ヤマハアップライトピアノができるまで

一台のヤマハピアノをつくる。その過程は、長年の伝統に培われてきた、名工と呼ばれる人々の高度な技術力が支えています。先進設備の整った工場の中で日々新しい響きを生みだしているのは、ひとりひとりの手、耳、そしてピアノに対する思い。その製造工程を知ると、きっと、もっとピアノを好きになります。ここで一台のヤマハアップライトピアノが出来るまでを、ご紹介しましょう。
動画をクリックすると、各項目からご覧いただけます。(いずれの動画も最後までご覧いただけます)

01. プロローグ~響板~支柱と響板の貼り込み

動画を再生

響板

ピアノの心臓部である響板は、良質なスプルースを厳選して使っています。
響板のつくり方が悪いと年月がたつにつれて張りが無くなり、良い音が出なくなります。

支柱と響板の貼り込み

ピアノ全体を支える丈夫な土台である「支柱」と、「響板」を接着します。
この工程は響板の響きを左右する大変重要な工程です。
支柱が響板を支え、ともに振動するためには、この接着がしっかりと行われている必要があるからです。

02. チューニングピン打ち込み~フレーム納め

動画を再生

チューニングピン打ち込み

弦を巻き付けるチューニングピンを、フレームに取り付けられたピン板に打ち込みます。
この作業は、ロボットが全自動で行います。
チューニングピンは100分の2ミリの精度で加工されており、長年の使用に対しても常に確実な調律が可能です。

フレーム納め

ピアノの本体にフレームを取付けます。
フレームは、20トンにも及ぶ弦の力を支えるだけでなく、弦とともに振動することで、音に大きな影響を与えます。

03. 張弦~第一調律

動画を再生

張弦

およそ220本にもおよぶ弦が、一本一本丁寧に張られていきます。
ミュージックワイヤーと呼ばれるピアノ弦には質の高い鋼鉄が使われ、大変厳しい品質管理の下で製造されています。

第一調律

弦が張られると、最初の調律が行われます。 まだ鍵盤やアクションが組み込まれていないこの段階では、器具で弦をはじきながら音を合わせる「チッピング」という方法で行います。

04. 親板・棚板・脚柱・ペダル・キャスター取り付け

動画を再生

親板・棚板・脚柱・ペダル・キャスター取り付け

親板や棚板、脚柱、ペダルやキャスターを取り付けます。
そして、いよいよピアノが起き上がります。

05. アクション・アッセンブリー

動画を再生

アクション・アッセンブリー

鍵盤の動きをハンマーに伝えるアクション機構は、一つの鍵盤につき、60個を超える精密部品で構成されており、ヤマハはその全てを自社生産しています。
温度や湿度が変化しても、常にスムーズな動きが求められるアクションは、ロボットによる正確な加工と、人の手による微妙な仕上げが行われます。

06. アクション取り付け~ハンマーの加工

動画を再生

アクションの取り付け

ピアノの頭脳部「アクション」を取り付けます。
ハンマーが正確に弦を打つことができるよう、しっかりと位置を合わせます。

ハンマーの加工

ハンマーヘッドは、羊の毛を原料としたフェルトを芯となる木に巻き付け、およそ10トンもの力を加えて作ります。

07. 鍵盤釘寄せ~鍵盤取り付け

動画を再生

鍵盤釘寄せ

鍵盤は、演奏者の指が直接触れるデリケートな部分ですので、一本一本、丁寧な仕上げが行われ、鍵盤どうしの隙間などが揃えられます。

鍵盤取り付け

鍵盤をピアノに取り付けます。
この時、演奏者のタッチがハンマーに正確に伝わるよう、しっかりと位置を合わせます。

08. 自動打鍵機

動画を再生

自動打鍵機

専用に開発された自動打鍵機が繰り返し鍵盤を叩き、アクションなどの組み合わされた部品を馴染ませます。

09. 整調

動画を再生

整調

鍵盤とアクション、ハンマーの動きを整え、演奏者のタッチを正確に応えられるようにするのが「整調」です。
鍵盤の高さや深さを揃えたり、ハンマーの打弦距離を整えたり…、
整調は、一つの鍵盤で12箇所、ピアノ全体では実に1千箇所を超える調整が行われます。
ピアノの構造を知り尽くしたベテラン技術者が、アクションの動きを完璧なものにしていきます。

10. 調律~整音

動画を再生

第三調律

音の高さを正しく調整して、音階を作る工程が「調律」です。
調律は、出荷までに何度も繰り返し行われます。

整音

ピアノづくりの最後の仕上げは、音色や響きのバランスを整える「整音」です。
ピッカーと呼ばれる道具を使って、弦を打つハンマーの硬さや弾力を調節し、一つ一つの音が、ピアニッシモからフォルテッシモまで、バランス良く鳴るように整えます。
整音は、ピアノに、楽器としての命を吹き込む工程です。

11. 外装取り付け~最終検査~エピローグ

動画を再生

外装取り付け

最後に外装を取り付け、最終点検を行います。
ヤマハの木工及び塗装技術は長い伝統を誇り、その高い技術水準は家具等にも生かされ定評。黒塗ピアノは極めて硬質でキズがつきにくく美しい艶が長く保たれるポリエステル塗装を実施。

最終検査

最終的な外装のチェックと仕上げが行われます。
その後全国のお客様に出荷されていきます。