HPH-MT8インタビュー / サウンド・デザイナー / 斉藤 元氏

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Japan/Tokyo, July 2018

ゲーム・映画・CMなど多種多様なコンテンツのサウンド制作を行っている「beBlue STUDIO」
そこでサウンドデザインを手掛ける斉藤元氏に、愛用されているスタジオモニターヘッドホン「HPH-MT8」について伺った。

モニターヘッドホンに求める基本条件、それはスタジオのモニタースピーカーとの差を少なくすること

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斉藤氏:
昨年、ゲーム作品の効果音制作やミキシング業務に携わり、ひとつの課題に直面しました。 それはモニターヘッドホンとスタジオのモニタースピーカーで聴こえ方に大きな差があること。
効果音の仕込みをモニターヘッドホンで行い、その後スタジオで編集するというワークフローのため、そこでの差異を少なくし、正確かつ迅速に業務を行えるモニターヘッドホンが必要でした。
今まで使用していたモニターヘッドホンでは、低域のコントロールが非常に行いづらく、仕込み終えてスタジオで再生すると低域が出過ぎていたり、逆に欲しい帯域が弱かったりと、差異を補正するのに時間が掛かっていました。

そこで作業と並行して色々なモニターヘッドホンで試行錯誤しました。しっくりくるものが中々見つからないときに、Inter BEE 2017※でたまたま出会ったのが、この「HPH-MT8」でした。 自社スタジオで作業した作品を試聴したところ、ミックス時の聴こえ方と大きな差を感じなかったので、即これだと思いましたね。

※Inter BEE(国際放送機器展)

モニタースピーカーとの差が少ないという「HPH-MT8」の音質

斉藤氏:
今回のプロジェクトでは低域の解像度が一番重要でした。 例えば、巨大なメカが動く際の重低音や爆発音、またエフェクト音の低域が重なるシーンでは、どの音も重要なため、すべての音がバランス良く聴き取れるよう、60Hz~150Hzあたりの処理を繊細に行う必要がありました。

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「HPH-MT8」は単純に低域が聞こえるということではなく、各帯域を正確に捉え、ひとつひとつの素材を丁寧に処理することが出来ます。音の分離が良いということです。 また、スタジオのモニタースピーカーとの差異が少なく、音質に対する是非の判断が早くなり、作業スピードが劇的に向上しました。
高域に関しては5kHz~の伸びがよい印象を受けました。 非常に音の粒立ちが良く、過剰な高域成分を追加せずに、クリアで自然な音の輪郭を作り出すことができました。
分離が良い上に、全体のまとまりも良く、音質やミックスをチェックする際のリファレンスとして非常に優れたモニターヘッドホンだと思います。

圧迫感が少なく、長時間の作業でも疲労を感じない

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斉藤氏:
密閉型のヘッドホンですが、側圧が強い割にはしっとりくるイヤーパッドのおかげか圧迫感は少なく、長時間の作業でも疲労を感じませんでした。眼鏡をかけての作業でも耳が痛くならず、遮音性も優れていて作業に集中できるヘッドホンです。
また、コンパクトにたためるので、大きさの割には持ち運びがしやすく機動面でも優れていると思います。 ストレートケーブル、コイルケーブルの両方が付属しているのも、作業スペースによって変更出来るので、かゆいところに手が届いて好印象ですね。

Profile
斉藤元 Sound Designer
有限会社ビー・ブルー

TVの選曲業務からキャリアが始まり、現在はGame、CM、映画等、分野の幅を広げ、様々なサウンドデザインを手掛けている。

最近の主な作品

  • Game「NieR:Automata」
    SQUARE ENIX CO., LTD. Developed by PlatinumGames Inc.
  • Game「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」 Trailer in TOKYO GAME SHOW2017
    Konami Digital Entertainment Co Ltd., Developed by Cygames,Inc
  • TV「CBCテレビ開局60周年記念番組 伊勢神宮・命あふるる神々の森 五十鈴川を行く」
    Certificate of Merit受賞 (Chicago International Film Festival Television Awards)
    大賞受賞 (4K徳島映画祭2017)
    審査員特別賞受賞 (2017JPPA AWARD 音響技術 TVドキュメンタリー部門)
  • 他CM,TV,映画

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