HPH-MT220インタビュー / 株式会社カプコン プロダクション部 サウンド開発室 瀧本和也 氏
Japan/Osaka, Apr 2015
「ヤマハ、本気やぞ!」
HPH-MTシリーズに最初に興味を引かれたのは?
Inter BEE 2013にて、各メーカーを調査している別働隊から「ヤマハがヘッドホンを出した」と聞いたのがきっかけでした。ヤマハはモニタースピーカーが業界標準として有名だと思いますが、“ヘッドホン”しかも本格的なモニターヘッドホンを発表した、というのはとても驚きました。
ヤマハがヘッドホンを出したというのを聞いた時、どう思われましたか?
業界標準のヘッドホンが色々とある中でヤマハはどの位置付けのヘッドホンを作ったのだろうと思いました。正直、かなりの色付けをしてくるのではないだろうか、と。しかし音を聴いた瞬間にヤマハの「本気」を感じました。「ヤマハ、本気やぞ!」と。一番驚いたのは音が非常に素直だった事です。自分が音に対してもっているイメージとヘッドホンから出てくるイメージが驚くほどそのままでした。これは普通のことの様ですが、なかなかそういうヘッドホンは無いと思います。
密閉型でありながら違和感がなく、疲れない
HPH-MT220をお仕事で使われてみて、いかがでしたか?
弊社では一日中ヘッドホンで仕事しているメンバーも多いため、ヘッドホンを装着していることを意識させないことが重要です。フィット感が緩すぎても、きつすぎても駄目です。私はいつもヘッドホンを装着すると好みの位置にくるまでゴソゴソと動か していくのですが、HPH-MT220はすぐにしっくりとフィットしました。音質に関して、ゲームでは台詞のみのシーンや爆発のシーンなどがあってダイナミックレンジが広いのですが、HPH-MT220はしまりのあるローエンドが「ドン」と来る感じで、大きい音も小さい音もしっかりと再生してくれます。スピーカーとHPH-MT220とで感じるダイナミックレンジがかなり近く、交互に聴いても違和感がありませんでした。他のヘッドホンだとどうしても差があるため、自分の経験からその差を埋めていました。私には今までリファレンスヘッドホンというものはなく、普段使用しているものを基準に判断をしていました。HPH-MT220は十分にリファレンスになると思い ます。また、HPH-MT220は普段使いの持ち歩き用としてもスマートでクールなデ ザインですね。元々、私は密閉型のヘッドホンは好きではなくオープン型を選択して きました。密閉型は「聞けよ!この音を!」という主張が強い印象を持っていますが、 HPH-MT220はそういう印象を受けず“密閉型でありながら違和感がなく疲れな い”と感じました。「これって密閉型だよね?」と何度も確認したくらいです。それなのに遮音性が高く、非常に集中できる。イヤーパッドのフィット感も非常に良く、密閉型でありながら疲れず、集中出来る。ある意味、最高ではないでしょうか。
モニタリングヘッドホンとして使えれば、 リスニング用途でも十分に使える
社内のメンバーでも試されたそうですが皆様の印象はいかがでしたでしょうか?
社内でも非常に評判が良く、即購入したメンバーがいたくらいです。彼らの満足度は非常に高いですね。ずっと音を聞いていて疲れないので、普段使いのリスニング用途でも使えている様です。“モニタリングヘッドホンとして使えれば、リスニング用途でも十分に使える”・・・その逆はないですが・・・。何故かというと、ヘッドホンを使用する機会は日常生活でも多いわけです。音楽だけでもジャンルは幅広いですし、 ゲームをしたり、映画を見たり色々するわけで、リスニング用途だとある一つの用途に特化してしまいます。モニタリング用だと、どのシチュエーションで使用してもしっかりとした音で聞こえるわけです。音響機材などで社内外問わず「ちょっとこれ試してみて」と言えるものは最近少なかったのですが、HPH-MTシリーズは「ちょっとこれ聞いてみて!」と言えるものだと思います。こういったものは本当に久しぶりです。