分に把握した、多様な表情を持った演奏。作品の「聴かせどころ」をきっちりと聴かせてくれました。

 続いてはリスト《ピアノ・ソナタ ロ短調》。リスト唯一のピアノ・ソナタで、単一楽章からなることもあり、演奏者にとってハードルの高い作品です。しかし演奏が始まると、原田さんがこの作品に心から引かれていること、そしてリスト演奏に向いた資質も持っていることを思わせました。明晰な楽曲分析を踏まえた上で作品に深く没入し、表現の難しいフレーズや演奏至難なパッセージを、自信をもって弾いていきました。ペダルの使い方も巧みで、多様な表現を可能にするCFXからクリアな響きを引き出していましたが、これはフーガの部分で大いに力を発揮していました。

 演奏後、大曲・難曲を見事に弾ききったお二人に、お話をうかがいました。

 原田さんは「今回のベートーヴェンもショパンも作曲家の後期の作品ですので、僕の年齢で演奏するのには早すぎるのかもしれません」と謙虚な前置きをして答えてくれました。
「それでも、できる限り理解したいと思って取り組みました。感覚的に弾いてしまう癖が出ないよう、また逆に感情の入らない冷たい音楽にならないよう、そのバランスを取ることに気を付けました。自分が聴き手のひとりでもあり、他の聴き手の皆さんと名作を味わいたいと思って臨みました。CFXは、そんな私の意図に敏感に反応してくれるピアノ。演奏する幸せも感じました。これからは、自信をもって、自分にしかできない演奏のできるピアニストになりたいです」

 後藤さんもショパンとリストの今回の作品は、大きな挑戦だったそうです。
「これまで、ショパンは小規模な作品ばかりでしたので、いつか大きな作品に取り組みたいと思っていました。リストのソナタは大好きな作品で、この響きのよいサロンでぜひ弾きたいと思いました。同様にCFXも響きの美しいピアノで、鍵盤のタッチが柔らかく、ピアニシモからフォルティシモまで自在に表現でき、心から気持ちよく弾けました。これから現代作品に取り組んだり、コンクールに挑戦したりするつもりですが、コンサートもたくさん経験できたらと思っています。名作のすばらしさと感動を、たくさんの方々と分かち合いたいです」

 親密な空気感が魅力のヤマハ銀座コンサートサロンですが、お二人の力強い演奏を、いつか大きなホールでも聴きたいと思いました。さらなる成長と、大いなる活躍が期待されます。

会場

ヤマハ銀座コンサートサロン(ヤマハ銀座ビル 6F)
東京都中央区銀座7-9-14

日時

2023年12月8日 19:00開演 (18:30開場)

演奏者/曲目

原田玲さん
 L.v.ベートーヴェン/ソナタ 第30番 ホ長調 Op.109
 F.ショパン/ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58

後藤美優さん
 F.ショパン/バラード第1番
 F.リスト/ピアノ・ソナタ

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上記は2023年11月22日現在の情報です