HPH-MT8インタビュー / ミュージシャン CUTT氏

Japan/Tokyo, Sep. 2020

「HPH-MT8」は、もはや自分の体の一部です!
サウンドの厳しさと優しさの絶妙なバランスが魅力

まずはじめに、CUTTさんと「HPH-MT8」との出会いとその印象について教えてください。

そもそもヤマハのヘッドホンを愛用するようになったのには、以前ある雑誌の機材試奏で試用したヤマハのヘッドホン「HPH-MT220」を、とても気に入ってしまい、試奏後に自分で即購入したという経緯があります。それからは、ヤマハのスタジオモニターヘッドホンをずっと愛用しています。ヤマハのヘッドホンに出会うまでは、ヘッドホンに対して低域がタイトに聞こえ過ぎる印象があり、「ロー」の感じをもっとよくモニタリングしたいといった不満がありました。それに対して、「HPH-MT8」はローもしっかり感じられるのに全体的な印象はフラット! まさに、僕の理想に近いモニタリング環境を実現してくれました。さらに、自身の制作環境において、スピーカーとヘッドホンのモニタリングサウンドの差がとても少ないといったことも大きなメリットです。おかげで、よくありがちなヘッドホンでミックスして、スピーカーで聞き直したら全然サウンドの印象が違ったなどの問題も劇的に少なくなりました。「HPH-MT8」にしてからは、ヘッドホンして作業することが本当に多くなりましたね。

以前のモデルからヤマハのヘッドホンを愛用されているとのことですが、「HPH-MT8」での変化などは感じられましたか?

「HPH-MT8」になってからは、個人的に気に入っている低域の存在感だけでなく、さらに中域についても解像度や再現性がいっそう増した感じがします。それによって、リップノイズのリダクション作業や中域のEQのかかり具合などもさらにわかりやすくなりました。何よりも、気持ちよく音を聴くことができるようになったのが印象的でした。「HPH-MT8」は、サウンド的にももちろんですが、ヘッドホンの軽快な装着感などを含め、耳にも優しく聴き疲れしにくいので長時間のモニタリングにも適しています。いつも、制作中に使用しているので、もはや僕の体の一部といっても過言ではありません。今では、「HPH-MT8」から聞こえるサウンドや音空間が、自分の中のリファレンスとなっています。最近では、制作だけでなくリモート会議やライブ配信などでも、心強いパートナーとして幅広く活躍してくれています。

CUTTさんが、音楽制作用のヘッドホンに求める要素やサウンドとは、一体どのようなものなのでしょうか?

自宅の自室などが主となるであろうプライベートスタジオのモニタリング環境(モニタースピーカー+ルームアコースティック)を整えるのは、プロでもなかなかハードルが高いのが実情だと思います。一方、ヘッドホンは、ルームアコースティックの影響を受けることなく、一定以上の品質と再現性を持ったモニタリング環境を手軽に実現できるのが大きなメリットの1つではないでしょうか。そういった意味でも、ヘッドホンでは、甘やかさずシビアかつフラットにサウンドを聞かせてくれることを一番に重視しています。「ダメな音は、ダメだぞ!」ってちゃんと伝えてくれるのは、モニタリング用のヘッドホンとしてとても大事ですよね。ただし、アーティストにとっては、音楽を作っていて、楽しくテンションがあがるといった要素も欠かせません。この相反するようにも感じるサウンドに対する厳しさと優しさを絶妙なバランスで実現してくれているのが「HPH-MT8」であり、その魅力です。

「HPH-MT8」のおかげで24時間ライブ配信も完走
軽快かつ快適な装着感は大きなアドバンテージ

ヘッドホンでは、サウンドの品質に加えて、装着感などもとても大きな要素になると思いますが?

最近、24時間の耐久連続ライブ配信を行うオンラインイベントを開催したんです。休憩をはさみつつもほぼ24時間にわたり「HPH-MT8」を装着して、演奏したり、歌ったり、話したりしていたわけですが、「HPH-MT8」のおかげで快適に24時間を乗り切ることができました。ヘッドホンを、あまりに長い時間装着し続けていたので、「これは本当に自分の体の一部だな」って感じられたくらいです。24時間終わって、まだあと半日くらい「HPH-MT8」と共にイケるんじゃないかと! 毎年、1時間ずつ放送を伸ばしていこうかと思いました(笑) 冗談はさておき、オンラインでのライブ配信などが注目を集める昨今、ヘッドホンの重要性は今後もますます増していくと思います。ヘッドホンを装着してライブやイベントを行うことが日常化していくのであれば、「HPH-MT8」の軽快かつ快適な装着感はさらに大きなアドバンテージとなってくれることでしょう。

ヘッドホンなどのサウンドのチェックをする際に、よく使用されるリファレンス楽曲などはありますか?

完全に個人的な趣味だったりしますが、サウンドチェックの際には、メタリカ (Metallica)の通称『ブラック・アルバム』の「エンター・サンドマン」をよく聴いていますね。サウンドのダイナミックレンジが広く、ドラムの奥行き感などもわかりやすい。詳細にどこかをチェックするというより、慣れ親しんだメタリカの楽曲がどう聞こえるのかを、サウンド全体でチェックするといった感じ。正直、サウンドチェック用のリファレンス楽曲に正解などはないと思いますので、皆さんご自身が子供のころから愛聴しているアーティストや楽曲、さらには最近ハマっている楽曲など2パターンを選ばれるのがオススメです。

ヘッドホンとスピーカーの使い分けなどについて、制作シーンで意識されていることはありますか?

従来、スピーカーで全体部分の俯瞰的なサウンドチェック、ヘッドホンでディテール部分のより詳細なサウンドチェックといった用途別の使い分けをする場合が多くありました。しかし、今回お話した「HPH-MT8」を使用し始めてからは、用途をあまり気にすることなく、制作のシチュエーションや気分によって、自由にヘッドホンとモニタースピーカーを選択できるようになりました。移動中の作曲や細かな編集作業などだけでなく気分によってはミックスなども「HPH-MT8」で行ったりしています。そういった用途を選ばないオールマイティーなサウンドキャラクターも、僕がヤマハのヘッドホンに魅力を感じているところです。最近のクリエイターは、作曲、編曲、ミックスの作業を同時進行で行うことが多いと思いますので、すべての制作シーンに無意識かつスムーズに対応可能な「HPH-MT8」は、現代の制作スタイルにピッタリのヘッドホンですね!

「HPH-MT8」にご興味をお持ちの音楽制作ユーザーの方々へのメッセージやアドバイスをぜひお願いします。

コロナ渦により、アーティストやミュージシャンも否応なく変化を余儀なくされていますが、個人的には新しい生活スタイルや制作スタイルは決して不快なだけのものでなく、新たなクリエイティブをリスナーの方々へお届けできるチャンスだとも捉えています。例えば、オンラインでのライブ配信であれば、リスナーに届けるサウンドをネットサービスに送出するギリギリのところまで自分自身のヘッドホンで管理でき、1番目のリスナーともいえるポジションでパフォーマンスを行えることに、これまでとはまた違った緊張感と楽しみを感じたりもしています。もちろん、これからも変化し続けるであろう新しいクリエイティブの世界においても、コアとなる普遍的なリファレンスサウンドの重要性は言うまでもありません。ライブ配信をはじめとした新しいテクノロジーは、クリエイターにとっての新たな表現の手段や場所を実現してくれるはず! 皆さんも、ヤマハのスタジオモニターヘッドホン「HPH-MT8」と共に、この新しい生活スタイルや制作スタイルを、さらに楽しんでみてはいかがでしょうか。


Profile

CUTT(カット)

hide(X JAPAN)に見出され、99年にバンド「shame」ギターボーカルとしてデビュー。DTMに造詣が深くプログラミングからマスタリングまでをこなすトータルアーティスト。現在は宇宙バンド「SPEED OF LIGHTS」を展開しながら、デビュー20周年を迎えたshameの記念配信ライブを9/12,9/26,10/11の3回に渡り開催する。


データ

製品情報 HPH-MT8