【ヤマハイマーシブソリューション「Sound xR」使用事例レポート】『Japan Mobility Show 2025』ヤマハ発動機ブース Part.1 コンセプト編
Japan/Tokyo Oct. 2025
2025年10月東京ビッグサイトにて「Japan Mobility Show 2025」が開催されました。そのヤマハ発動機株式会社のブースの音響演出にヤマハのイマーシブオーディオソリューション「Sound xR」の「AFC Image」機能が使用されました。
レポートPart.1「コンセプト編」では、ヤマハ発動機株式会社 クリエイティブ本部 本部長 木下 拓也 氏にヤマハ発動機ブースで伝えたかったメッセージやヤマハとのコラボレーションの意義について、そしてブース演出を行った演出家の潤間 大仁 氏、音楽ディレクターの畠山 拓也 氏にはショーの演出の狙いや「AFC Image」を活用した音響のアプローチなどについてお話をうかがいました。
Japan Mobility Show 2025 ヤマハ発動機ブースについて
ヤマハ株式会社は、ヤマハ発動機株式会社と「お客様とともに感動を創り出す」という共通の理念のもと、Japan Mobility Show 2025のヤマハ発動機ブースにおいて出展協力を行いました。今回の出展協力は同じヤマハブランドを掲げる両社のブランド価値向上を目指す取り組みの一環として行ったものです。ブースでは立体音響技術「AFC Image」を駆使したダイナミックなステージ演出に加え、楽器の展示や生演奏なども行われました。
Japan Mobility Show 2025 ヤマハ発動機ブースの音響システムについて
「AFC Image」は、音の定位を自在にコントロールし、あらゆる空間においてイマーシブな音環境を創り出すオブジェクトベースの音像制御システムです。最大128オブジェクトチャンネルの音源を3次元的に制御することが可能で、DAW(Digital Audio Workstation)上の音源配置とリンクした直感的な音響制作を実現します。今回はこの「AFC Image」をヤマハ発動機ブース全体で導入し、没入感のある音響空間を展開しました。
Japan Mobility Show 2025 ヤマハ発動機ブース×「AFC Image」インタビュー
「音」を軸に二つのヤマハが描く、感性を揺さぶる体験価値とは
ヤマハ発動機株式会社 執行役員 クリエイティブ本部 本部長* 木下 拓也 氏 インタビュー
*インタビュー当時
Japan Mobility Show 2025はヤマハ発動機にとってどのような意義を持っているのでしょうか。
木下氏:
私たちにとってJapan Mobility Show 2025には二つの意味があります。一つは「コーポレートショー」。「モーターショー」から「モビリティショー」へと名称が変わった今、ヤマハ発動機は単なる二輪メーカーではなく、移動(モビリティ)の可能性を広げる会社としての技術を提示する場だと捉えています。
そして二つ目はヤマハ発動機の技術が今後社会に対してどのように貢献していくのかをお見せすること。単に新車を並べるだけでなく、我々の描く未来をお客様にお見せし、感じていただくことを目指しています。
今回はヤマハ株式会社が出展協力を行いました。そこにはどんな意義があったのですか。
木下氏:
「人生の伴侶」というテーマを掲げた2年前のモビリティショーでも出展協力をしていただき大変好評でした。前回の成功を経て、今年も出展協力していただきました。
ヤマハ発動機とヤマハ株式会社は同じ「ヤマハ」ブランドを共有する企業です。インドア(楽器)からアウトドア(発動機)まで一つのブランドで展開できる会社は他にはありません。また楽器も上達すると楽しさが増しますが、身体性を伴う遊びであるモーターサイクルも楽器に似ていると思います。
来場者にどのような体験やメッセージを伝えたいと考えましたか。
木下氏:
今回のテーマは「感じて動きだす」です。ヤマハ発動機は「感動創造企業」を企業目的に、ヤマハ株式会社は「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げていますが、今回もまさにその「感動」を体験としてどう届けるかがポイントでした。
感動がどのように人の役に立つかを考えた際、次へのモチベーションを与えることだという思いに至りました。感動することで、次のことに行動したくなる。ですから来場者の方に、次に何かやってみようという気持ちが湧くような体験を提供することを目指しました。
「感動」を与える体験を提供する時に「音」が果たす役割についてはどうお考えですか。
木下氏:
たいへん大きいです。体で感じるためには映像だけでは不十分です。映像も大事ですが、説明なしで直接、直感的に訴えかけるには、音が非常に重要です。そして今回の「感じて動きだす」を実現するための強力な武器が「AFC Image」でした。
ブースで「AFC Image」を実際に体験した印象はいかがでしたか。
木下氏:
「没入空間」としての完成度が非常に高くて驚きました。ヤマハ発動機のブースに一歩入ると、急に周囲の喧騒から切り離され音に包み込まれます。まさに没頭できる空間です。そして、音が素晴らしいと、直感的な理解や臨場感がたやすく実現できることにも驚きました。
今回の映像展示のテーマは「フロー(没頭)」でした。そのフロー状態に入る瞬間は感覚的で、言葉では説明しにくい。しかし音が空間全体に満ちていて、良質な音と映像を浴びることで、参加者は理屈抜きにフローの感覚を共有できる。理屈抜きに「感じる」ことができる空間に仕上がったと思います。
音の力が体験の質を変えるわけですね。
木下氏:
そうです。かつてあるゲームクリエイターから「バイクゲームで加速感を出す決め手は『音』だ」と聞いたことがあります。加速音こそが加速感をもたらす。そして人間は物理的にも「波(波動)」を持った存在ですから、波である音が人に作用する部分は大きいと感じます。
これから電気自動車の時代が到来し、クルマの静音性が高まる中で、音の重要性は増しています。音がなければスピード感が掴めず危険ですし高揚感も生まれない。安全面でもエンターテインメント面でも、これからのモビリティにとって「サウンドデザイン」は極めて重要です。
その「音」において、ヤマハブランドの強みはどう生きていますか。
木下氏:
「他のモビリティメーカーになくて、ヤマハにあるもの」は、やはり音楽のバックボーンで、四輪車の音作りやモーターサイクルの吸排気音にこだわってきた歴史も含め、これは私たちの非常に大きな強みです。「音へのこだわり」をアートの領域まで高められる。これはふたつのヤマハが一緒だからこそできる独自の強みです。
最後に、今後の展望などがあればお願いします。
木下氏:
「AFC Image」は本当に素晴らしいので、ぜひこれを他社のブースにも売り込んで、ジャパンモビリティショーの会場全体をAFC化してしまえばいい。「Japan Mobility Show Supported by Yamaha」にしちゃうくらいの勢いで、ぜひやってください(笑)。
ありがとうございました。
Japan Mobility Show 2025 ヤマハ発動機ブース×「AFC Image」インタビュー
「工場ノイズ」が音楽になる。
「AFC Image」で体験するヤマハのものづくりの哲学
演出家 潤間 大仁 氏 + 音楽ディレクター 畠山 拓也 氏インタビュー
今回のヤマハブースの演出コンセプトについて教えてください。
潤間氏:
全体コンセプトは「感じて動きだす」です。これを体現するために2つのショーを制作しました。一つは企業としてのメッセージをダイレクトに伝える「メインメッセージショー」。もう一つは、自立する二輪モビリティ「MOTOROiD:Λ(モトロイド・ラムダ)」を主人公としたショーで、これらを交互に上演する形をとりました。
そのショーで「音」はどのような役割を担っていたのでしょうか。
潤間氏:
私たちが今回のショーで特に強調したかったのが「ものづくり」の哲学です。ヤマハのものづくりにはクラフトマンシップや芸術性が確実に存在します。それを視覚・聴覚の両面で表現するために、ブース全体をヤマハの工場に見立てたいと考えました。そこで「AFC Image」で没入感のある音空間を創造することで、お客様はあたかも工場見学に来たかのような臨場感が体験できる。それをショー本編の導入として使いました。
実際にヤマハの工場に出向いてフィールドレコーディングをしたのですか。
畠山氏:
はい。実際にヤマハ発動機の工場とヤマハ株式会社の楽器工場にお邪魔し、職人さんの作業音や工場の機械音を録音して、それらを素材に音源を制作しました。工場はいろんな音で溢れていますが、そこから音楽的なビートになりそうなものを選んで音楽を作り上げました。
潤間氏:
アイデアとしては、職人さんが作業する「コン、コン」という音が、徐々にビートになり、それがやがて音楽へと変わっていく……という流れになっています。
畠山さんは音楽制作を担当されていますが、普段のステレオでの制作と、AFCを使ったイマーシブ制作では勝手が違いましたか。
畠山氏:
全然違いました。普段私たちが作っている音源は、ステレオであり、耳元で聴こえる音です。しかし今回は多数のスピーカーを使って立体的な音場を再生する「その場でしか体験できない音」でした。この音源の制作は立体音響が再生できるヤマハのスタジオで作業したのですが「AFC Image」用にミックスされた音源は前からだけでなく、上から、横からとあらゆる方向から聴こえるので、聴く場所によって音の聴こえ方が全く変わることに驚きました。
潤間氏:
「AFC Image」はいろんなところに音源が配置できるので、私のアイデアで、「キックの音をあえて上に配置してみたらどうなるか。」と提案してみたりしましたね。
畠山氏:
そうなんです。音楽的な常識ではキックは超低域の音なので低いところにあるべき音ですが、上にキックの音像を置いてみたら意外にもハマって驚きました。
潤間氏:
「AFC Image」が活躍したのは音楽だけではありません、たとえば演出面で面白かったのはセリフの出し方です。ショーの中で初音ミクがお客さんに語りかけるシーンがあるのですが、そこは目の前のキャラクターが喋っているのではなく、観客それぞれの心の中で聞こえる声にしたかった。それで天井のスピーカーから声を降らせました。そうすることで、外からではなく、自分の内側から言葉が湧いてくるような感覚が作れました。
今回の「AFC Image」のイベントで使ってみた経験を経て、イマーシブオーディオの今後の新たな可能性について、どのように感じていますか。
潤間氏:
イベントでのイマーシブオーディオの可能性は非常に大きいと思います。インターネットを介して何でも見られる時代になったからこそ「ここに来ないと分からない」という体験価値は、非常に高くなりました。「現場で音を浴びて感動する」、その原点に回帰させる力が「AFC Image」にはあると感じました。
今後の展望として、挑戦してみたい表現はありますか。
畠山氏:
今回は映像に合わせて音を作りましたが「AFC Image」に非常に力があったので、次回は逆に音だけでイメージさせるシーンがあっても面白いのではないかと思います。
潤間氏:
そうだよね。「AFC Image」ならあえて映像をなくして、音だけで想像力を喚起させるようなアプローチも可能だと思います。お客様がそれぞれの頭の中で映像を補完してもらうことで、より深い、個人的な体験が作れるかもしれません。
それはとても面白そうですね。今後楽しみにしています。今日はありがとうございました。
ヤマハ発動機 Japan Mobility Show 2025 特設ページ
https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/japan-mobilityshow-2025/
Part.2近日公開予定
ヤマハ音像制御システム「AFC Image」について
「AFC Image」とは
「AFC Image」は、音像を3次元的にかつ自在に定位・移動させることで、演劇、オペラ、コンサート、インスタレーションなど多彩なシーンでイマーシブな音響演出を可能にするオブジェクトベースの音像制御システムです。
主な特長
- 洗練されたGUI上でのオブジェクト操作や音像サイズ調整により、緻密かつ迅速な音像コントロールが可能
- 特定のスピーカーセットにのみオブジェクト再生を割り当てできるスピーカーゾーニング機能を搭載
- 3Dリバーブシステムを搭載し、それぞれのリスニングエリアにて臨場感ある残響と音場を実現
- DAWやコンソールのパンニング操作を実空間の形状に最適化するレンダリングエリアコンバージョン機能を搭載
詳しくは「AFC Image」製品ページをご覧ください。